もう一人の偶発的転移者
魔王城にトムが現れた暫く後、魔王城に無視出来ない情報が届いた。
なんと大陸の南西の端の国で勇者を異世界から召喚したという情報だ。
まず何で危険地帯の近くの勇者育成学校のある国で召喚せずに南西の端の国で召喚したかを説明すると、
魔王城のあるこの大陸は上を北として横を長く配置したメークインみたいになっている。
その中で魔王城は北東つまり右上の部分にある人間にとっての危険地帯の中心からある程度奥に行ったところにある。
そしてこの大陸ではある特性がありそれは、北東に行けば行くほど魔物が強くなり、逆に南西に行けば行くほど魔物が弱くなるという法則である。
この法則のもっとも有力な学説は、全ての魔物の元である七大魔獣は危険地帯に発生したと言われており、そして魔物が七大魔獣から生まれ大陸各地に広がっていく、その過程で人間は突如現れた魔物たちに驚愕しながらもしっかりと対処したと言われている。また、当時の人々は七大魔獣から最初の魔物が生まれたことから強力な魔物からも魔物が発生すると考え、強力な魔物を優先して狩るようになったと。それで、人々が強力な魔物の討伐に専念しているうちに弱い細々とした魔物が生息域を広げていき一部南西まで行った強力な魔物も強力ゆえに直ぐ居場所がばれ討伐されて今の危険地帯に近づけば近づくほど魔物が強くなるという法則ができたと考えれている。
だから、南西から魔王城に向かうと、戦う魔物は少しずつ強くなっていくという大変都合のいい場所だからである。
この事から勇者をしっかりと教育して魔王との決戦に挑ませようとしたと思われる。
しかし、この世界ではいちいち勇者を異世界からわざわざ召喚せずともいいのだが、一部の馬鹿が召喚を実行し、召喚されてしまった。
なぜなら、召喚に使われた魔方陣では本来なら異世界からハエ一匹召喚できないものなのだが、トムを創造神が送った通路から運悪く召喚時にトムの近くに居た人の一人が召喚されてしまったのである。
本来この魔方陣には召喚する人の強さや資質などを全く考慮せず、また、召喚後何の強化も被召喚者にもたらさないただ一人の人間を召喚するものだったが、召喚された人は運悪く超のつくお人よしで困った人が居れば助けてしまうような人物で、更にかなりの行動力を持っていた。
召喚された彼は話を聞くと直ぐに誰にも気づかれず城の宝物庫から最低限の武具と金を取り人の目を盗んで城を出た。彼は持って生まれた資質もあってか急激に成長し、また召喚のいけにえに使われた人々の存在強度が定着する前に強大な存在強度持ったもの(←情報を報告した魔王の部下)の影響で魔眼化した眼の能力も駆使し危険地帯の近くの城塞都市まで単独で来ていた。
そして彼が危険地帯に入るのも、もう直ぐである。




