第49話 アラゴルン王子とパフ(根回し)
ようやくまた更新できました。
公私ともに少し忙しいですが、見放さずにいてやって下さい。
無事に赤竜島に上陸した私たちはアラゴルン王子、お腹を切られた奴隷メイドさん、荷物持ちの男性3人、私という6人体制で島の探索に向かうことになった。
乗馬しているのはアラゴルン王子と私だけ、他に3頭の馬は連れてきているが、いずれも荷物を満載している。
ゴドリエル隊長は帰りを待つ船員の護衛として船に残っている。
さぞかし苦労するだろうと思っていたんだけど、意外や意外、『神速』のスキルをフル活用した超高速斬撃は空振りしても空気を切り裂いて斬撃が飛ぶので、それを利用して草を刈り、森を切り拓いて進むので思ったよりもサクサクと進んでいる。
なるほど、これだけのことが出来るならこの一見無謀にも思える成人の儀式も本人としてはかなり自信があったんだろうな。
ちょっとだけパフさんが勝てるかどうか心配になってきた。
スピードだけで言ったら明らかに王子の方が速いからね。
どんな攻撃でも当たらなければ意味がない。
私としてはパフさんにボコボコにされて心を折られたところで追い打ちでスキルを奪ってすごすごと帰還してもらうのが最良のシナリオなんだけど、パフさんに負けられると話にならないからなぁ。
そんなことを悶々と考えながら移動すること10日、無事にドラゴンの巣窟である絶壁に囲まれた岩山のもとまで辿り着いた。
前回は私が瞬間移動を駆使して楽々登ったところではあるけど、果たして王子がこれをどう攻略するのか。
最初は斬撃を飛ばして切り拓こうと思ったようだが、流石に僅かに削れる程度で斬撃も役に立たずに断念。
登ろうとするけど、装備や物資の重さ・体力・技術面からも断念。
不機嫌になった王子は突破口を求めて岸壁の周りを一周するように動き始めた。
私が驚いたのは前回来た時に崩れたはずの壁も修復されているということだ。
試しに念話でパフさんに話しかけてみる。
『パフさん、パフさん、聞こえますか?ミコトです。クリムゾンと戦ったミコトです。』
『おお、覚えているぞ。クリムゾンを破ったミコトではないか。今度はどうしたんだ?』
『前回お伝えした通り王子と一緒にやって来ました。でも、断崖絶壁が攻略できなくて王子は困ってますね。前回崩れた壁は皆さんで直されたんですか?』
『おお、そうだんったな。確かに我々で直した。我々にかかれば岩を積み、溶かし固めることなぞ容易いからな。静かに暮らすためにも、力のない挑戦者を減らすためにもちょうどいいからな。』
『あ~、確かにそうですね。それでですね、一応なんですが今回挑戦しようとしてる王子。アラゴルン王子というんですけど、パフ様が勝っても食べずに亡骸を持って帰ることは可能でしょうか?』
『ほう?それな我々ドラゴンのしきたりに背くが、我らに勝利したミコトの言うことなら理由くらいは聞いてみようか。』
『はい、実はこの王子かなり強力なスキル持ちでして、人間の中で1対1で戦うなら最強クラスだと思うんです。』
『ほうほう、それは実に興味深いな。ミコトでも勝てぬか?』
『いえ、私なら何とか勝てると思いますが。』
『流石だな。それで、そのスキルとはどんなものなんじゃ?』
『「神速」というスキルで、物凄いスピードで動きます。人間では反応もできません。』
『なんじゃ、そんなスキルなら儂も持っとるぞ?』
『え?さ、流石はパフ様ですね。ならばパフ様の勝利は揺るがないものとして、できれば体だけは生かして帰したいのです。』
『じゃから、何故だと尋ねておる。』
『はい、アラゴルン王子は自信が最強と思っているからこそ誰も近寄らなかったこの島に討伐に出た訳ですが、そんな王子がボロボロになって負けて帰国すれば国中に皆様の強さが広がり、二度と皆様の平穏を脅かすものも出てこないでしょう。』
『ふむぅ、我らレッドドラゴンの強さを知らしめる広告塔にするということか?別段挑戦者など退屈しのぎじゃから構わんけどのう。ミコトよ、本音を隠しておるのはお見通しじゃ。本当はそんなことを考えてはいまい?』
『御見それしました。実はそれは建前で、本当はムカつく王子をボロボロにして国中に生き恥を晒してやりたいと思っただけです。』
『ふぉっふぉっふぉっふぉ!そちらの方がよほど面白い理由ではないか。そなたにそこまで嫌われるとは、よほどなんじゃろうな。』
『ええ、本当にクズです。絶対許しません。』
『面白そうじゃの。で、具体的にはどうすればよい?』
『実は、考えていることがありまして・・・・ごにょごにょ』
こうしてアラゴルン王子がイライラしながら岸壁を攻略するルートを探し続ける中、アラゴルン王子をボロボロにするプランをこっそりとパフ様と綿密に立てていくのだった。




