表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッセイ書いたんだよ!  作者: 赤井"CRUX"錠之介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

273/276

『ガンバの冒険』イカサマ〜生きるも死ぬもサイの目次第〜

 先日、MXにて『ガンバの冒険』の再放送が始まりました。これは理屈抜きに熱い、まさにザ・昭和なアニメなので、未見の方には是非とも見ていただきたいですね。

 出崎統監督が手掛けたこの作品、原作では総勢十五匹の仲間がいるのですが……出崎監督とスタッフたちは、この仲間の数を大胆にも七人にまで減らし、代わりに個々のキャラを濃くしました。

 そんな中、原作・アニメ版ともに最高の存在感を放っているのが、今回紹介するイカサマです。はっきり言って、主人公であるガンバをも完全に食ってしまった感がありますね。




 ストーリーを簡単に紹介します。街ネズミのガンバは「海が見たい」という思いつきから、船乗りネズミの開くパーティーへと参加します。そこで、傷だらけの小ネズミ、忠太が転がり込んできました。残忍な暴力と恐怖で故郷の島を支配している巨大な白イタチ・ノロイを倒すため力を貸して欲しいと懇願する忠太でした。

 しかし、船乗りネズミたちは躊躇します。彼らにとってノロイは伝説であり、災厄です。その怖さを知っている以上、下手に動くことなどできません。

 そんな中、ガンバはただひとり「俺が行ってやる!」と名乗りでます。やがて、そのガンバの熱い思いが六人の仲間たちを動かしていき、彼らはノロイを倒すため島へと向かうのでした。


 さて、ここで語られるイカサマですが……最初の彼は、たまたま行き先が同じ方向の船に乗っていた、というだけの間柄です。はっきり言うと、ノロイを戦う気など全くありません。


「ノロイと戦う? 俺は、わざわざ死にいくほどバカじゃありませんや」


 そんなセリフを吐きつつ、ふたつのサイコロをもてあそぶ……そう、イカサマという名の示す通り、彼はネズミの世界の博徒なのです。風の吹くまま、気の向くまま。あちこちの街に流れて行き、サイコロ博打でネズミたちをカモにして食べているアウトローなのですよね。

 そんなイカサマは、言葉の通り途中で降りていきます。ガンバたちも、成り行きから同じ港で降りることとなりました。

 ところが、そこでイカサマが地元のネズミたちと揉め事を起こしてしまい、ガンバたちもそこに巻き込まれてしまいます。

 どうにか囲みを突破し、船に乗り込もうとしたガンバたちでしたが、ネズミはまだ追ってきます。そこにイカサマが登場し、こう言うのです。


「ここは俺に任せて、さっさと行きな!」


 そう言うと、追ってきたネズミを叩きのめします。ガンバは別れを告げ、その場を去ろうとしますが、そこでイカサマが問いかけます。


「ガンバ、教えてくれよ。お前、なんだってノロイと戦うなんてバカなことを決めたんだ?」


 その問いに、ガンバはこう答えるのです。


「そんなこと、俺にもわからねえよ! ただ、島へ行け! ノロイをやっつけろ! って尻尾が言いやがるんだ!」


 この答えに、イカサマは「えっ、なんだよそれ……」という表情を浮かべて見ているだけでした。


 やがて船が出港するのですが……そこには、なんとイカサマも乗り込んでいたのです。


「なんだ、本当は俺たちと一緒に行きたかったのかよ?」


 そう言われたイカサマでしたが、こう返します。


「そんなんじゃねえや。サイの目が、お前らと同じ方向に出ちまっただけだよ」


 こんなことを言ってはいますが、その後イカサマは彼らの心強い仲間となるのです。

 例えば、仲間が浮かれてる時に、イカサマはそっとサイコロを振ります、


「嫌な目が出たぜ。気をつけるんだな」


 そんなセリフを吐き、みんなの気を引き締めます。

 かと思うと「サイの目がいいんでね、俺は行くぜ」などと、ためらう周囲の者のアクセル代わりになったりもします。

 また、強敵に襲われた時にはサイコロを投げつけ、怯んだ隙に皆を逃がす……そんな芸当もこなします。


 そんな中、なんといってもイカサマの真骨頂なシーンは、ラスボスであるノロイの持ちかけた会食(?)の場面でしょう。

 砦に立てこもるネズミたち。そんな中ノロイは、ネズミたちのリーダー格であるガンバに「こちらに来て食事をしないか」と持ちかけます。ところが、ガンバ以外には誰も行こうとはしません。まあ、当然ですよね。もし、イタチに襲われたら命はありません。

 そこで名乗り出るのがイカサマです。サイコロを振ったかと思うと、こう言いました。


「いい目が出たぜ。俺も行くよ。ガンバ、御馳走になってこようや」


 そう、イカサマは自分の生死すらサイの目で決める男なのです。宣言通り、ガンバとイカサマはイタチの真っ只中でリンゴなんかを食べたりします。

 その途中、ガンバはノロイの魔眼(?)に絡め取られそうになるのですよね。ノロイの異様な目を間近で見ているうち、催眠術のように吸い寄せられそうになります。

 その時、イカサマがさっと声をかけ、ガンバを正気に戻す……こんな役割もしているのですよね。

 こうして、ふたりは無事戻っていくのですが……ガンバは、そっと言います。


「俺は怖かった」


 すると、イカサマはニヤリと笑っていうのですよ。


「お前、当たり前のこと言うなよ」


 そう、イカサマも怖かったのです。しかし、サイの目を信じてノロイたちと対面する……生き方そのものがギャンブラーなんですね。




 そんなわけで……生きるも死ぬもサイの目次第なイカサマの活躍に興味を持った人は、是非とも『ガンバの冒険』を見てください。あなたの心に、巨大な歯型を残してくれると思います。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
懐かしいですね ネットで噂になってました 必要以上に怖く描かれてましたねイタチ 実際猫より怖い存在かも 因みにフェレット飼ってるユーザーは 見た事無いとか ┐(´д`)┌ヤレヤレ
動物ネタでは「ウォーターシップダウンのウサギたち」が大好きです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