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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第四部 第二章 西へ
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0720 スキーズブラズニル号

ウィットナッシュを出港して一時間後。

甲板には、まるで冒険者の様な服装でくつろぐ国王と、いつものローブでくつろぐ筆頭公爵がいた。

当然のように、アイスクッション付きの氷の椅子(いす)に座っている。

当然のように、二人の前の氷テーブルには、コナコーヒーが()れられたカップが置いてある。


「こうしていると、多島海地域や東方諸国を思い出します」

「そうだな。(なつ)かしいな」

涼の言葉に、頷くアベル。


そう、あの時はイリアジャ姫がいた。

後に女王となるが……。


「あの時に比べると、護衛の数が少し多いですね」

「そうだな、少しな」

涼とアベルの視線の先には、五十人の王国騎士団員がいる。

さすがにごつい鎧ではなく、軽い革鎧を着ている。

騎士付きの従士(じゅうし)と呼ばれる者たちは、今回の旅には同行しない。

騎士が自分たちだけで鎧の着脱を行うし、その他の行動も自分たちだけで行う。


そんな王国騎士団は、二人の中隊長から、訓示か注意点を聞かされているようだ。


「あの二人って、ザックさんとスコッティーさんですよね」

「そうだな」

「アベルの学友さんでしたよね」

「そうだな」

「可哀そうですよね」

「何がだ?」

「アベルの学友であるばかりに、西方諸国にまで駆り出されて……」

「仕方ない、それも仕事だ」

「何でもかんでも仕事のせいにするのはどうかと思うんです」

涼は小さく首を振る。



そんな二人の元に、赤い服の老人がやってきた。

もちろん後ろからは、自律移動式の棺桶(かんおけ)がついてきている。


「良い香りじゃな」

「マーリンさんもどうぞ」

涼はそう言うと、マーリンにもアイスクッション付きの氷の椅子と氷のカップを生成し、フレンチプレスに残っていたコーヒーを入れた。


「ほぉ……これはまた……美味いのぉ」

「でしょう? ナイトレイ王国が誇る、コナコーヒーです。王国のコナ村というところで採れるのです」

マーリンが称賛し、涼が嬉しそうに説明する。


涼は、マーリンがコーヒー好きであると認識している。

マーリンの西ダンジョンを訪れた際、二度も素晴らしい暗黒コーヒーを出してもらったからだ。

それはとても美味しかった。


だから、コナコーヒーの良さも分かってもらえるはずだと。



「なるほど。普段からこれほどのコーヒーを飲んでおれば、ダンジョンで出した暗黒コーヒーの良さも分かるな」

「ええ、ええ。あれも素晴らしいコーヒーでしたよね」

やはりマーリンも、涼と同じことを考えたようだ。


コーヒー好きは、どこ産のコーヒーでも美味しいものは認めるのだ。


そして、ここにはもう一人、コーヒー好きが。


「暗黒コーヒーというのは、もしかして暗黒大陸産のコーヒーか?」

「そうですよ。暗黒大陸まで行かなくとも、西方諸国ではけっこう広がっていた印象です」

「ぜひアベル王にも、暗黒コーヒーを試してもらいたいのお」

アベルが問い、涼が答え、マーリンが薦める。


良い物を同好(どうこう)()に薦める……それは、いつの時代、どんな世界でも良くある光景。

人の本質は、時代、場所に関わらず同じであるという証左(しょうさ)かもしれない。


「西方諸国、その先の暗黒大陸に行く楽しみが、また一つ増えたな」

嬉しそうに笑うアベル。


国のお仕事、国王としての役目で異国を訪れるのだとしても、楽しみはあっていいはずだ。

笑顔で訪れるためにも。



「ああ、そういえばリョウは、暗黒大陸語は話せるか?」

「え? 話せるわけないでしょう」

「そうか。なら、船に乗っている間に勉強してもらうことになる」

「え……」

「もちろん強制ではないが、話せるようになった方がいいんじゃないか?」

「それはそうですが……」

アベルの言葉に涼は頷く。


東方諸国に飛ばされた時……正確には多島海地域に飛ばされた時、そこから東方諸国に移動する船の上で、涼とアベルは東方諸国語を勉強した。

それによって、ダーウェイなどでは快適な暮らしを送ることができたのだ。


旅行に行く際、現地の言葉を学んでおくことの大切さを、身をもって体験した。


「学ぶのはいいんですけど、誰が教えてくれるんですか? 確かあの時は、機関長さんが教えてくれましたけど……乗組員の誰かですか?」

「乗組員は全員、暗黒大陸語を完璧に習得しているそうだ」

「なんと……」

