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09 雑魚、今後の方針を聞く

「では続いて今後の三人の活動方針をお伝えしますわ!!」


 スクリーンには以下の文字が映し出された。


 ・動画主体

 ・配信はオマケ


「え、配信はオマケなんだ……」


 簡素すぎる活動方針に対して真っ先に反応を示したのは獅子野さんだった。


「ゲーム配信を無限にやりたかったのですわね?」

「やりたいッス」

「させませんわーーー!!! というかさせたらまずいですわーー!!!!」

「えー!?」


 獅子野さんはかなりショックを受けている。


「あなたたち、高校生でしてよ? 深夜帯はもちろんですけれど、長時間の配信を許すわけにはいきませんわーー!!!」

「ちなみに具体的にはどのぐらいッスか?」

「バイトと同じ感覚で考えてますわ。つまり、時間帯は午前5時から午後10時まで。長さは一日8時間、週で40時間が上限ですわーー!!!」

「あ、そのぐらいはしてもいいんだ。でも午後10時以降ダメなのは厳しいッスね」


 獅子野さんはウンウンと唸っている。

 正直、配信というものをつい先ほど動画で見たばかりなので、そもそも配信がよくわからない。

 したがって、黄金崎さんが出した条件を良いとも悪いとも判断できなかった。


「もっと具体的な今後の予定はこんな形になりますわ!」


 スクリーンには以下のような文字列が表示された。


 ①プロジェクト発表3D動画(全員)

 ②自己紹介配信(全員)

 ③各自活動(例)

   ・歌ってみた動画(夜見山月子)

   ・ゲーム配信(虎隈らび)

 ④コラボ配信(三人)


「まずは上の予定をこなしていきますわ!!!」

「え、ちょっと待ってほしいッス。3Dのモデルもあるッスか!?」

「ありますわーー!!!!」


 画面が切り替わり、先ほど紹介されたイラストが3Dモデルになったものが画面に映し出される。

 夜見山月子、虎隈らび、由宇数人。

 3Dのモデリングに詳しいわけではないが、車内で見た3Dモデルとなんら遜色ない出来に見える。


「すごおおおおおおい!! かわいいいいい!!!!」


 獅子野さんはキャッキャキャッキャと喜んでいる。

 ワイルドな印象の獅子野さんがもはや懐かしい。

 獅子や虎というよりはおやつに喜ぶ犬だ。


「あ、あのう」


 おずおずと倉林さんが手を挙げる。


「なんでしょうか倉林詠!!」

「これ、すごいお金かかってますよね……?」


 キャッキャと喜んでいた獅子野さんがピタリと止まる。


「これってわたしたち……借金とかすることに……?」


 倉林さんはプルプルと震えている。


「えっ。そ、そんなの、う、うそッスよね……?」


 つられるように獅子野さんもプルプルと震える。


 黄金崎さんはにっこりと笑う。


「もちろんタダですわーー!!!!!」

「よかったああぁぁ」

「ありがとうございます!!!」


 倉林さんと獅子野さんは手をあわせて喜んでいる。


「当たりまえですけど、この2Dモデルにも3Dモデルにも制作費用は相当かかってますよね?」


 僕は黄金崎さんに尋ねる。


「もちろんですわ」

「その費用は僕らがVTuberとして活動していくことで取り戻していくことができるんですか……?」

「そのあたりの話はあなたたちは正直興味がなさそうだと思っていたのであまり話す気はなかったのですが……」


 黄金崎さんは倉林さんと獅子野さんの方に視線をやる。


「?」

「?」


 二人ともタダという言葉に喜んでいて、そのあたりの話には興味がないようだった。


「……僕一人でもいいので、そのうち話を聞かせてください」

「わかりましたわー!!! それではこれで活動方針のお話も終わりですわ! 色々と細かいことはその都度お話をしますわ」


 そう言って黄金崎さんはスクリーンの映像を切った。


「では、本日は解散としますわーー!!! 久我優斗! あなたの部屋を案内しますのでこちらへ!」

「はい」


 エレベーターの方へと歩いていく黄金崎さんの後ろに僕はついていった。

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