079_蛇くんの国作り神話考察。
「男の大神と、女の大神がまぐわって、
州を作り上げたという話ではありますが、
見立てであることは明確ではあるのですよね、
大地というか島は別の要因で作られているわけですし、
そもそも虚空にこの大きな球状の塊ができたからこその、
島でありますし」
淡々とのんのんと、久方ぶりに書庫にこもって、
読み物をしている蛇くんとこ、ナギ少年が、
男先生、真言術の大家にして達人にして、
都の学園の特別顧問であり、
同じく、都の結界設置維持責任者であるところの、
痩身の男性に話しかけるでもなく、
話していきます。
「まあ、それはそうですね、
因果関係を捻じ曲げるくらいに、
時空間を超えて、力を使って、そうしたという、
意見もありますが、
そもそもそれであるならば、
神話が、物語の体系がおかしくなってしまうので、
あり得ないわけでありますし」
こちらも書庫の整理整頓をしながら、
話を聞くこともなしに聞いています。
「ただ、
名前が伝えられていない、創世の男神と女神はが、
存在していることは確かなのですよね、
血脈が、続いていることが証拠であり、
私にも流れているからこそ、
理屈ではなく、神の直感として、識っているわけではあります、
じゃあ、その二柱は何を作り上げたのか?
という話になるわけではありますが」
目で文章を追いつつ、話を自動的に進めていく、
ナギ少年です。
「伝えられていないのか、そもそも存在していないのか、
もしくは途中で失伝してしまったのか、
あえて隠されたのか、
または、どこかにお隠れになった影響なのかは知りませんが、
ただ、創生の神々が名無しというのはちょっと気にはなりますね」
いささかずれた返答をするのは、
意識が他に囚われているからと、
これがただの無駄話であると、違いに認識しているからであり。
「それは、州に意味を与えたのであろうかなとか、
神様の創出した土地であるという、物語を、
価値を与えたのであろうなぁと、
意味を紐付けしてみたとも言えるかもしれないですね、
で、自らの力を増した、か、
もしくはそこで初めて、誕生したか、
認識される前に意味を示したという矛盾は、
その程度なら因果関係を操作できたという、
そういう存在であったのであろうかな、
と、想像できるわけであり」
無意識に言葉を食んでいる感覚で、
述べて語る、ナギ少年です。
「どこから来てどこへ行くのかの問いそのものが、
それを体現しているような感覚ではあるのでしょうかね?
呼び寄せたのは誰なのでしょうか、
そもそも、それは意図した邂逅であったのでしょうか、
事故的な何かであった可能性も高いわけですし、
異物感があって然るべきではありますが、
なぜか、しっくりと収まるところに収まっているという、
まあ、不思議というか、まさしく神秘なのでしょうかね?」
意味があるようなないような言葉が連なります。
「であるならば、
一度、土地への意味づけを失敗させている、
物語はどう捉えれば良いのでしょうか?」
「ひるこ、かぁ」
昼下がり、書庫での無駄話に過ぎず、
蛇くんの創世神話についての考察的なお話でございました。




