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異世界転移物語〜傍若無人なおっさんの成り上がり〜  作者: ゴディバン
第四章 絶望と救出
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57話 脱出そして再び未開地の旅

 ドラゴンが仲間になり、安全だと理解したウルフ達が出てきて合流する。


 するとハナコが「ん!? 近くに魔物の気配が多数するんじゃが?」と言い出した。


 「ああ、ファントムウルフやシャドーウルフと従魔契約しているからな。見えないけど、近くに彼らが居るんだ。」


 ハナコに彼らウルフの幻影化や存在などを色々と説明した。


 『そうなのか。ワシもテセウスと従魔契約を結ぶと彼らと話せるのじゃな?』


 「まあ、そうなんだけど。いいのか?従魔契約って従うって事になるんだぞ?」


 『はっはっは。そんな些細な事、構わんよ。むしろ絆が深まり良い事じゃの。』


 「そうか。じゃあ従魔の契約をしようか。名前は〝ハナコ〟のままで。」


 腕の従属紋がクアドラプル(4重)になり、従魔の契約が完了した。


 『ふむ。懐かしい感覚じゃの…。』


 「大賢者とも契約してたのか?」


 『ああ、彼とは色々と冒険したものじゃ。懐かしいのぉ。して、ウルフはワシの言葉は聞こえるかの?』


 『アア 聞こえル 我はファントムウルフのクロ 他のウルフ達は契約をしてないガ 我の配下ダ』


 『おお、そうか。これから宜しく頼むのじゃ。』


 『アア こちらコソ タノム』


 『これでワシは、テセウスの配下じゃ。これから主と呼ばねばならんの。』


 「呼び方は何でもいい。好きなようにしてくれ。」


 『これからワシは、主に逆らえず子を成すまで体を弄ばれるのじゃな。』


 「な、何を言ってるんだ!!」


 それを聞いたラミが会話に参戦してきた。


 「ちょっと!! ワタシが先なんだからね!」


 『主は、先ほどワシの裸体を舐め回すように凝視してからの。おお怖い。』


 「ちょっと!テセウス!見るならワタシの裸を見なさいよ!」


 (あぁぁ、怪獣にモテても男としてあまり嬉しくない…)


 シロが微笑ましい表情で俺達を見ている。アルカがハナコの同行を知れば、また女を連れてきたと怒るんだろうな。と思い少し怖くなった。


 俺はSISにハナコの利用者登録をして、情報端末を渡すことにした。手持ちの魔石は低位魔石しかない。これから良い素材などを入手できれば、優先的に情報端末分として使おうと考えている。今の端末機は、仮として使用することにした。


 「ハナコ、SISの登録と情報端末を着けてもらう。この赤い腕輪に触ってくれ。」


 『ふむ。これに触ればいいのじゃな?主はワシに触らなくてもいいのかえ?』


 ハナコが胸を強調しながら、俺を見つめて来る。


 「な、何を言ってるんだ。触りたいけど、それは後だ。」


 『ふふふ。主は正直じゃの。じゃあ後での。』


 揶揄しながら彼女はSISへと触れ、利用者登録をした。そして魔石を腕輪端末へと変換して彼女に取り付けた。


 「これの使用方法は道すがら説明をする。簡単に言うと索敵共有の装置と思ってくれ。」


 『ふむ。長年SISを守っておったが、使う側になるとは思わなんだ。目の前に面妖な物が見えるの。』


 「ああ、それがSISの主機能である共有情報だ。他の機能は使いこなせてないので、また情報検索から調べておく。」


 そしてハナコの道案内で、B3FからB2Fへと移動する。途中、フェザースネークの大群が現れた。普通の蛇ぐらいの大きさで白い体毛が生えている。そしてふわふわと宙に浮く魔物だった。

 その速度は遅く、全く脅威にはならなかった。魔力総量の上がった俺は、ビット魔法を大量に撃って瞬殺する。すると床一面に大量の小魔石が落ち現れた。


 「おぉ、なんか得した気分だな。こんなに大量の風魔石を入手出来るなんて。皆、拾って集めてくれ。」


 このフロアにはフェザースネークが数多く現れた。魔力を節約しようと思いオリハルコンソードで戦ったが目を瞑っても勝てる相手だった。魔石は魔道具の作成に有用な素材だったので、この収集効率が高いフェザースネークを片っ端から倒し、膨大な量の風魔石を集めて魔道具袋に収納した。


 それから、ストーンゴーレムとも対峙したが、シロの打撃1発でゴーレムは砂になった。ゴーレムは土魔石となった。おそらく土魔石を核にして構築されたのだろう。初級設定のため、ゴーレムはホーンラビットより弱かったが…。


 他にもアシッドスライムと遭遇したが、ヤツらの体液攻撃は俺達には効果が無かった。これは蜘蛛を食べて毒物や中毒耐性が大幅に上昇した効果だと思う。


 その後、風魔石が欲しくてフェザースネークを探しながら進んだのだが、恐らくB2Fの魔物は絶滅したのだろう。【周囲探査】をしてもSISに輝点は表示されなくなった。そしてハナコの案内でB1Fへと移動する。


