逆柱
ももは、まーちゃんに今考えてる事を伝えた。
「私がもっと顔が小さくて、目がパッチリしてて、勉強もできてたら、もっと生きやすいと思う?」
「さぁ、どうでしょうね?何かありましたか?」
「同じクラスに、頭が私の拳くらいで、目がパッチリして、スポーツできて頭も良くて、性格もよくて、家は金持ちで、何でも完璧な子がいて。
あんなだったら、私はもっと生きやすかったかな?て。」
「確かに。私がモデルさんのように綺麗だったら、人生変わってましたかね。
うーん、でも、外見が変わっても私は私で不器用にしか生きられない気もしますね。
ただ、私にとっては、ももさんの全て、欠点は逆柱みたいに魅力的ですが。」
「逆柱って?」
「古い日本には、建物は完成した瞬間から、崩壊が始まるという考え方があって、日光東照宮の陽明門にある12本の柱のうち、あえて1本だけ彫刻の向きを逆にして建物を未完成の状態にしています。
一流の職人があえて完璧なものを自らわずかな未完を残すことで、災いを遠ざけ、永続的な繁栄と美しさを保ち続けようとする昔の人たちの美学ですね。」
「すごい。わざと間違えるの?」
「完璧なものはあとは壊れるしかないですからね。
ちなみに私は完璧な人の話を聞くと、その人の欠点が逆に気になります。」
「あー、確かに。」
「完璧な人の歯に青のりとかついてたら、興奮するタイプです。」
「ふふっ」
「私は、完璧じゃないももさんが、とっても魅力的です。
そして、家事も機械もスポーツも駄目、たくさん逆柱がある私の事も好きになってくれたら嬉しいです。
日本人には、完璧を求めすぎない思想が遺伝子に残ってるはずですから、よろしくお願いします。」
「ふふ、今の未完のまーちゃんが大好き。」
「私の人生、未完のままで苦難の金継ぎだらけですが、自分では、かなり景色がよい器になってるんじゃないかと自画自賛してます。」
「まーちゃんは、とっても綺麗だよ。」
「ふふ、ありがとうございます。」
2人の会話はそこで終わったけど、その後の「余白」をゆっくりお茶を飲みながら楽しんだ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたらうれしいです。




