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ファーストキス

今回も短いです。

 二人が出会った16の夏、僕はまだ君を意識してなかった。

 だから、普通にも話せた。僕は意識してしまうと話せない性質たちだから。

 君がくれたタオル地のハンカチは今も僕の箪笥の中に眠っている。

 誕生日プレゼントに君がくれたハンカチは、結局、一度も使うことがなかった。

 何だか恥ずかしかったんだ。

 その頃だね、僕が君を意識し始めたのは。

 君が高校の帰り道、路地に入ったところで、

「チューしよ」って言ってきた。

 僕は初めてだったから、どうしていいかわからなかった。

 君の方が積極的だったね。

 君はかかとをあげて僕に唇を預けた。僕は君の唇にそっと重ねた。

 この世で感じた中でいちばんの柔らかさだった。思わず、「柔らかい」って僕は叫んでしまった。(了)

ありがとうございました。

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