 このフロアも石材で構成されている。恐らく未開地の洞窟から最初に落下したフロアだろう。そして探査を行いSISへマッピングを行うが、ハナコの誘導で出口まで魔物と出会うことなく訓練施設の出口まで到着した。


 彼女は、果てしなく長い間、この施設に住んでいた。壁のシミを記憶する位の年月を過ごしている。別にSISが無くとも出口の場所まで誘導する程度は、朝飯前だろう。


 出口に着いた俺達は、生還への喜びで外に飛び出ようとしたのだが、ハナコがふと立ち止まり、ダンジョンへと振り返った。

 彼女は人生の大半をこの場所で過ごしたのだ。感慨深いものがあるのだろう。そして彼女がポツリと一言


「………の、大賢……ウキ。」


 聞き取れない程の小さな声で、何かをダンジョンに向けて呟いた。この時、俺は彼女の心に踏み入ってはいけないと思い。気付かない振りをした。


-----


 ようやく未開地の地上へ生還した。どれ位の時間を訓練施設で過ごしたのだろうか?1か月か2か月ぐらいだろうか?とにかく急いで魔国へ向かい、アルカを救出することにした。


 「皆、聞いてくれ。これからの作戦を説明する。ハナコの飛行で一気に魔国へ侵入したいが相手は国家だ。恐らく、探知されて迎撃される恐れが高い。そのため地上から冒険者として侵入することにする。」


 「まず、ハナコが飛行して付近一帯の地形情報をSISへ伝送してくれ。そしてクロ達は、先行して索敵を頼む。敵と遭遇しても戦闘は避けてくれ。騒ぎが大きくなるのでな。俺達はその後を行き、必要に応じて魔物や敵対勢力を倒して進むこととする。」


 「ここまでで質問はあるか?」


 『ワシは無い』「ワカッタ」「ないよ」『承知しました』


 「よし。では、SISの地形と索敵情報を元に隣のカトリク教国へ入国する。そこから街道を通り、ブランズ王国へ入国する。現在のブランズは魔国の属国となっている。そこまで入国出来れば、魔国への入国は容易となるだろう。あとは、魔都の工業特区へ侵入してアルカの救出と可能なら他のドワーフも開放して退却をする。」


 「大まかなプランはこの通りだ。ここまでで質問はあるか?」


 『ワシの地形探査は、どこまで行けばよいのじゃ?』


 「そうだな…。目印として判別しやすいのは、カトリク教国の聖都だろうな。大きな教会があると聞いた。ここから聖都の往復でどの程度の時間が必要だ?」


『ふむ。ここは…あぁ、今は未開地かの。聖都は知っておる。昔から存在するでの。往復で3日は必要じゃ。』


「3日か…。わかった。まず、この付近の上空から地形探査をしてくれ。そしてハナコの帰りを待つための野営に適した場所を確保したい。」


 俺は、ハナコに聖都まで地形情報を調べてもらい、彼女が帰還後、クロ達が先行して索敵に向かう。俺達はクロの後追いで敵情報を確認しながら進むことにした。


 聖都からブランズの街まで馬車で街道を進む。そしてブランズの街から魔都へ同様に馬車で入国をする。途中、ハナコを冒険者として登録するために聖都の冒険者ギルドに立ち寄る必要がある。魔都の工業特区に近づいてからは、幻影化したクロ達が大活躍する。俺はそのために強引に彼らと従属契約を結んだのだ。


 「じゃあ、ハナコには悪いが早速、この上空から地形情報を取得してくれ。」


 『うむ。』


 彼女が獣化して飛び立った。ドラゴンは羽で飛行をしている訳では無いらしい。〝飛翔〟の才能を持ち、〝飛行〟の魔術で技力(スキルポイント)を消費して飛ぶとのこと。つまり技力が尽きると飛べないため、一日中、飛び続ける事は出来ないそうだ。しかも速度と浮遊重量に応じて技力を消費するので、人や物を乗せると距離が短くなるのだ。


 ハナコからの地形情報が随時更新される。この一帯は大半が深い森ばかりだった。ある方向に森林の空白地帯が存在した。そこを待機拠点として野営することにした。

 クロにSISマップの説明を行おうとパネルに触れると、その場所にマーキングが行えた。ホワイトボードに書き込むような感覚だった。


 「クロ、この印をした場所で野営をしてハナコの帰還を待つ。お前達はこの場所に戦闘を極力避けて向かい、魔物に幻影化がどこまで通用するのか試してくれ。」


 『ワカッタ』


 「シロ、ラミ。俺達は歩いてこの野営地まで向かうぞ。」


 『はい』「わかった」


 この未開地の魔物は強くなく弱くない。だが、今の俺達には相手にもならない脅威度だ。クロ達でも瞬殺が可能だろう。しかし、今は幻影の検証を優先して今後の有用性を知る事が先決だった。


 俺は腕輪に変形したSISの水晶部分に触れ、ハナコにマーキングした場所へ降りるように通話する。彼女から返事が無かった。上空を見ると彼女が現れ、ホバリングして合図を送ってきた。恐らく、通話の方法が分からず、直接返事をしに来たのだろう。後で全員に説明をしなければと思った。


 そして、俺達が野営予定地に着く。クロ達は幻影化の状態で待機していた。ハナコも獣化したままで待機していた。


 「よし、ここでハナコが聖都探査から帰還するまで野営をする。この場所にマーキングをした。各自SISマップを確認してくれ。それと通話の方法を説明する。腕輪の水晶に触れて通話したい相手を思い浮かべ、魔力を流し込みながら頭の中で言葉を思い浮かべてくれ。」


 『こうですか?』(主殿、聞こえますか?)


