第50話 夜、線を繋ぐ
玄女峰から戻ったその夜、林瓶は床の端に長く座っていた。
灯りはつけなかった。窓の外の月明かりは明るく、地面の上に灰白色の四角い光の斑を落としている。窓枠の格子の間から篩われて、床の端と地面の間に斜めの明るい線を描いている。彼は暗がりに座り、背を壁に預け、視線はあの光の斑に落ちていたが、何も見てはいなかった。
彼は断片をつなぎ合わせていた。
頭の中に一本の線があった。ずっとずっと前から走り始めていた。具体的にどの日からかは言えない。祭祀の日かもしれない。その後のある日かもしれない。しかし今、その線は直面しなければならない位置にまで来ていた。
彼は最近のものから遡った。
一昨日のあの時。彼女は窓辺に座り、彼を「林師兄」と呼んだ。最初の一文字が一瞬止まった。彼が「どうかしたのか」と訊くと、彼女は首を傾げ、真剣に困惑した——「何が?」。逃げもせず、怒りもせず、本当に理解できなかった。あの表情を彼はまだ覚えている。何も書かれていない一枚のきれいな紙のように。
さらに前へ。廊下で写経していたあの時。彼女は詩を書かなくなっていた。彼が「まだ詩を書いてるのか」と訊くと、「最近はあまり書いてない」と言った。そして何気なく訊いた。「前に言ってたあれ——何て名前だっけ?」。彼女は忘れていた。あの詩を。あんなに長く練習して覚えた『問劉十九』を。名前すら覚えていなかった。
さらに前へ。蔵経楼の入口のあの時。彼は蔵経楼の入口で遠くに彼女を見た。彼女が唐執事に向かって笑った。彼に向けたものではなかった。あの笑顔は自然で、日常的で、彼の記憶の中で彼女が彼に向けて笑った時のものと変わらなかった。しかし相手は別の人間だった。
さらに前へ。春になって最初の化霊丹の配達のあの時。彼女は彼の名前を呼んだ。口調はすべて正常だった。しかし彼はあの時すでに、玄女峰がだんだん静かになっているのを感じていた。
さらに前へ。年明けの会議のあの時。玄霜が彼のために発言した。会が終わった後、宗主が彼女だけを残した。彼はあの日、具体的に何が起こったのか知らない。しかしあれ以降、何かが変わったことを知っている。
彼は暗がりに座り、この線を後ろから前に辿った。
結論ははっきりしていた。彼女の記憶が褪せている。春になって最初の化霊丹を届けた頃から始まり、一昨日の「何が?」で明確な地点に達した。単なる小さな変化ではない。彼女自身が、自分の記憶が薄れていることに気づいていないのだ。
では、誰が知っているかもしれない?
彼はあの配薬の時に彼女に訊いたことを思い出した——残篇のこと。彼女は言った。太乙宗のすべての絶学は残篇だと。玄山鎮世秘典も残篇。鎮岳守心訣も残篇。玄牝功も残篇。歴代の宗主は人を遣わして探させた。偽物を持ち帰った者もいれば、戻ってこなかった者もいる。
あの時、彼の頭の中に一つの考えが走った。玄玉だ。訊こうとしたが、口に出さなかった。残篇で既に十分に敏感だ。これ以上先に触れれば、どんな線に当たるか分からなかった。
今は分かっている。あの線は鎮獄峰の裏のあの鉄の扉の中にある。
彼は前回の修繕の時にあの扉を見たのを思い出した。岩壁に嵌め込まれたものだ。扉には枯れた蔦が絡まり、扉の隙間から極暗い光が一筋漏れていた。彼は遠くに立ち、近づかなかった。しかし音を聞いた。誰かが遠くで彼を呼んでいるようだった。あの音は今の誰のものでもなかった。
あの時、彼はそれが誰か分からなかった。後になって分かった。玄玉だ。彼が床板に刻んだあの字だ。
彼はずっとこの名前を避けてきた。この名前は深すぎる。最初に穿越した時、原身の死。その後、いくつもの推測。触れたら爆発することを知っていた。だから彼はそれを書棚の最下段に押し込み、あの葵花神典と一緒に置き、雑書で覆い、今は時期ではないと自分に言い聞かせた。
しかし今は「時期がいいか悪いか」の問題ではなかった。玄霜は目に見える速さで記憶が薄れている。配薬のたびに、そのぶんだけ削られていく。詩を覚えていない。彼を林師兄と呼ぶ。なぜ「どうかしたのか」と訊くのか理解できない。あと何度か行けば、次は何を覚えていないのか、考えたくもなかった。
彼は玄玉に会わなければならない。血の滾りではない。この道しか残っていないのだ。




