6,「あー!! ずるいぞーーー!!!!」。
紘さんを殺して、楓さんとは2対2のイーブン。
ところが──
「イコライザーく~ん」
声がしたので見やる。
すると15メートルほど先。
楓さんが、今にも青木さんの息の根を止めようとしているではないか。
まず青木さんの手足が、ひどく捩じれている。あれでは歩行どころか、這うこともできないね。
これも《神殺し》の能力かな?
そして楓さんによって、《神殺し》がゆっくりと捻られていく。じわじわと。
それにあわせて、青木さんの心臓もじわじわと引きずりだされていく。
楓さん、親切なことに青木さんのシャツを剥いでいた。おかげで青木さんの上半身は裸で、心臓ズルズルがよく見える。
今のところ、左胸に裂け目ができて、そこから出血。
同時に裂け目から、心臓の一部がにゅるりと顔を出している。
なんだか出産シーンを見せられているようだなぁ。
青木さんは白目をむいて、口をパクパクさせている。
まぁ心臓があんなところまで引っ張られたら、平常心ではいられないよね。
とはいえ、生きている。
ここ重要。
しかし、楓さんはいつでもトドメを刺せる状況。
《神殺し》を一気に捻るだけ。それだけで心臓が一気に引きずり出されて、青木さん絶命。
ゲームは僕の負け。
楓さんも勝ちを確信しているからこその、あの余裕。
しかし僕は負けるわけにはいかない。美弥のため、ゲームに買って葉島彰浩さんの居所を聞き出さないと。
ここでシミュレーションしてみよう。
思考実験──僕が《自爆》して、青木さんの背後に完全再生。《地獄神》を打ち込む──
う~む。ぜんぶで2秒はかかるなぁ。
楓さんが《神殺し》を捻って青木さんを殺す時間は、たっぷりある。
「ほらほら、イコライザー君。どうしたのかなぁ~? もうこの人を殺しちゃうよ~? いいのかなぁ? ボクの勝ちになっちゃうけど~いいのかなぁ~?」
楓さん、じわじわ《神殺し》を捻る。さらに2ミリくらい心臓が出てきた。
ここで青木さんが悲痛に叫ぶ。
「た、たたた、た頼むぅぅからぁぁぁぁ! も、もう殺じて、くれぇぇぇぇぇぇ!!」
瞬間、楓さんが青木さんの喉を手刀で突く。
それから青木さんからは、「ヒゅー、ヒゅー」という空気が漏れるような音しか聞こえなくなった。
ははぁ。声帯を潰されたのだ。
さすが楓さん、容赦ないね人間のくせに。
「イコライザー君。もう打開策はないみたいだね? じゃボクの勝ちということで~」
いまこそ覚醒するときだぞ僕。
なんか来い、なんか──
あ、来た。
新スキル《一心同体:24時間で使用できる回数制限ありバージョン》を獲得。
さっそく発動。
続いて僕は《地獄神》を、自らの右こめかみに持っていく。
スイッチオン。
ドリルビットが、僕の皮膚を抉り、頭蓋骨を貫いていく。
楓さんがキョトンとして、
「イコライザー君、キミいったい何をして──あ、痛ぁぁぁぁぁぁいなぁぁぁぁぁぁぁバカぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
右こめかみから血を噴き出させながら、楓さんがのたうち回る。
《一心同体:24時間で使用できる回数制限ありバージョン》とは、『自分で自分を破壊した負傷を相手にも共有させる』スキル。
自傷癖があると強いぞ。
僕の脳味噌を破壊。
よって、楓さんの脳味噌も破壊される。
形勢逆転。
──したけども、楓さんは立ち上がって喚いた。
「あぅぅぅぅボクの脳が壊れたじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
えー。
脳を壊されて死なないって、このお姉さん本当に人間?
とりあえず楓さんの注意が、青木さんから逸れているうちに。
僕は《自爆》してから、青木さんのそばに完全再生。
青木さんが「ヒゅー、ヒゅー」しながら僕を見る。殺してくれという無言の訴えと見た。
「了解です」
青木さんの頭頂部に、ドリルビットを叩き込む。ぐぉぉぉぉ。
それを見て楓さんが叫ぶ。
「あー!! ずるいぞーーー!!!!」
いや、ずるくないけど。
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