part3
それから私達はセントウェスティアに向かって歩いていき、無事に到着しました。
そして、予定通り私達は冒険者ギルドで登録を済まし、晴れて冒険者の仲間入りをしました。
ここから、私のあるべき姿を求める物語や、リョーヘイさんの、世界を救う旅が始まるのでした……
なんて、そんなすんなりテンプレ通りに行くほどこの世の中は甘くないんですよ。まあ、型通りの人生なんてつまらないですし、聞きたくもないですよね?
つまり何が起きたのか、ですか……まあ、セントウェスティアまでの道程で一悶着あったわけですよ。
あのゴブリンと戦闘を行った森からセントウェスティアまでは歩いて2日か3日かかるかぐらいの距離がありました。よって、当然の如く途中で、ウェスティア中央山脈のそばに位置する村に立ち寄り、休息をとったんですよ。
その村で、ちょっと奇妙なことが二つほど起きたのですよ。
まず一つ目。
村の宿屋に荷物を置き、夕食の準備が整うまでの暇つぶしがてら二人で近くの森の散策に出かけました。雑談をしながら歩いていると、リョーヘイさんが突如話を止め、謎の人影を指差して、
「……何やってるんだろうあの人」
と私に聞いてきました。その人影の様子から察するに、その人はうずくまって何かをしていました。しかし、その何かが何かは私には当然わかるはずも無く、
「さあ……」
としか私は返すことが出来ませんでした。が、その瞬間、
「うおっひょーーーーーーーーーー!!」
その人影の方向から訳の分からない奇声が聞こえ 、
「何が起きたあああああああああああ!?」
リョーヘイさんもほぼ脊椎反射の勢いでツッコミを入れていました。
そのリョーヘイさんのツッコミを聞いて、奇声を発したのと同じタイミングで飛び上がったのでしょうか、その人は立ったまま固まり、恐る恐る後ろを振り向きました。そして私達の姿を見て、
「み……見ていたんですか……?」
と、その人は聞いてきたので、
「「はい」」
と、私達は正直に答えました。そして、その人とリョーヘイさんの話はさらに続きました。
「それはそれは……失礼しました、お見苦しい所が出てしまいました……」
「あ、はい。ところで、どうしてそんな奇声を上げていたのですか?」
「やはり気になりますか……それでは、こちらの身分を明かしましょう」
そうして、彼は自己紹介を始めました。
「私の名前はジョーと申します。近年、私は数百年前の魔法具を集め、今の時代の機械と融合させることで新しい発明品を作る研究をしております。まあ、まだ主だった成果は出ていないのですがね……」
そう言われてみると、確かに研究者ですね、とわかるような格好をしていました。動きやすいように改良された白衣を身にまとい、眼鏡もかけていました。腰や背中には護身用だと思われる銃も身につけていました。
「そして、最近このあたりに、昔存在していた『転移の石』と呼ばれるものが埋まっているという情報を聞きつけ、発掘調査をしていたのですよ。そしたら、なんと見つかったのですよ!!」
そう言うと、彼は石を取り出しました。その石は、そう、過去の時代で、ライラスさんが使っていた物と同じ、あの転移の石でした。まあ、本人が使っていたかどうかは知りませんが。
彼は続けました。
「これをこうしてああしてああやれば……うっひょっひょっひょ……」
その時のジョーさんは汚い笑顔を振りまいていました。全然癒されることもなく、ただただ嫌悪を覚える、そんな笑顔でした。
「はっ!ご、ごほん」
そしてジョーさんは我にかえり、
「そして、あなた達は一体何者ですか?」
そして、私達は自身の身の上についてジョーさんに話しました。すると、ジョーさんは、
「ふむ……と、すると、リョーヘイ、でいいんですか?」
「はい」
「君には勇者の力が宿っている、ということでいいんですね?」
「ええ」
「ふむ……と、すると、勇者の遺跡とかそこら辺に行くわけだ……うーむ……」
何やらジョーさんは考え込んでいました。
「いや、まてよ……リョーヘイ、そもそも君は本当に勇者の力を持っているんですか?」
「どういうことですか?」
「もし、勇者として旅立っているなら、セントウェスティアのような都市の王とかからもらった、もしくは先祖代々から村に伝わっているような、何かしらの神器を持っているはずだけど、見せてくれますか?」
そう言うと、リョーヘイさんは難しい顔をしました。確かにこの時、リョーヘイさんは、例のライラスさんのように神器を持っていませんでした。
「神器……そう言われてみると確かに持っていませんでしたね……」
「じゃあ君は勇者の力じゃない何かを勇者の力と勘ちが」
「でも、見ててくださいよ?」
ジョーさんの言葉を遮り、リョーヘイさんは剣を抜くと、空に向かって勇者の一撃を放ち、
「これで、どうですか?」
と、自身の力を示しました 。その聖なる力をみて、ジョーさんは、
「なるほど……確かにその力、サンダー系の魔法を剣に纏わせただけとは到底言えないですね……うーむ興味深い……」
と、また考え込みました。いくらか時間がたち、ジョーさんは言いました。
「よし、私もその旅に同行しましょう」
「え!?それまたどうして!?」
リョーヘイさんは突然の提案に驚きました。もちろん私も驚きましたよ。
「君は神器を介せずに勇者の力を放てる……これはかなり面白いと思ってね。君のそばで、君をずっと見ていたいと思ってね」
「ジョーさん……そういう趣味だったんですね……」
「マリーちゃんそんな意味で言ったわけじゃないよ」
「ですよね」
「さらに、私がいれば、勇者の遺跡とかの特定に役に立つと思いま?悪くはない話ですよね?」
「まあ……はい……」
どうやらリョーヘイさんも悪くは無いと思っているようです。
「と、言うわけで、これからお願いしても、いいですかね?」
「「はい!!」」
そんなこんなで、なんと旅の仲間として、ジョーさんが加わることになりました。




