表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/180

10,即戦力をゲットしよう。

 


 第50階層には、都市があった。屋内都市が。


 ダンジョン内であることは間違いないけど──天井まで100メートルはある。

 そんな大空洞に摩天楼が立ち並んでおり、モンスターたちが活気ある生活をしていた。


「第1階層とのこの違いっ!」


 どうやら第1階層は、ようはド田舎らしい。ド田舎な上に、冒険者との戦争の最前線。まぁ最前線だからド田舎になったのだろうけど。

 そんなところでフロアボスをしている僕とは──


「冒険者を殺す競争相手がいないので、稼ぎまくりではないかっ!」


 という素敵な事実に気づいた。


 しばらく歩いていると、モンスター専用病院を発見。

 美弥みやには入院が必要とのことで、僕は着替えを取りに戻ることになった。


 病院を出たところで、アイスを食べているオリ子を見かけた。浮遊玉座に腰かけたまま、ボーとしている。


「どうも、オリ子さん」


「おお。我が期待の新星ではないか。妹さんの具合はどうなのだ?」


「全治3日だそうです。肋骨が折れたにしては、完治まで早いですよね」


「モンスターは治癒力が人間より高いからな。ヒールを使える冒険者とかと比べると、また変わってくるが。ところでモンスター部下の勧誘は順調か?」


「ぜんぜん。せっかく仲間になってくれたゴブリン一家は瞬殺されましたし」


「おぬしの場合、既存のモンスターを仲間にするより、新しくモンスターを造ったほうがいいのかもれんな」


「《種族チェンジ》でですね? 何だかフランケンシュタインになった感じですよ」


「そんなモンスターならいるぞ。確か28階層に」


「いえフランケンシュタインはモンスターじゃなくて、モンスターを造った科学者の名前ですからね。まぁどうでもいいですけど。とにかく、人間をモンスターにするのは責任重大ですよ。気軽にはできない」


「むろんだ。それにモンスター素質のある人間を選ばねばならんからな。せっかくモンスターにしても、雑魚では仕方ないだろう。そこいくとおぬしの妹は才能の塊だ」


 美弥が才能の塊でも、即戦力じゃなかった。カナさんも非戦闘員だし。

 ここは即戦力が欲しいなぁ。


 ★★★


 翌朝。

 僕は我が家で目覚めた。


 昨日は美弥の着替えを届けたあと、自宅に寝に戻ったのだ。睡眠不足はモンスター稼業の大敵。

 そのため、いま第1階層は蛻のから。カナさんだけ置くわけにもいかないので、都内の死体安置所に避難してもらっている。


 このまま【無限ダンジョン】に行ってもいいけど、即戦力を探すのが先決かも。


 で、重要なことを思い出した。

 今日は登校日じゃないか。


 慌てて支度して、学校に向かう。

 教室に入ったところで、隣席の東浦ひがしうら早苗さなえさんに声をかけられた。


「知樹くん、久しぶり。いまのところ夏休みはどう?」


 モンスターになって冒険者を7人殺した。

 とは言えないので、


「バイト三昧だよ」


 これも間違ってはいない。

 

「そうなの? あの、知樹くんと一緒に、どこか遊びに行けたらいいなぁ……と思っていたんだけど」


「無理だね」


 早苗さんにモンスター資質があるとは思えない。

 ──という僕の結論は早計だったわけだけど、それに気づくのはまだ先の話だ。


 早苗さんは残念そうに言う。


「……そっか。だよね、ごめんね」


「別にいいよ」


 登校日の帰り、よく分からないが不良たちに絡まれた。


 お決まりの校舎裏へ。テンプレすぎて、ここに来なくては始まらない感がある。

 不良グループのリーダーである小梨こなし祐一ゆういちが、僕の胸倉をつかんで言うわけだ。


「おい南波、てめぇ東浦さんと仲いいじゃねぇかよ。付き合ってんのか?」


「付き合ってないけど」


「命が惜しかったら、東浦さんとは別れろよ。いいな、おい?」


「あの、話聞いて。付き合ってないものは別れられない」


「ふざけんじゃねぇえ! 殺すぞオラァ」


 小梨の右ストレートが、僕の顔面に入った。

 鼻が潰れてしまったが、完全再生すると怪しまれるので現状維持。


 それにしても──


「ざまぁみやがれ」


 小梨は仲間たちと歩いて行く。

 その背中を見ながら、僕は思った。


 今のはいいパンチだった。まったく容赦がない。イジメっ子特有のパンチ。


 見どころのある人間だ。欲しいかも。


 まわりに人がいないのを確認してから、完全再生で鼻を治す。

 そして小梨たちを尾行。彼らは女子たちと合流して、カラオケ店へ向かった。ちなみに早苗さんはいなかった。


 僕はカラオケ店近くの路地で張り込み。

 やがて小梨たちが出てきて、解散した。


 僕は口笛吹きながら、一人になった小梨を尾行。やがてひと気がなくなったところで、肩をつかんだ。


「どうも、小梨くんっ!」


 小梨がギョッとして、僕を見やる。


「あぁ!? 南波、てめぇ何のようだ?」


「君の無慈悲ないじめっ子パンチに、僕は惚れた」


「気持ちワリぃこと言うんじゃねぇ! 離せクソが」


「諦めて、小梨くん。これも運命だ。さぁ、この指を見て」


 小梨祐一に指を突き付けて、


「《種族チェンジ》!」



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 不良グループのリーダーを、 尾行して、孤立を狙って、モンスター化。 種族によっては人間社会への復帰は絶望的。 悪、即、ざまぁ。 良い感じにフロアボスが馴染んでます。
[良い点] こういうサイコパスっぽいの好き
[良い点] 人間性を捨て去った主人公 安っぽいテンプレ感情を見なくてすむからええわぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