【カンタービレ】決戦! マジックコロシアム! 10
早く何とかしないと、いずれ直撃しちまう。ブースト状態にしたいが、なかなかその隙を与えてくれない。
[聖奈美]:「そうやって走り回ってるといいわ」
さっきからアイツの魔法の威力が上がってるように見えるのは俺の気のせいか? 今のアイシクルボムに至っても最初に打ってきた時よりも爆発力が高かったように見える。あれだけ打っているっていうのに……どういうことだ?
[聖奈美]:「ふふ……」
笑ってやがる。俺からも仕掛けたいが……。
[聖奈美]:「そこよ! 喰らいなさい!」
[吹雪]:「なっ――!?」
しまった、一瞬の隙を付かれた。
[聖奈美]:「アイシクルボム!」
[吹雪]:「く、間に合え――うぐっ……!?」
俺は大きく後ろに吹き飛ばされてしまった。
[実況者]:「大久保選手、直撃です! 大丈夫なのか!?」
[繭子]:「ふーちゃん!」
[舞羽]:「吹雪くん!」
……………………。
[吹雪]:「うー、いってぇ……」
[聖奈美]:「く、流石に立ち上がるわよね……」
[実況者]:「大久保選手、立ち上がりました!」
[吹雪]:「すげー威力だったぜ……」
[聖奈美]:「直撃の前に、威力軽減の魔法を唱えたのね」
[吹雪]:「ああ、出なきゃ、俺は立ってない」
[聖奈美]:「倒れていればよかったのに……」
[吹雪]:「そんな簡単にはやられんよ。じゃなきゃ、つまんないだろう」
[聖奈美]:「ふん、いいわ。あたしの力、とくと見せてやるんだから」
周囲からは、何故か大きな歓声が上がった。
[実況者]:「さすがは決勝戦、両者、一歩も譲りません」
[繭子]:「ふーちゃーん、負けるなー」
[翔]:「吹雪ー、気合いだー!」
[女性生徒]:「聖奈美ー、その調子でガンガンいっちゃえー」
[男子生徒]:「大久保は疲れてるぞ、押し切れー!」
どうやら会場はもう一段階ボルテージが上がったようだ。
それにしてもだ、さっき喰らってみて分かったが、やっぱり杠の魔法の威力は増幅しているように感じた。威力を軽減してもあんなに俺の体は吹き飛ばされた。一体あいつは何をしたんだ? そんな素振りは見えなかったはずだが……。
[聖奈美]:「いくわよ。――エル・エルジオス、氷の精霊よ、我に力を与えたまえ。――アイスインパクト!」
よく目を凝らせ、杠の動きを読みとるんだ。俺は攻撃を交わしながら、杠をじっと観察する。
[聖奈美]:「…………」
[吹雪]:「ん? 何だ?」
杠のオーラが、さっきよりも濃くなっているような……。気のせいか? さっきまでは気づかないような感じだったのに今ははっきり分かる。
[聖奈美]:「もう一度、――アイスインパクト!」
[吹雪]:「――ライトニングジュエル!」
防御してばかりでは気づかれる。一度ここは攻撃をしておく。
[聖奈美]:「く、……そんなのじゃあ効かないわよ、――ブリザード!」
[吹雪]:「…………」
氷系がほとんどだというのに、こんなにも厳しい戦いを強いられるのは、やはり杠が実力者だってことだろう。いい加減何とかしないと、俺の攻撃は奴に届かない。
[聖奈美]:「ほら、今度はどうかしら?」
[吹雪]:「ちっ……」
[実況者]:「大久保選手、怒濤の攻撃に耐えられるのか?」
よく見るんだ、きっと、きっと何かがあるはず。
[聖奈美]:「…………」
[吹雪]:「ん?」
気のせいだろうか? 杠の口がわずかに動いていたように見えた。詠唱は終わっているはずなのに……。
ひょっとしたら、あいつは本当に単純なことをやってたんじゃないか? このままじゃあどっちみちやられる。温存してきた魔力を使って、一度試してみよう。とりあえず、時間を稼ぐためにも――。




