10話:結婚式
ステンドグラスからは光が差し込んできている。
俺は今バージンロードを歩き終え新婦の入場を今か今かと待ちわびていた。
「流石にこの展開は予想できなかったよ」
神が聖職者として招かれていることを除けば、至って普通の結婚式場だ。
「裏切られた君が哀れに思えて、過去に戻してあげたら、まさか記憶が残っていた魔王に攫われて、最後には結婚式を挙げるなんてね」
「俺はあんたがここにいる方が予想外だよ」
神なのに。
「まあまあ。野暮なことは良いじゃないか。ほら、新婦の入場だよ」
目の前に敷かれたバージンロード。その向こう側にまるで天使のような魔王が現れた。隣にはマジシズ。先代魔王はもう、お亡くなりになられたそうだから、その代役らしい。
赤い絨毯の上を悠然と歩くその姿は、とても魅力的で、思わず見惚れてしまっていた。
彼女はいつの間にか隣に立っていた。そして、結婚の誓いに移った。
「勇者ソラ、汝、健やかなる時も悩める時も魔王ルナを支え続けることを誓いますか?」
「誓います」
「魔王ルナ、汝、健やかなる時も悩める時も勇者ソラを支え続けることを誓いますか?」
「誓います」
「では、指輪の交換を」
魔王はベールを外し、俺たちは指輪を受け取り、見つめ合う。
俺はそっと魔王の手を取り、左手の薬指に指輪をはめる。
続いて、ルナが俺の手を取り指輪をはめる。
「では、誓いのキスを」
俺はルナの頬に手を当て、ゆっくりと顔を近付けた。その時、ルナがバッと抱きついてきて、その小さな唇が俺に触れた。
「びっくりした?」
貪り食らうような長い長いキスの後、はにかみながらそんなことを言うルナ。
その笑顔がとても可愛らしくて、今度はこちらからキスをした。
周りからは声が上がる。ルナは頬を赤く染めた。
「ここに神の名の元に、この2人が夫婦であることを認めます」
聖職者役の神がそう宣言すると参列者たちは一斉に立ち上がり、こう叫んだ。
「魔王様!ご結婚おめでとうございます!」
喝采の中を歩く俺たち。
小さな声でルナが言った。
「ふふっ、幸せ」
本当に小さい呟きだったけれども、俺には聞こえた。
これからどれだけ彼女の笑顔が見れるだろうか?
俺はそっと彼女を抱き寄せた。
『過去に戻った勇者が魔王にとことん振り回されるお話』、これにて完結とさせて頂きます。
『心温まるお話』を目指して書かせて頂きましたが、どうでしたか?
楽しんでいただけたのなら幸いです。
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最後に、本作品を読んでいただいて本当にありがとうございました。




