081_蛇くんのそんな人もいましたねな。
「いつぞやの柿、そのお礼です」
八歳くらいの少年が、
見た目十台後半の少年、実際は十二歳くらいですが、
つまる所、蛇くんことナギ少年に、
包みを手に差し出します。
「お、ウルシ少年ではないですか、
今日も可愛らしいですね」
幼児です、
稚児というとちょっと違う意味になりそうではありますが、
艶やかな肌質、
祖霊になめくじ系の神族がおられるので、
しっとりとしているのです。
笹の葉に包まれたちょっと手には余る大きさのそれを、
ウルシくんはナギ少年に手渡します、
幼児の手、小さくて柔らかそうです、
というか、手渡しの瞬間に軽く触っているので、
しっかりと、
柔らかいなぁ、小さいなぁ、可愛いなぁ、
と堪能している、ナギ少年でございました、
ええ、美少年も食べられる趣味人ではあるわけでありまして、
流石に幼すぎるので、直接の対象外ではありますが、
愛でる分にはよろしいよねという、
立ち位置でございます。
「お、これは葛餅ですか、
涼しげで美味しそうですね」
笹の葉を皿にして、
いくつかの塊になっている、半透明のお菓子を、
楽しそうに眺める、ナギ少年です、
葛餅にはきな粉、白い砂糖を混ぜたそれが、
かかっているようです、
糖蜜では無いようでございますね。
「母上の得意なお菓子なのです、
味は保証するのですよ」
ちょっと、頬を赤くさせながら、
自慢するウルシ少年です。
「これは良いものをいただきました、どれ」
初夏、新緑に吹く風は、
とおきやまより来る風、
季節を超え、厳冬の、
氷室のごとし、極寒の、
それを選びし、捉えては、
空にたゆたゆ、水の気に、
絡めて、伸ばし、冷やして硬め、
いざ、白濁し、氷結の器にならん、
適当に言葉を並べ、
真言術の意味合いを作り上げ、
神術と、精霊術とも混ぜ合わせ、
秩序だった混沌に働きかける、
ナギ少年、
びょう、と冷たい風が舞、
瞬く間に、
氷の器が中に浮き、出来上がります。
いつの間にやら手にしているものは、
木製の匙二つ、
一つを幼児に手渡し、
氷の器に笹の葉ごと葛餅を移し置き、
一緒に食べませんかと、
薦めるナギ少年。
「すごい、綺麗、すごい、」
元々あまり多くない、語彙が消滅してしまった、ウルシ少年、
ちょっと遠慮はしてみたものの、
美しい顔で頼まれれると、
断れません。
またまた、少し、頬を赤らめ、
ナギ少年と、ご一緒することに。
都の御台に葛餅が乗せられ、
縁側にて食します、
それは、程よく冷やされて、
氷の器でそれがそのままにされ、
のんびりと、
食む、食む、食むと、する、
幼児と少年でございます、
冷たくて甘いお菓子を、
ただ楽しそうに、
美味しそうに、
食べている、
それだけの、お話です。
蛇くんの小さなお友達とおやつを食べるお話でした。