 「シロ、そうだ」(聞こえるで)


  『こうかの?』(ドラゴンの姿は美しいじゃろ?)


 「ああ、ハナコ聞こえる」(はいはい、美しい美しい)


 「ワタシも!」(今日のご飯は?)


 「ラミも聞こえた」(蜘蛛以外にしような)


 『コウカ?』(聞こえるカ?)


 「クロ聞こえる」(聞こえる)


 各自と通話の練習を行い、端末間でも相互に通話が行える事を確認した。これで遠方でも情報のやり取りが行える。現代日本では常識でも、この世界ではあり得ない遠距離通話だ。これだけでも国家規模の技術と費用が必要になる魔道具だろう。


 「次は、クロ達が索敵したマップ情報を確認してくれ。この周囲には魔物が少ないようだ。ハナコは食事って何を食べるんだ?」


 『ワシは何でも食べるのう。魔物でも魔石でも人族でもな。かっかっか。』


 「そ、そうか…。聖都までの道中は、悪いが食事を自分で調達して欲しい。一応、渡せる食事はあるのだが…。」


 『ん?なんじゃ?ワシは何でも食べるぞえ?』


 「あぁ…。これなんだが、食べれる…か?」


 俺は魔道具袋から黒蜘蛛の足を取り出し、ハナコに見せた。まだ洗っていないので異臭が周囲に立ち込める。


 『ぬぎゃっ。くさっ!!』


 ハナコは悲鳴を上げて、遠ざかった。俺は少し悲しくなり、蜘蛛足を袋に収納した。


 『お主は何を食べておるのじゃ。それは猛毒のヴェノムスパイダーではないか!』


 「あ、やっぱり?だってラミが食べられるって言うから…。」


 「え?食べれるよ?ちょっと臭いがキツくてピリピリするけど。」


 『お主たちは、そんなものを食べて暮らしておるのか?』


 「いや、このままでは食べない。この水で洗って食べるんだ。」


 俺はそう言って泉の水を取り出し、浄化の光を放ちながら蜘蛛足を洗った。


 『うぎゃーー。ちょっと待て!それはエリクサーじゃないのか!!何をする!!』


 「うん!? だってこれで洗わないと食べられないんだ。」


 『止めてくれ!気でも狂ったのか!』


 ハナコが大騒ぎをしだした。黒蜘蛛は猛毒で、それをエリクサーで洗って俺達は食べていたらしい。変だとは思っていた。大きな傷も治り、毒っぽいのも浄化され治癒するはずだ。


 俺達は泉の水も根こそぎ魔道具水筒に入れて持ってきた。という事は膨大な量のエリクサーを保有している事になる。急にこの泉の水が貴重に思えてきた。


 『このエリクサーを飲めば魔素から栄養素を吸収して飢えはしないし、死ぬことは無いのじゃ。なのに、わざわざ猛毒のヴェノムスパイダーを洗って食べるじゃと?お主らは何がしたいのじゃ!』


 「そ、そうだったのか。知らなかった。不思議な水とは思ってたけど…。」


 『これをどこで手に入れたのじゃ?』


 それから、俺達が訓練施設で生き延びた状況を詳しく説明した。

 このエリクサーは、淘汰された魔物の養分や魔素が非常に長い年月を経て蓄積され、偶発的に生成された可能性があるとの事だった。


 『な、なんと無茶したものじゃ…。それにワシでも知らぬ空間が有ったのか。そのエリクサーは錬金術師が生成した物より弱いかもしれんが、それでも立派に効果を発揮すると見た。本職に再生成をさせれば、欠損部位も修復できる効果が期待出来そうじゃの。』


 俺はハナコの聖都までの食事代わりに魔道具水筒へエリクサーを分け入れ、渡した。そして彼女は出発すると言って飛び立った。


 「クロ、魔物か動物を食事用に仕留めて持ってきてくれ。俺達は野営の準備をする。」


 『ワカッタ』


 そして俺達は、ハナコの帰還を3日ほど待った。


 その間、SISの「情報検索」で使用方法を調べ、更なる力を入手するのだった。


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■□■□異世界転移で魔王になったよ。~極悪非道な物語~□■□■
サブのこちらも良ければお読みください。
こちらは軽いテンポと設定で進みます。
徐々に本作とサブが関連します。
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