「だが忙しいだろうから、教師を頼んではいない」

「え? 僕は独学?」

「いや、王国騎士団も、暗黒大陸語を話せない者たちは、一緒に勉強する。リョウだけじゃない、安心しろ」

「安心しろと言っても……先生は?」

「俺だ」

アベルはにっこり微笑んで答えた。



たっぷり三十秒、無言の涼。



しばらくして、ようやく口を開く。

「アベル……暗黒大陸語、分かるんですか?」

「ああ、分かる。సంపూర్ణంగా మాట్లాడగలడు」

「後半の意味は……」

「完璧に話せる、と言ったんだ」

「むむぅ……」

実力を見せつけるアベル、ぐうの音も出ない涼。


「まあ、いいです。訪れる先の言葉を事前に学べるのはありがたいですからね。どんとこいです!」

「いいな、そのやる気。俺が教えるとなったら、王国騎士団の連中もやる気に満ちていると、ザックとスコッティーが言っていたが……。やる気がないよりはやる気がある方がいいよな」

アベルは何度も頷く。


「ああ、ザックさんとスコッティーさんも、アベルの授業を受けるのですね」

「いや、受けないぞ。あの二人も暗黒大陸語は話せる」

「なんですと……」

「王立高等学院では必修科目だったからな」

「恐るべし、エリート教育……」

そう、二人はアベルの学友。


「俺は、学院に入る前から王城で学んでいたし」

「帝王学……」

「そういうものだ」

「教育格差反対! 学びの機会均等を!」

涼はシュプレヒコールをあげるが……あとに続く者はいない。

もちろんアベルは無言で肩をすくめるだけ。


いつの時代、どんな国においても、為政者候補たちは外国語の習得は絶対必要とされる。

それは、この世界においても同様らしい。

中央諸国と西方諸国は、同じ言葉だ。

方言の違い、程度の差はあるが、ほとんど気にならない程度の違い。


そうなると、『外国語』というのは暗黒大陸語になるのだろう。

東方諸国とは、全く行き来が無いのだから。


「僕は出遅れたようですが……頑張ります、やってみせますよ!」

涼は拳を突き上げて決意表明した。



しかし……。


「でも僕には、もっと直近の楽しみがあります」

涼が嬉しそうに言う。


「直近の楽しみ?」

「ええ。この船の料理です!」

アベルが首を傾げ、涼が答える。


そう、この船旅は、二十日以上かかると言われている。

海路調査を兼ねているが、さすがに国王が乗船したために、今回は西方諸国から来た時の海路を戻る。

元々、海域情報の乏しい航路だ。

何度も通って、情報の精度を上げるのは必要な措置でもある。


西方諸国から中央諸国には二十二日で到着した。

もちろん、帰りがそれ以上にかかる可能性はある。


そんな長旅の楽しみと言えば、当然食事。


だが、国王陛下は懐疑的(かいぎてき)だ。

「それは、まあ、美味い料理が出れば嬉しいが……船だぞ? 乗組員と、騎士団も含めた随行員を入れれば、百人を軽く超える。それだけの食材もだが、厨房(ちゅうぼう)でも調理は難しいだろ。たまにはいいものも出るかもしれんが、基本は干し肉なんじゃないか?」

「か、可能性はありますが……でも、多島海地域では美味しいものが出ましたよ」

「ああ……ローンダーク号のスーシー料理長だったな」

「さすがアベル……完璧に覚えていますね」

「恩を受けた人の名前は覚えているもんだろ?」

「も、もちろんです……」


アベルが当然の顔で言い、それほど名前を覚えるのが得意な方ではない涼は、詰まりながら同意する。


もちろん、会った人全員、覚えようとは思っているのだ。

思ってはいるのだが……。

スーシー料理長は覚えていたが、他の船員さんたちは……十人くらいしか……。


「ま、まあ、ローンダーク号はいいです。でも、あの船みたいに、長い旅をするなら料理は美味しいのを希望します!」

「希望するのは自由だ」

「希望こそが、人を生かし続けてくれるエネルギーなのです!」

「……」

涼の熱弁に、何も言えなくなるアベル。


ちなみに、ずっと同じテーブルにいるマーリンはコーヒーを楽しみながら何も言わず。

コーヒーも楽しめていないレグナも何も言わず。

その間にも、甲板上でお仕事をしている乗組員たちも何も言わず……。



涼の熱弁は続く。

「僕は、整然と仕事し続けるスキーズブラズニルの乗組員の皆さんを見て確信しています」

「うん?」

「この船の料理は美味しいと」

「……その二つは関係があるのか?」

「当然です」

自信満々の涼。


「海の上には、美味しい露店があるわけではありません。乗組員の人たちのストレスの発散は、厨房で作られた美味しい食事しかないのです。つまり、彼らが良い表情で仕事をしているということは、船で提供される食事が美味しいからに違いありません」

