27話 鑑定と魔法
日の出と共に目が覚める。
「しまった…寝落ちしてたか。あぁ…ちょっと触りたかったな…」
『主殿…』
ビクッ
「お、おう、シロ おはよう」
『…おはようございます』
シロは既に起きていた。独り言を聞かれたかもしれない。いや、大丈夫だろうと考えて朝食に向かうことにした。隣の部屋を訪ねてノックする。
「カミラ 起きてるか?」
「ええ、起きてるわ。すぐに行く」
カミラも起きていたようだ。昨夜は覚悟して待っていたらしい。しかし、いつまで経っても来ないので寝たそうだが、少し睡眠不足になってるように見える。そして俺達は朝食を取りながら打ち合わせをする。
「昨日は稼いだが有り金を使い切ったからな。今日こそしっかり稼ぐぞ!」
俺は2人にそう伝えて食事を終える。俺とシロの階級が低いのでカミラとパーティーを組み、上位の依頼を受ける事にする。
「ギルドに着いたらパーティー申請する。上位のクエストを受注出来るしな」
ギルドに着いた俺達は受付でパーティー申請をした。
「パーティー名とメンバーをこの用紙にご記入下さい。」
「カミラ 字を書けるか?」
「ええ、大丈夫よ」
しまった、パーティ名を考えて無かった。そうだな…パーティーが有名になった時、他に転移者が居たら気付いて欲しい。そう思いパーティー名を【ニホン】にした。全くセンスが感じられないが、同胞でこの言葉を知らない人は居ないだろう。
無事パーティ登録を終えた俺達は、依頼を選ぶ。
「この依頼とかいいんじゃないか?」
━━━━━討伐依頼━━━━━
階級:C級
内容:サイクロプスの討伐
地域:南部の森中央
条件:特になし
期限:無し
報酬:小金貨50枚
状況:
サイクロプス出現報告
現状は近隣に被害無し
予防策として討伐依頼
備考:
依頼表不要
冒険者証により討伐確認
素材は別途買取
素材:角採取で買取
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『ケイロン殿が居なくて討伐可能でしょうか?』
「大丈夫だって。アイツの目玉をガツンと潰したったらいい。」
「ケイロンって誰?」
「ああ、お世話になったケンタウロスの賢者だ」
「ケンタウロスの賢者?何それ怖い…」
「まあ、ただの馬人間だな」
俺達はサイクロプスとの戦闘経験があり、特に緊張はしなかった。あの時はケイロンの雷撃で麻痺させてから戦っていた。今回は……? あれ…? まあ何とかなるか。負けそうになれば緩慢な動きのため逃げられる相手だ。
異世界に慣れてきたのか慎重さが無くなってきた。薬や魔法で怪我が治る世界だらな。
そして俺達はサイクロプス討伐に向かった。
俺は道中【ステータス】を念じて〝才能〟を調べた。
才能──────────
【言語理解】【ステータス】
【闇纏い】【※※※※】【※※※※】
【経験値増加+】【周囲探査】
【鑑定能力】【毒物小耐性】
【中毒小耐性】【調理能力】
【闇纏い】を注視する。
闇纏い:気配を消して行動が出来る。隠密行動などに向いてる。
これを使って何とか簡単に討伐出来ないか?
続いて【鑑定能力】を注視する。
鑑定能力:経験に応じて物品などの情報が判別する。
やはり鑑定は物品が対象なのかと思ったが流れ込んできた情報をよく確認する。
"物品など"となっている。つまり物以外も可能かもしれないな。
ちょっとシロで試してみるか。
俺はシロを見ながら【能力鑑定】と念じる。
すると情報が流れ込んできた。
━━━━━━ステータス━━━━━━
種族:オーガβ種
階位:15
体力:120
魔力:20
技力:68
膂力:147
速力:66
心力:32
弱点──────────
水属性 頭部 心臓
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これは…チートが来たか!シロの情報が流れ込んできた。今まで鑑定を気にしてなかったが、戦闘や物品の判定に使える!
