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異世界ライフは美しい!  作者: 清水悠


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11【かわいい侍女たち】

「 …… あの …… セナ様 …… もうお休みでしょうか……」


コンコンとノックは続き、扉の向こうから細い声が聞こえてくる


訪ねてきたのが騎士だったなら、このまま寝たふりをしてスルーしようと決め込んでたけど、どうやら声の主は女の子のようだ


「 あの…… セナ様 ……」


ノックも声の主もなかなか諦めそうにない

仕方なく私は扉へと向かった


カチャ


扉を開けるとそこには二人の女の子が立っていた


あら可愛い


私が無言のままでいると、後ろの方の女の子が恐る恐るといった感じで口を開いた


「 お、お休みのところ申しわけございません! あの …… セ、セナ様は、祝宴をご欠席されるとお聞きしましたので …… お、お、お食事とお召し物をお持ち致しました!!」


 正直いって、今夜はもう人と関わりたくなかったけど、食事と聞いて感情よりも空腹が勝った。

それに緊張からか二人ともとても怯えていて、特に目の前にいる小さな女の子の方は、ガタガタと今にも卒倒してしまいそうに見えた


めちゃくちゃ断りにくい


「どうぞ」


そもそもこれを断れるなら、今頃元の世界に戻ってるわよねと思いながら答えると、二人はホッした様子で部屋の中に足を踏み入れると、立ち止まってポカンとした


「すご〜いッ!!」

「なんて素敵なお部屋ですの!!」


それを聞いて私は「おや?」と思う。

状況から察するに、この女の子達は王様が話していた「 侍女 」さんなのだろう。だとすると当然お城の事に精通しているものだと思ったけど、この様子だと、彼女達はこのお部屋に入るのは初めてのようだ。そんな部屋になぜ私が? やはり『勇者』という存在はそれほどまでに特別な存在なのだろうか


そう思うと、この世界に残ってしまったことがズシリと重く後悔となりのしかかる



「セナ様! お食事はこちらのテーブルで食べられますか? それともテラステーブルになさいますか??」


「 テラステーブル?」


「 ええ、こちらにございます。夜でも素敵な眺めですよ」


女の子は窓の方に駆け寄ると大きな扉を開いた

サァッと心地よい風が部屋の中を流れ、外の景色が見える

 そういえば、この世界に来てから外の景色を見るのは初めてだ。私は自然と外に足を踏み出した


「わぁ〜すごい!」


テラスの広さは30畳くらいだろうか?

床は大理石が敷き詰められていて、オレンジとオフホワイトの市松模様になっている。手すりも全てグレーの大理石造りのようだが、手すりの中柱はチェスの駒みたいな造りになっている。既に太陽は沈んでしまっているから遠くの景色を見渡すことは出来ないけど、それでも充分ここが本物のお城の真っ只中であることを改めて実感した


「 あちらに見えますのが大広間でございます!」


手すりから斜め下を覗き込んで女の子が指をさした


あ、ああ、あれね?


遠くの方にギリシャ神殿にある大きな柱が何本も並ぶ大部屋が見えた


めちゃくちゃ広いじゃない!?

あれが大広間なら最初にいた部屋は小部屋ね


手前にある大きな木が邪魔で見えにくいけど、たくさんの人がテーブルの上に料理や飲み物を運んでいるのがここからでも確認できた。あのテーブルの状態だと、会場の準備はもうほとんど整っているのではないかと思う。ホスト側ではなく、ここで高みの見物ができる立場というのがなんだかおかしな感じだ。改めて働かないのって気持ちがいい


「 本当にご出席なさらないのですか?」


おずおずと女の子がそう尋ねてくるけど、私はそれに答えなかった


「 食事は部屋の中でいただきます。テラスへの扉も閉めてください」


こちらの部屋の方が宴会場より高い位置にあり、間に木々があるからあちらからはこの部屋が見えにくいだろう。でも万が一見えた場合のことを考えると、祝宴という大事な席を欠席しておいてテラスで食べるのはどう考えても失礼だ


本音はテラスで食べたい


「 お城のテラスで侍女の用意した食事をする」


なぁにそのイベント?

床に転げ回って喜びたいほどやりたいイベントだったけど、私は心を鬼にして部屋の中へ戻った


女の子は宴の欠席を尋ねたことで、私が機嫌を損ねたと勘違いしたのか、顔を真っ赤にして慌てている。いやいやそういうことじゃないのよ


「 か、風邪気味なのかなんだか喉が痛くて。夜風に当たるのはあんまり良くないんじゃないかと思ったの」


別に風邪なんて引いてないけど、最初からお付きの女の子と険悪ムードになりたくはない。少しはフォローしておこう。

 彼女たちは私の言葉を素直に信じてくれたようで、明るい表情に戻った


「 それはテラスでのお食事は良くありませんわね! 窓もお閉めいたしますわ!」


「 ありがとう」


私が優しく微笑むとまた頬を赤らめる。

まったく、この国の女の子は本当に可愛らしい子が多いのね。私もだけど彼女達だって緊張しているのだろう、くるくると動き回る女の子達の邪魔にならないよう、所在なく窓の外を眺めていると、今度は小さいほうの女の子に声を掛けられた。


「 お食事のご用意が整いました。」


えっ? もう?

早くない??

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