堂々たる涼の主張。


「彼らも……昨日までは、ウィットナッシュの街に出ていただろ? そこで飯、食ってたから良い表情なんじゃないか?」

「あ……」

アベルの指摘に言葉を失う涼。


確かに、何週間かウィットナッシュに停泊していたのだから、ご飯はウィットナッシュで食べたかもしれない。

ウィットナッシュは大きな港町ということもあって、食事は美味い……。


「そ、それでもです。美味しくない食事の船であれば、余計に、これから数十日の食事の事を考えれば、乗組員の表情は暗くなるはず。でも、彼らの表情は明るいです」

「だから、この船では美味い食事が提供されるはずだと」

「ええ、そういうことです」

「まあ、俺もそうあってほしいとは思う」


涼が再び自信をもって頷き、アベルも否定する必要もないために受け入れた。

どうせ、夕方には分かるのだからと。



スキーズブラズニル号は交易船である。

西方諸国と暗黒大陸の間での交易を想定して設計され、造船された。

船足が驚くほど速い。

そのために、純粋な交易だけでなく、政府上層部などが大陸間を行き来するのにも使われる……そういう想定もされていた。


だから、船尾には貴賓室(きひんしつ)がある。

船長室とは別にだ。

これはとても珍しい。


「そんな貴重な貴賓室を、我が物顔で占拠するアベル」

「いや、どう考えても国王である俺が使うしかないだろ」

そんな貴賓室で、問題点を指摘する筆頭公爵、指摘じたいが変だと主張する国王。


「船の上ではみんな平等です。国王陛下も見習い水夫も、みんな等しく一人の人間なのです!」

「……俺が使わなかったとして、誰が貴賓室を使うんだ?」

「え……っと……誰か、別の偉い人……」

「じゃあ、筆頭公爵のリョウだな」

「ぼ、僕は必要ありません!」

強い拒否反応を示す涼。


涼は、そういう変な特別扱いは苦手なのだ。

月一ケーキ特権などは要求するくせに。


「だいたい、別の偉い人って言ってるのが変だろう? 船の上ではみんな平等なんだろう?」

「ぐぬぬ……」

正論で押し返すアベル、やり込められる涼。


元々、無理筋(むりすじ)なのである。


「仕方ありません、アベルの使用を認めます。ですが使うからには、真面目に仕事をしてくださいね」

「知っているかリョウ。その貴賓室のテーブルで、俺とリョウとパウリーナ船長には、特別な食事が提供されることがあるらしいぞ」

「何でそれを早く言わないんですか! 特権万歳! アベル国王の(いち)家臣(かしん)、ロンド公爵とは僕のことです!」

手の平を返す涼。


『特別な食事』が何かは分からないし、その頻度も分からないが、国王用の料理が美味しくないわけがない。

そう、偉い人の近くにいれば美味しいものにありつける……いつの時代、多くの世界で通じる共通項。

たまに毒見をやりすぎて、あるいは過剰に健康に気を遣い過ぎて、味気ない食事を出される偉い人もいるが……ナイトレイ王国ではそういうことはないのだ。



二人がそんな会話を交わしていると、パウリーナ船長が、一人の男性を連れて貴賓室に入ってきた。

「失礼いたします、陛下。本船で、料理長を担当しているコバッチを紹介させてください」


パウリーナ船長が紹介したコバッチ料理長が頭を下げる。

大きな体に、ふっくらした顔。

かなり緊張しているようだが、とても人が好さそうな感じだ。

「よ、よろしくお願いします」

「料理長、美味い料理を頼む」

「はい陛下! お任せください!」

アベルが声をかけると、パッと顔が明るくなり元気に返事をした。



これから料理を完成させて持ってくると言って、一度、パウリーナ船長とコバッチ料理長が下がる。


そして残された国王陛下と筆頭公爵の間で交わされる会話。

その対象はもちろん、コバッチ料理長。

だって料理長は、見るからに……。


「美味い料理を作りそうだった」

「どことなく、ルン冒険者ギルドの料理長さんを思い出します」

アベルと涼は意見の一致をみる。


ルン冒険者ギルドの厨房は、安くて量が多くて、なにより美味しい料理を提供していた。

その厨房を取り仕切る料理長は大きながたいの元冒険者で、いつもニコニコと料理をしていた印象がある。


「さっきは緊張していましたけど、最後は笑顔が素敵でした」

「美味い料理を作る自信があるんだろう」

「これは期待できます」

「全く同感だ」

涼もアベルも、楽しみに料理を待つことにした。