「シロ お前って水苦手なのか?」
『主殿 よくご存じで…』
「いや、お前に鑑定を試したら弱点に水属性って項目があったんだ」
「アンタ 鑑定が使えるんだ。生物鑑定は難しいって聞いたことがあるんだけど」
俺はカミラを見て【鑑定能力】を念じる
━━━━━━ステータス━━━━━━
種族:人間族
階位:8
体力:43
魔力:64
技力:21
膂力:37
速力:30
心力:98
弱点──────────
火属性 雷属性 闇属性 頭部 心臓
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「カミラ お前って雷と暗いところ苦手だろ?」
「な、な、なに言ってるのよ。アナタ私のステータス覗いたでしょ!」
「いいだろ、べつに。しかしお前は弱いな… これは修行しないとダメだな。心力だけ強いな… その性格の影響か??」
「ちょっと! なに言ってるのよ!! 失礼なヤツね!」
「シロ お前は心が弱いな。肉体能力は高いけど。お前も修行だな」
『はい、己の未熟さは自覚しております。精一杯、修行に励みます』
「よし、シロ!サイクロプスを発見したら探索と鑑定を試す」
『はい』
「アンタ、探索も出来るんだ」
俺はステータスについて話しているうちに疑問を思い出した。自分はクロノス神のお陰により自分のステータスを見れる。他の人はどうなんだろうか?と。
「カミラ お前は自分のステータスって見れるのか?」
「見れるわよ」
「どうやって見られるようになったんだ?」
「魔法の修行で最初に覚えるわ。魔力の流れを掴んで己を知るのよ。それが出来ないと魔法も使えないよの」
「という事は、お前は魔法が使えるのか?」
「使えるわよ。#水よ出でよ:ウォーター 」
カミラが呪文を唱えると50cmほどの水球が目の前に浮かんだ。
「おお、ファンタジーだ!」
「ふぁんたじい? なにそれ?」
「いや、気にするな。この水って飲めるのか?」
「飲めるわよ。ってか冒険者は大体使えるわよ」
「後で魔法教えてくれ」
「いいわよ。ってアナタ魔法使えないの?」
「ん?ああ、使えない」
「強そうなのにバランス悪いわね」
「まあ、そうだな…」
俺は少しヘコんだが、魔力と魔法の関係性について考察する。呪文は簡易的なものだった。聞くと術者の思念により術の結果が変わるそうだ。
魔力は電気と電波のような性質を持っていると考えている。という事は、魔道具は魔力を動力源として動作する製品と仮定しよう。まあ、家電や工具みたいなものか?すると魔法はプリンタみたいなものか?情報を送り結果を出力する感じか!なんか考えがまとまりそうだな。
術者のイメージ → PCのデータ
↓ ↓
呪 文 → 印刷操作
↓ ↓
魔 力 → WIFI
↓ ↓
魔法発生 → プリンタ出力
1.術者の思考を呪文に送る
(PCからプリンタへ印刷操作をする)
2.イメージを受け取った呪文は事象へ変換する
(印刷操作されたのでデータをPCから送信する)
3.変換された事象は魔力エネルギーを消費して発現する
(印刷データはWIFIを通じてプリンタへ送る)
4.発現した事象が魔法として発生する
(データを受信したプリンタが印刷を開始する)
うむ。馬鹿なりに身近な物で置き換えて考えてみたが、魔法の仕組みが少し理解できたのかもしれないな。少し魔法を試してみるか。魔力はクロノス神に与えてもらったからな。
俺はパソコン…
呪文は印刷操作…
魔力はWIFIを通じたデータ送信…
魔法の発生はプリンタの出力…
カミラと同じぐらいの水球をイメージして…
目の前に水球を印刷する…
「#水よ出でよ:ウォーター」
すると目の前に50cmほどの水球が現れた。
「うぉぉぉ! 出来た!!」
「え?魔法使えるじゃない」
『主殿!素晴らしい!』
バシャン!
「あ、地面に落ちた…」
「当然じゃない。ずっと宙には浮いてないわよ。これは魔力で発生した水なのよ。何かアクションを与えないと落ちるわよ」
などとしている間に南部の森に到着した。サイクロプスの発見報告は森の中央だったと思う。俺達は森を進んだ。途中でゴブリンに遭遇する。
「おい、お前達!ゴブリンには手を出すなよ」
俺は【鑑定能力】と念じる。
━━━━━━ステータス━━━━━━
種族:ゴブリン族
階位:※※
体力:14
魔力:6
技力:5
膂力:21
速力:10
心力:15
弱点──────────
火属性 風属性 頭部 心臓
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うん弱い。今なら楽勝で倒せる。
続いて【周囲探索】と念じる。半径500mほどの情報が流れ込んでくる。やはりゴブリンのみしか識別は出来ない。まだ少しだが識別種類は増えている。試したい事は終わった。俺はゴブリンを倒す。
「ゴブリンの鑑定と魔力波は調べた。他の魔物も指示するまで倒すな」
きゃぁぁぁーーーー
うぉぉぉぉーー
「ん?なんだ?」
『主殿 前方より悲鳴が聞こえます』
「誰かが劣勢になっているのかも!」
「走るぞ!」
俺達は悲鳴のする方へ全力で走った。




