コラボ発表記念SS室蘭編『カレーラーメンと豚肉のやきとり』
本編の途中ですが、特別なSSを入れさせてください。
素敵なコラボが発表されましたので。
ちなみに明日は「青森編」を投稿します……。
涼とアベルは、進むスキーズブラズニル号の甲板で串焼きを食べている。
「これは鳥ですが、世の中には焼いた鳥の肉ではないのに、『やきとり』と呼ばれる串焼きが存在します」
「鳥じゃない? 何の肉だ?」
「豚肉です」
「ほぉ……それはそれで美味そうだな」
「ええ、これが美味しいんですよ」
アベルが想像し、涼が記憶から答える。
「僕の故郷でも北の地方で、そういう所があるのですが、その地のソウルフードとなっています」
「そうるふーど?」
「そう、直訳すると『魂の食べ物』です」
「凄いな、それは。まあ、昔からその土地の人たちの中に根付いている、土地を代表する食い物って感じか」
「そう、魂に刻まれた食べ物なのです」
アベルの柔らかな解釈に対して、深みのある感じを出した解釈を提案する涼。
本当に深みがあるかは誰にもわからないが。
「アベル、世界には様々な食べ物があります」
「うん? 当たり前だろう?」
「とても美味しい食べ物同士を掛け合わせると、さらに美味しい食べ物になることがあります」
「それも当たり前だろう?」
熱弁する涼、それを前に首を傾げるアベル。
「僕らはカレーを知っています」
「ああカァリーな。美味いよな」
「ええ、ええ。味と香りで、世界に冠たる食の王様と言う人もいます」
「そ、そうか」
涼の大げさな表現に、否定する必要はないが受け入れるのは微妙だという表情のアベル。
「時にアベル、ラーメンは知っていますか?」
「確か……トワイライトランドでリョウが食べた料理だよな。すごく美味かったと」
「ええ、あれもまた、世界に冠たる食の王様でしょう」
「王様がたくさんいるんだな」
「当然です。この世界にだって、たくさん王様はいるじゃないですか。アベル王とか、ルパート陛下とか」
「ルパート陛下は皇帝……」
「細かいことはいいのです!」
ぴしゃりと言い切る涼。
「僕の故郷のある地域には、その二つを組み合わせた恐ろしい食べ物がありました」
「カァリーとラーメンか?」
「ええ、カレーラーメンです」
涼が真剣な表情で頷く。
「北にあるその地では、数多の店が『室蘭カレーラーメン』という特産品を提供していました」
「さっきの豚肉を使った『やきとり』とかいうやつも、北の地方って言ったよな」
「ええ、まさに同じ所です」
「いいな、その土地」
アベルが頷く。
美味しいものは、みんな好きなのだ。
「そのカァリーラーメンは……美味い、よな?」
「愚問です。数十年に渡って地元で愛された料理、美味しくないわけがありません」
「だよな……いいな、俺もちょっと食ってみたい」
「分かります。僕も食べてみたいですが……」
涼は首を振る。
日本にどころか、地球に戻る方法は不明であるために。
だが、閃いた。
「トワイライトランドの真祖様に相談してみましょうか。カレーラーメンを作ってくれませんかと」
「作ってくれるか?」
「オリジナルの室蘭カレーラーメンを超えるのは、無理かもしれません。それでも、努力はしてくれるでしょう。あの方、ラーメンのために国を建てるくらいですから、かなりの美食家です。もしかしたら昔、現地で食べたことがあるという可能性も、ゼロではないかも……」
「いいな! よし、王国に戻ったらアベル王の名で、カレーラーメン制作に協力を頼めないか、親書を送ろう」
「大ごとになってしまいました……」
乗り気のアベル、想定以上になってしまい首を振る涼……だが嬉しそうだ。
美味しいものの話題は、人を嬉しくさせる。
その証明なのかもしれない。
本日7月28日、新造船「ブルーグレイス」× アニメ『水属性の魔法使い』のタイアップが発表されました!
「ブルーグレイス」は、2025年8月8月に就航する新造船です。
津軽海峡フェリー様によって、青森県青森市と北海道室蘭市を結ぶフェリーとして就航します。
ええ、それで、このSSは書かれたわけです。
船内では、涼(村瀬歩さん)の船内アナウンスもあるそうで……。
詳しくは、以下、公式サイトのお知らせをどうぞ!
TVアニメ「水属性の魔法使い」タイアップ特設ページ】
https://www.tsugarukaikyo.co.jp/guidance/mizuzokusei-20250728/
津軽海峡フェリー様
https://www.tsugarukaikyo.co.jp/




