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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第四・五部 帰還編
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コラボ発表記念SS青森編『味噌カレー牛乳ラーメン』

昨日もお伝えした通り、「青森編」です。

津軽海峡フェリー様の「ブルーグレイス」は、青森市と室蘭市を繋いでいますので。


「アベル、昨日話したカレーラーメンを覚えていますか?」

「うん? ああ、カァリーラーメンか。シンソに作ってもらうやつだよな。俺が親書を出す」

「え、ええ。大ごとになってしまったやつです」

乗り気のアベルはナイトレイ王国の国王であり、大ごとにしてしまったけど内心、(うれ)しいと思っている涼は筆頭公爵である。


「実は、僕の故郷の北の地には、味噌(みそ)カレー牛乳ラーメンというものがあります」

「故郷の北の地というのは、昨日言っていたのとは……」

「昨日の室蘭(むろらん)とは違う場所です。ただフェリーでは結ばれているんですけどね」

「ふぇりー?」

アベルが首を傾げる。

フェリーを知らないらしい……当然と言えば当然か。

だが涼は、そこはスルーする。


「青森味噌カレー牛乳ラーメン、これもまた、その地におけるソウルフードなのです」

「魂に刻まれた食べ物、とか言っていたやつだな」

「ええ、ええ。カレーラーメンに味噌と牛乳が加わっている……正直、どんな味なのか想像ができません」

「だが、ソウルフードと言うことは……」

「そう、美味しいのは間違いありません」

アベルが言い、涼が力強く頷く。


人々に長く愛されてきたソウルフード、美味しいのは当然なのだ。


「しかし、その『みそ』というのは何なんだ? 牛乳はあれだよな、ミルクだよな」

「ええ、ミルクです。そうですよね、味噌は分からないですよね」

アベルの疑問に、涼も理解を示す。

ナイトレイ王国で味噌を見た覚えはない。


かつてロンドの森にいた頃、涼は味噌汁を作って飲みたいと思ったことがあった。

しかし、元になる大豆の入手困難さから諦めたのだ。


東方諸国に飛ばされて、その中心ともいえるダーウェイでは、味噌を使っている気がする料理を食べた……多分。

だから、この世界に存在しないわけではないのだが……。

「多分、ダーウェイで食べた料理には、使われていたものがあったと思うんです」

「なるほど。ダーウェイということは……他では手に入らんか」

少し残念そうな表情のアベル。

涼と同じくらい、食に貪欲(どんよく)である。

「腹ペコ剣士の名は伊達(だて)ではありません」

「ん? なんか言ったか?」

「いいえ、何も」



涼は記憶を呼び起こす。

「味噌は家庭でも作ることはできる……のは確かです」

「ほっほぉ。リョウは作り方を知っているのか?」

「なんとなくですが……」

知っているからこそ、ロンドの森で試そうとしたのだ。


「ざっくり言うと、大豆をたっぷりのお水に()けて、()でて、その間に米こうじと塩を合わせて……ああ! 米こうじが必要になりますね」

「コメコウジ?」

アベルの知識の中にないということは、ナイトレイ王国においては一般的なものではないということだ。


「我々は、米こうじを探す旅に出る必要があるかもしれません」

「それは……カレーラーメンの協力要請以上に大ごとじゃないか?」

「仕方ありません。食の道は長く遠く続いているのです。その道を進み続けるということは、大ごとなのです」

「もっといい方法があるぞ」

「え? 何ですか?」

食い気味に、しかも顔をずいっと寄せる涼。

「ハインライン侯爵に情報を集めてもらう」

「え……」

「ハインライン家の情報収集能力は中央諸国一だ。俺たちがあてもなく旅に出るよりも、(はる)かにいいだろう?」

「何たる公私混同(こうしこんどう)

さすがに大きく目を見開いて呟く涼。


「そうか、じゃあ、やめるか。何年かかっても自分たちで……」

「いいえ、宰相閣下にお願いしましょう。開発に成功すれば、王国の新たな食文化の一つになるかもしれません。決して、僕らの私利私欲(しりしよく)からではありませんから!」

涼は新たな解釈を加える。


そう、民のためになるのであれば、私利私欲で情報機関を動かした、という弾劾(だんがい)は受けないはずだ。


「何としても米こうじを探し出して、新たな王国の食文化の一つとするのです!」

「最初に作る予定だったのって、ミソとかいうやつじゃなかったか?」

「あ……」

食の道は、果てしなく続いていくものらしい。


涼とアベルは、はたして味噌を生み出せるのでしょうか。

いつか機会があったら、そんな物語も書いてみたいですね。


今回は筆者、コラボが嬉しすぎてSSを書いてしまいました。

村瀬さんたち三人による、アニメ「水属性の魔法使い」のアフタートークの中で、

本作品に関して「上品」という言葉が出てきていましたね。

今回のフェリー「ブルーグレイス」……グレイスの意味の中に「上品」というのがあります。

ですので個人的には、ぴったりなコラボだなと思っています。


青森と室蘭ですので、簡単に「乗ってください」とは言いにくいのですが……筆者は難しいのですが、家族が行く気になっています、はい。

限定御船印『水属性の魔法使い×津軽海峡フェリー』も手に入れてくるそうです。

(下のタイアップページに色々と書いてありますよ!)

とてもありがたいですね!


TVアニメ「水属性の魔法使い」タイアップ特設ページ

https://www.tsugarukaikyo.co.jp/guidance/mizuzokusei-20250728/


津軽海峡フェリー様

https://www.tsugarukaikyo.co.jp/

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『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
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