【カンタービレ】決戦! マジックコロシアム! 9 ◎挿絵あり
[聖奈美]:「いくわよ! 大久保吹雪」
[吹雪]:「ああ、こい!」
[聖奈美]:「――エル・エルゼウス、氷の精霊よ、我に大いなる力を与えたまえ。――アイシクルボム!」
やはり氷系か。氷には、炎だ。
[吹雪]:「――クロスフレイム!」
俺の魔法が、杠の魔法を打ち消す、と思われたが――。
[吹雪]:「な、何?」
[聖奈美]:「ふふ……」
杠の放った魔法は俺の魔法ではかき消えず、俺の元に一直線で飛んできた。
[吹雪]:「な、何でだ? 相性は抜群のはず」
[聖奈美]:「ふふ、あなた、あたしを誰だと思ってるの? 去年のチャンピオンよ、そんな簡単にかき消えるような柔な魔法なんて打たないわよ」
[吹雪]:「何?」
[聖奈美]:「まあ、せいぜい足掻くといいわ」
[吹雪]:「く、うわっ!?」
[実況者]:「おおっと、杠選手、最初からものすごい攻撃です」
溶けない氷、これは想像以上だ。今までのとはわけが違う。
[聖奈美]:「ほら、どんどんいくわよ! ――ブリザード!」
強風と共に、ものすごい勢いで氷が俺に襲いかかる。
[吹雪]:「くそ……」
もう一度だ、もう一度試してみよう。
[吹雪]:「――バーニングエッジ!」
……………………。
[聖奈美]:「ふふ、攻撃したつもり? それで」
うん、やっぱりダメか……。というか、溶けない氷なんて、今まで見たことがないぞ。一体どうやって……何か打開策を立てないと。
[実況者]:「杠選手、強力な攻撃で大久保選手を押しています」
[繭子]:「ふーちゃーん、気合いよ~」
分かってるって。でも今は、やり過ごすしかない。
[聖奈美]:「む、身のこなしが速い男ね。――アイシクルボム!」
攻撃する隙を与えない気か?
[吹雪]:「むう……」
くそ、防戦一方じゃないか俺。何だか釈然としないぞ。
[聖奈美]:「ふふ、やっぱり、あたしにはかなわないのかしら?」
[吹雪]:「何だと? まだ始まったばかりだ」
[聖奈美]:「早く本気を出しなさいよ、大久保吹雪」
言われなくても……。そうだな、氷の魔法を相殺しなくちゃいけない理由はない。要は杠に俺の魔法を当てればいいわけだ。よし、やってやるぜ。
[吹雪]:「――エル・エルフィリス、風の精霊よ、我に力を与えたまえ、ファインブロー!」
[聖奈美]:「んう!? この猪口才な」
杠はステップを踏んで俺の魔法を交わした。
[吹雪]:「くそ、避けたか」
[聖奈美]:「そう簡単には当たらないわよ。舐めないで」
別に舐めてるつもりはないんだが……。
[聖奈美]:「次いくわよ? ――エル・エルバヌス、氷の精霊よ我に力を与えたまえ。――アイスレイン!」
また氷系か、くそ、うっとうしいな。
空から、たくさんの氷が俺めがけて降り注いでくる。
[聖奈美]:「喰らいなさい!」
避けれるか? 俺は影を見て、落下してくる場所を予測する。
[吹雪]:「よっ――と」
何とか避けれた、と思ったが。
[吹雪]:「いって――!?」
どうやら掠っていたらしい。俺の右腕に傷が付いていた。
[聖奈美]:「また避けたのね、あなた」
[吹雪]:「そりゃ避けるだろ、普通」
[聖奈美]:「次は、外さないわよ。もう一度、喰らいなさい! ――アイスレイン!」
[吹雪]:「この……」
またしても降り注ぐ氷の雨。それに、一発目よりもたくさん降っているように見えるのは気のせいか?
[吹雪]:「いや、気のせいじゃないぞこれは」
明らかに影の量が増えている。相殺は、可能か? やるしかない。
[吹雪]:「――ウィングエッジ!」
俺は降ってくる氷めがめて魔法を放った。
バーン!
[吹雪]:「うわっ!?」
[聖奈美]:「きゃっ!?」
爆発音と共に、氷の破片が降ってきた。
[吹雪]:「これは、危ないな」
尖ってないだけいいが、少々失敗した。
[聖奈美]:「危ないじゃないの、ちょっと」
[吹雪]:「危ないって、お前が打ってきたんだろ」
[聖奈美]:「確かにそうだけど、あたしを巻き込むのはやめなさい!」
[吹雪]:「横暴だぞ、それは」
[聖奈美]:「何ですって、この――アイシクルボム!」
[吹雪]:「くそ……」




