第51話 依頼完了と王宮への呼び出し
無事に船まで辿り着き、護衛の兵士であるゴドリエル隊長には驚かれたし、質問攻めにあったけど、取り敢えず急いで船を出して欲しいとお願いして出航をしてもらった。
船室に王子を押し込んでメイドさんには申し訳ないけど世話を任せた。
そして、私は憂鬱な質問攻めタイムだ。
もっとも、私の答えは終始次の通りに一貫して答えるしかないんだけど。
① 凄い速度で戦闘が行われたので何が起こったかは良く分からない。
② 私は兎に角ダメージを負ったら直ぐに回復させることに努めた。
③ 最後は戦いを放棄しようとしたけど、レッドドラゴンが逃がしてくれなかった。
④ このような状態に王子がなったことで、ようやく解放されたので頑張って連れて帰ってきた
何を聞かれてもこの内容で答え続けたし、実際のところ起こった事実としてはその通りだ。
(誰がそうなるように仕組んだか何てことは想定外なので当然聞かれないから嘘もついていない。)
無事に帰港したらしたで、今度は凱旋の準備をしていたが、まさかの敗走だったので最悪のムードだった。
しかも、ゴドリエル隊長にされたのとほぼ同じ質問攻めを親衛隊隊長のユリウスさんと所長の間で繰り広げるという苦行が私には待ち受けていた。
でも、もちろん回答は同じことの繰り返しだし、実態として生きて帰って来ている以上、私の依頼に関しては無事完遂ってことを認めてもらって謝礼はその場で頂いた。
私としてはこれで全て終わりだけど、王子のお供はもちろん、ポートガスの町にも動揺が残っている。
個人最強と名高かった王子が再起不能の廃人状態で成人の儀を失敗ともなれば当然だろう。
まあ、私には関係ない。
沢山の金貨を貰って、これでお金には本気で困らなくなったけど、エランの町に帰ろうとしたところ、ユリウス隊長に引き留められた。
「ミコト殿、申し訳ないがここまでの事態となっては王陛下に説明をせざるを得ないが、唯一現場で立ち会っているミコト殿の証言が必要になることが想定される。大変申し訳ないのですが、王都まで同道願えませんでしょうか?」
なんか私に対する言葉遣いが丁重になっているのは、仕事とはいえ王子の命を救った恩人ということになっているかららしい。
親衛隊としては守るべき主がいなくなったら存在価値がなくなるから当然かもしれないけど。
「え、嫌ですけど?」
「え?」
「だって私に何の得にもならないじゃないですか?これからせっかく家に帰ってゆっくりしたいのに、また旅をしなくてはいけないんですよね?その間仕事ができないから収入も途絶えますよね?しかも、下手すると全部私のせいにされて打ち首~とかもあり得ませんか?」
「いや、そんなことは断じてありません!むしろ王子の命の恩人として何か恩賞が下されても良い程のご活躍ですから!」
ユリウス隊長が必死に懇願してくる。
「う~ん、それでも何か嫌な感じしかしないんですけどね・・・・」
「そこを何とか!お仕事ができない分については我ら親衛隊の予算から護衛費という名目でお支払いさせて頂きます!足りなければ我々隊員のポケットマネーからでも!」
う~ん、そこまで懇願されると断っている私が悪人みたいだな。
「分かりました。そこまで言われてはお断りするのも気が引けますからね。でも、条件があります。」
「ありがとうございます!条件とは何でしょうか?」
「お金は前払いで頂きます。金貨100枚でお願いします。また、本当に護衛する訳ではないので移動は別々にさせて下さい。私1人の方が圧倒的に速いので、先に王都に行っています。王都にある紹介所に私の泊まる宿なんかはお伝えしておきます。」
「金貨100枚・・・しかし、王都への旅の期間を考えれば妥当か・・・分かりました、その条件全て飲みましょう。」
「分かりました。それでは、王都まで行きましょう。先に行って待っていますね。」
「了解しました。私どもも早急に帰ります。」
という訳で、私はエランの町に戻ることなく王都まで旅をすることになった。
本音で言えば、くそ王子の所業を見た私は早いところ王と王太子に会っておきたかったのでこの話はありがたかっただったんだけどね。
『頼めばホイホイ何でも言うことを聞く小娘』と思われたくなかったので、渋ってみただけなんだけど。
こうして新しく仕事を受けた私は、大量の金貨を元手に魚介類や調味料を大量に購入して、ブルブルの背に跨って王都への道を急いだ。
-------------------------------------------------
王都は大陸の中心にあるので、道は整備されているものの港町からは流石に遠く、普通の馬車の旅なら1カ月くらいは平気でかかるらしいけど、ブルブルなら2~3日で大丈夫だ。
別行動をお願いしたのは純粋にくそ王子の側にいたくなかったということと、空いた時間で新たなスキルである『飛行』『ブレス』『神速』なんかを試しておきたいというのもあったからだ。
ここのところずっと人目があったので、試す機会がなかったけど、何があるか分からない王都行きの前に使いこなせるようになっておきたかったのだ。
その結果、ハッキリ言って無敵かなと思った。
空を自由に飛べるのは本当に気持ちいいし、神速と組み合わせて超高速で飛べば衝撃波で攻撃手段にもなるレベル。
ブレスに至っては言うまでもないね、もう人間じゃない化け物だって言われても納得せざるを得ないくらいの破壊力だ。
それなりに感触を掴んだ私は、意気揚々と王都に入った。
親衛隊長の紹介状を門番に見せたら直ぐに通してくれてご丁寧に紹介所本部まで案内してくれた。
そこで宿を紹介してもらって部屋を取る。
流石王都でも有数の宿というだけあって、ブルブルも預けられるし、部屋は豪華そのもの。
お金を気にしないで過ごせるって素晴らしいな。
早速王都見物ということで広大な街を美味しいものを探して露店をうろついたり、美味しいものを発見したら大量購入したりというのを繰り返しているうちに、ユリウス隊長の遣いが宿に来て、翌日王宮に一緒に来て欲しいとの要請があった。
いよいよだ。
でも、私はこの時上流階級というものを全く理解していなかったということを知ることになった。
うん、久々に連続投稿できました。
ただ、やはり不定期にはなるので是非「ブックマーク」と「更新通知」をご活用下さい。




