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第一話

 科学とデジタル。その両方が急速に発展した世界の日本。

 近未来的な建物が建ち並びながらも僅かな自然が残るとある街では、二人の少年が肩を並べながら目的の場所へ向け足を進めていた。


「さて、今日もAランク目指して頑張りますかね」


「毎日毎日BofS(バトル・オブ・シェル)ばっかり、飽きないねツナは。まぁ、毎度それに付き合う僕も大概だけど……」


「当然だろ!だってよ、めっちゃ楽しいし、おもしれぇじゃんか!」


 目的の場所までの道を軽快な足取りで進んでいく桜色の短髪が特徴的な少年・桜木(さくらぎ)ツナ。まだ眠いのか?その横でメガネ片手に目元を擦るもう一人の少年・一条(いちじょう)ワタル。


 BofS 『バトル・オブ・シェル』

 この世界における競技型ロボットバトルの総称である。

 数十年前に製造された第一世代型を始め、ここ近年の急速な技術発展に影響を及ぼした巨大ロボット。当初は軍事的な利用を想定して開発・量産が行われていたが、世界各国による協議の結果により世界共通競技として落ち着いた。

 BofSは、パイロットである自身が搭乗する機兵『S(シェル)』とそれを自分好みカスタマイズする『C(カスタム)』カードを必要とする。


 ツナとワタルが街中を歩き続けること数分、二人は目的の場所【BofS専門ショップ】に到着した。

 店内はBofSに関する品々やある程度の量の飲食物が揃えられた棚、天井には各地の対戦映像が鑑賞できる大型モニターが並んでいた。

 店に入った二人は、カウンターに立つ一人の青年と目が合う。


「はよっす!彩里(あやさと)さん」「おはようございます」


「二人ともおはよう。って言ってももうそろお昼だけどね」


 ツナとワタル二人と挨拶を交わすこの店の店員で冴えない顔の青年・彩里


「今日もバトルかい?毎日頑張るね」


「おうよ!早くAランクパイロットになりたいからな」


 彩里の質問に両腕でガッツポーズを作るツナ。


「Aランク?ツナくんは、最近Bランクに昇格したばっかりじゃ……」


「ああ、3日前にな」


 首を傾げ頭上に?マークを浮かべる彩里を前にツナは元気に答える。


「それだと、まだAランクには上がれないよ」


「えっ!?なんで」


 彩里の告白にさっきまで勢いのあったツナの表情が固まる。


「BofSでは急速なランク変動をさけるためにランク昇格後の一週間は昇格に必要なスコアポイントが加算されないんだ」


 固まっているツナを前に人差し指を立てて丁寧に説明する彩里。


「……マジ?」


 彩里の説明が受け入れられないのか?信じられないのか?ツナは、隣に立つワタルに確認する。


「マジだよ。彩里さんが嘘の説明するわけないだろ。と言うか、知らないでランク上げしてたのか?」


 慌てて確認するツナに対し、そんなことも知らなかったのかとワタルは呆れた様子で返す。


「マジかよ!?ずっと、ただ勝ち続ければ良いのかと思ってたぜ」


「公式サイトなり、マイページなり確認すれば分かることだ」


「はぁ〜、一回も確認したことないや」


「は!?ツナ、お前ネット使わない訳じゃないだろ」


「ネットはマンが読むか。対戦映像見るか。くらいしか使わねぇからな」


「……まじかよ」


 変なところで無知な友人を前に額に手を当てるワタル。そんな彼の横でツナは頭の後ろに手を当てながら笑うのだ。


「それじゃどうする?解散にするか?」


「いいや。バトルしてくよ。その前にCカードとか見て回るけど」


「僕帰って寝たいんだけど、はぁ〜。まぁ、ここまで来たし、付き合ってあげるよ」


「サンキューな!」


「VRシステムを使う時は声かけてね。それじゃごゆっくり〜」

 

 そんな仲の良いツナとワタルのいつものやり取りを見つつ彩里は仕事に戻るのだった。店内作業をする中、二人の楽しげな声を彩里の耳は拾う。

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