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酔っ払い令嬢の英雄譚~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~  作者: ゆずこしょう
三領地同盟。

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36/65

その頃の王城。

「今すぐ、アルベルトとヴァルターを呼び出せ!」


時はルピナストで起こった闇オークション後に遡る。


セレニア国王城内にある執務室――


読み終えた手紙を、破りそうな勢いでギリギリと握りしめている男がいた。


「アーノルド国王陛下……そのようなことをしては手紙が破れてしまいます。」


白髪の混じった中年の男。


口元には常に薄い笑みを浮かべているが、その目は笑っていない。


「お前もうるさいぞ。それ以上言葉を発したら一家共々処刑する。」


「も、申し訳ございません……」


アーノルドはうるさい男を下がらせると、もう一度手紙を読み直した。


―――――


セレニア王国

アーノルド・ルート・セレニア国王陛下


シルヴァリア公爵、ルドリオス・アニル・シルヴァリアである。


この度、貴殿の息子であるヴァルター第四王子について、国家を揺るがす違反行為が発見された。


内容は下記に記す。


―――――


そこにはヴァルターが闇オークションに参加し、暴れまわったということが書かれていた。


そして、たくさんの人がいる前で、婚約者であるイザベラ・ルデ・ノルトレート第二王女から婚約破棄を言い渡されていたことまで事細かに書かれている。


「全く……今までシルヴァリア公爵家とは関わらないことでうまくいっていたというのに……」


アーノルドはその後も長々と続く手紙の内容に深い溜め息を吐いた。


「……まずは、なかったことにするのが一番か」


それが、王として最も手慣れた選択だった。


アーノルドが椅子に深く腰を掛けて天井を見上げながら、考えを巡らせていると――


コンコン


扉を叩く音が、執務室に響き渡った。


「父上、お呼びでしょうか」


「入れ」


アルベルトと、ヴァルターの二人が扉を開けて入ってくる。


そして二人は、父であるアーノルドの顔を見て、あまりいい状況ではないことを瞬時に察した。


「お前たち……私に話していないことがあるのではないか?」


アーノルドは目を細めてジーッと二人を見つめる。


まるで何かを探るような目に、二人はごくりと唾を飲んだ。


「え……っと、話していないことですか?」


「私は、特にないと思いますが……」


二人の言葉の後に、アーノルドは言葉を返すことなく一瞬止まった。


二人の背中に嫌な汗が流れる。


「ほぉ~……話していないことはない……と」


アーノルドは持っていた手紙を二人の前に置くと、


「読め」


短く、告げた。


***


「ここに書いてあることは本当か?」


(まさか……この手紙を送ったのは誰だ……)


アルベルトとヴァルターは手紙を読んで、ひどく焦っていた。


そこにはアーノルドに伝えていないことが詳細に記載されていたからだ。


「まず、ユリウスの件。お前たち、俺に言わずに勝手に追放にしたのか?」


その言葉に言い返すことができないのか、二人は下を向いた。


「なんだ……?言い返すこともできないのか。ということは事実ということだな?」


アーノルドの言葉に肩を揺らすアルベルトとヴァルター。


そんな時、アルベルトが口を開いた。


「わ、私は関係ありません。ユリウスを追放したのは、自分の婚約者を蔑ろにし、ヴァルターの婚約者であるイザベラ王女に色目を使っていたからです。」


「そうか……ではこれをどうやって説明するんだ?」


手紙の一文を指さす。


《ユリウスの婚約者であるアリアーヌ・カトレ・アルノワ侯爵令嬢はヴァルター第四王子に唆されたと言っている。そして、ルピナスト伯爵家の令嬢ヴァイナスとは恋愛関係にあったと調べがついている。》


「こ、これは……私は一切知りません!無関係です!!」


自分が大事なのか、アルベルトは自分は無関係だったと主張した。


「そうか……無関係か……」


「は、はい……」


アーノルドの冷めた目を見て、アルベルトは一瞬たじろいだ。


「まぁとりあえずそういうことにしておいてやろう。……それと、ヴァルター。お前は闇オークションに参加し、暴れまわったそうじゃないか。しかも私のいないところで、イザベラ王女から婚約破棄を言い渡されたそうだな」


「ち、違います! あれは向こうが勝手に――」


「黙れ」


低い声が落ちた瞬間、ヴァルターの言葉は喉で潰えた。


「私は“理由”など聞いていない。聞いているのは“結果”だ」


アーノルドは椅子に深く座り直し、二人を見下ろした。


「王族が闇に関わった。その事実だけで十分だ。しかも手紙をよこしてきたのは、今まで距離を保ってきたシルヴァリア公爵家。もう逃げることは出来ん。」


指先で机を叩く。


「……運が悪かったな、ヴァルター。いや――お前もだ。アルベルト。」


視線が、ゆっくりとアルベルトへも向けられた。


「シルヴァリア公爵家が出てきてしまった以上、お前たちをそのままにしておくことは出来ん。」


二人の背筋が、同時に強ばる。


「処分は追って下す。それまでは――」


一拍置いて、冷たく告げた。


「二人とも、王都から一歩も出ることは許さない。無論、王城からもだ。」


アーノルドの言葉に、アルベルトとヴァルターはその場に崩れ落ちた。


しかしアーノルドは二人に視線を送ることなくその場を去ると同時に、


「お前たちがもう少し賢ければ、こんなことにはならなかったんだがな」


余命宣告ともとれるその一言に言い返すことはできなかった。


***


そして――


そんなことが王城で起きていることなど知らない、エヴァンジェリンたちは――


ヴィオラたちを見送り、次の地へ向かうのだった。

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