十分後。

二人に同席するパウリーナ船長もテーブルにつき、すぐにコバッチ料理長が入ってきた。


「本日は、陛下の西方諸国への旅立ちを記念する一日目ということで、西方諸国民誰もが知る伝統の料理……それでいて最も美味しいと言われる『ニュー様の料理』を振る舞いたいと思います」

「ほぉ、それは楽しみだ」

「ニュー様の料理?」

コバッチ料理長が嬉しそうに説明し、アベルが楽しみな顔をし、涼が首を傾げる。


そう、涼が首を傾げたのは、どこかで聞いた覚えがあったからだ。

そして、出てきたのは……。


唐揚(からあ)げ!」

思わず涼の口をついて出る正解。


「ロンド公爵閣下は、カラアゲをご存じでしたか」

満面の笑みのコバッチ料理長。


涼は何も言えないまま、何度も頷く。

そう、何度も何度も。


涼が食べたのは、聖都マーローマーの西にある街ゼピュロスであった。

確か、メニュー表に『カラアゲ定食』と書いてあったので注文したら……出てきたのだ。


それはまごうかたなき唐揚げであった。


そして今、目の前のテーブルに並ぶのも……大皿に山と盛られた唐揚げ!



「これは美味そうだ」

アベルが頷いている。


「どうぞ陛下、お取りください」

「大皿に盛りつけられたカラアゲを、好きなだけ自由に取って食べるのが伝統となっております」

コバッチ料理長が言い、パウリーナ船長が説明する。


「そうか。では一つ……」

アベルはそう言うと、豪快にフォークで突き刺し、そのまま口に持っていった。


国王というより冒険者としての食べ方。


口に入れると、熱いのかハフハフしているが……口内に広がる肉汁に目が大きく見開く。

傍から見ても美味しそうなのが分かる!


「これは美味いな!」

口の中に入れた唐揚げを飲み込むと、アベルは絶賛した。


「ありがとうございます!」

満面の笑みのコバッチ料理長。


無言だが、笑顔を浮かべて何度も頷くパウリーナ船長。


船長としては、不安が無かったと言ったら嘘になるだろう。

中央諸国の大国として知られるナイトレイ王国の国王……それも若くして英雄王とすら呼ばれる王を、西方諸国に案内することになったのだ。

ただでさえ、船上では不便な思いをさせる。

国の高い立場の人間が、そういう環境では不機嫌になりやすいというのは、もちろん知っている。


だがそれらは、「船の上ですから」と言って封殺(ふうさつ)することができる。

船の上では、王ですら船長の言うことには従う……それが海の伝統だから。


そんな、ある種の緊張状態を改善する最も有効な手段は、美味い食事だ。

これは古今東西(ここんとうざい)、人である以上、変わらない真実。


だが今回、そこに問題がある。



中央諸国の王を、西方諸国の人間がもてなす……。



西方諸国の味を、中央諸国の王が認めてくれるかという問題。

こればかりは、やってみなければ分からない。


スキーズブラズニル号の艤装(ぎそう)が完了し、海に出たこの半年以上、コバッチ料理長が乗組員らの胃袋を満たしてきた。

その味は、西方諸国の美味の多くを食してきたと自負するパウリーナ船長からしても、最上級の評価をすべきもの。


そう、どんな料理でも、すごく美味しい!


だから、コバッチ料理長の腕には全幅(ぜんぷく)の信頼を置いている。


だが、それでも……中央諸国の王の舌を納得させられるかは、やってみなければ分からない。



結果は……完璧だった。



「ああ、本当に、これは美味しい……」

続けて、筆頭公爵も食べている。


目を閉じて、本当に美味しそうだ。


そこまで見て、パウリーナは確信した。

コバッチ料理長の腕は、中央諸国の王侯貴族をも満足させると。



出航初日にして、船長パウリーナが抱えていた大きな悩みが、消え去った瞬間であった。

大切なお知らせ


明日2025年1月10日は、12時と21時の二回投稿を行います!

なぜ一日二回投稿なのか?

それは、明日になったら分かります。


楽しみにお待ちください。


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『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
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