7,タコさんウィンナー。
青木さんを僕が殺したことで、ゲームは終了。
トータルで3人殺した僕の勝利です。
「ずるい、ずるい」とイチャモンをつけていた楓さんも、最後にはさすがに観念する。
「分かった分かった、キミの勝ちだよ」
それから楓さんは指2本を、自分のこめかみの穴に突っ込んだ。
そうやって脳味噌をこねくり回しながら、
「ちょっと待ってね~。キミにグチャグチャにされた脳を治すから」
あれで治るものだっけ、脳みそって。
この人、モンスターよりもモンスターらしい人間なのだなぁ。
やがて穴からずぼっと指を引き抜く。その指には、脳の一部らしきものがこびり付いているんだけど。
しかし楓さんは晴れやかに言う。
「はい、完~治」
「もしかしてアンデッドさん?」
「失礼な。ボクはれっきとした人間ですよ~。かの勇者の穢れなき血を継ぐ一人。おっと、締めの《回復》を使わないとね」
《回復》魔法で、楓さんのこめかみの穴が塞がる。
さすがに心臓を抉りだせば、死ぬかなこの人も。
「どうしたらボクが死ぬか考えてるね?」
「お見通しですね」
「ボクも同じことを考えていたからねぇ。キミってさ、無限に復活するのかな? たとえば1億回連続で殺しても、やっぱり復活するの?」
「さぁ」
「いつか試してみたいものだ」
楓さんなら、本当に試しそうだ。
僕も楓さんを1億回殺せたらいいけど、そんなに持たないだろうね、この人は。
「じゃイコライザーくん。いまは約束通り、勝者への報酬をあげよう。葉島彰浩くんの居場所を教えてあげるよ~。これ極秘情報だからね」
一応は疑っておこう。フロアボスとして、バカ正直はいけません。
「その住所、信用できます?」
楓さんがムッとして言う。
「ボクはね、約束は守る女だよ。そこは信じて欲しいものだねぇ」
「じゃ信用します」
「素直な子は、お姉さん好きだよ~」
楓さんはメモ用紙に、自分の血をインク代わりにして住所を記す。
その紙を僕は受け取った。
記されてあるのは、とある県内のとある場所。
一体、彰浩さんはこんなところで何をしているんだろう。
「あ、それとね。いつまでも、彰浩くんがその場所にいるという保証はないからね」
「これ、彰浩さんの住まいじゃないんですか?」
「彰浩くんはねぇ、いま任務遂行中なわけ。任務のためメモした場所付近にいるだろう、ってこと。で、完遂したら、もうそこにいる必要がない」
「はぁ。明日、行こうと思うんですけど」
「明日なら、まだいると思うよ」
とにかく、これでサプライズ企画を本格的に始動できる。
★★★
翌日は、僕と美弥がそろっての休日。
早朝から僕は起き出し、まずは2人分のお弁当を作る。
美弥の弁当を作るのは、小学校の運動会以来だ。
美弥が眠たそうに目をこすりながら、台所をのぞいてくる。
「何してるの兄貴?」
「今日はピクニックに行くから、お弁当を作っているところ」
「ふ~ん、お弁当ねぇ。兄貴、ウィンナーはタコさんしか認めないから」
「タコさんウィンナーだね、了解」
「あと卵入りミートボールがないと、怒るわよ」
「用意してあるよ」
「からあげは、当然あるんでしょうね」
「もちろん」
「そして、ブロッコリーはなしよ」
「今日は入れなかったよ」
「そして早苗も」
お弁当のおかずの流れで、なぜか出てきた早苗さん。
「早苗さんも呼んでないよ」
ようやく美弥は満足してくれた。
「なら、いいわ」
妹の好きなお弁当のメニューは、すべて把握している。
それこそがお兄ちゃんというものです。
美弥はいったん二度寝しに行ったけど、すぐに戻ってきた。
「で、兄貴。ピクニックって、どこに行くの?」
僕は目的地を口にした。
美弥は住所を聞いても、どう反応したらいいか分からない様子。
「そこに何があるの? なんか田舎ということは分かるけど」
「そこには反政府組織のアジトがあるんだってさ」
もちろん楓さんからの情報。
「ふ~ん」
葉島彰浩さんは、この反政府組織を潰す任務に就いているそうだ。
任務中に会いに行ったら、迷惑だろうなぁ。ちょっと気が引ける。
まぁ、行くけどね。
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