063_蛇くんのおそらく戦闘行為、袖で払う。
地面が黒く歪みます、
柔らかく粘性を持った、
闇色の水のように変化します、
洛中の路地裏、
人気のない四辻、
角に人の腰くらいの高さの石碑、
蛇くんこと、ナギ少年の足元をすくい取ろうと、
黒い職種が直下から伸び、
ぺん、と、細くしかし肉がみつしりと詰まった、
足に、払われます、
筒袴、左右の脚が自由に動きやすい格好、
そのまま、踏み込み踏み出し踏み抱き、
複雑に不自然にそして自然に、
重力に逆らうように、しかし実のところ綺麗にそれをなぞり、
踊るように舞うように、華麗に、しかし鮮烈に、強靭に、
踏み締め、振り払い、振り切り裂きます。
周囲の色はややぼやけていきます、
元の色に赤茶けた闇を重ねたような、
薄紙を乗せたような色彩。
これはこりもせず、
都で一人歩きをしていた、
ナギ少年を狙った、
なめくじ一党の襲撃であるのであろうかな。
なんとすれば、まあ、粘液、触手がその証であり、
前回も見られた、局地、極寒に住むという、
太古から存在する粘液性生物、神話的な、
冒涜的なそれの、何かの従属種族的、存在。
横のつながりが、粘液仲間ということであるのかな、
意外に節操がないのかな、
というか、やはり絶滅させるのは無理なのだな、
とか、思考しつつ、
ナギ少年、神術で、神の息吹で持ってして、
払い、祓い、清めます。
いや別にこれが邪悪というわけではなく、
悪意を向けてきているのであるから、
排除する程度の意識ではあるのか?
超常のもの、常識の埒外、異常、
調和から外れたもの、
秩序ではなく混沌の象徴、
正邪で言うならば邪、
と、見立てて、
実のところは、そのような区分は恣意的であり、
相対的なものではあるのだけれども、
絶対的に、こちらが正しいと言うことにして、
消え去るよう、世界に問う。
声を上げる、
歌を歌う、
捧げる対象は、
信仰の対象である、蛇の神、
飲み砕き押し流す、濁流の象徴、
水神としての権能、
対するものを汚れと定義して、見たたて、
うつつ世から、夢へと押し流し、
祓い清めたまう。
対価を剥ぎ取る、
濁りをこしとり、
変質、無害化、有用化、
力に変えて、
我が身に取り込みつつ、
それを観る、
何がしたい、何になりたい、何を求める、
何を避ける、何を廃する、何を捨てる、
要求は、要件は、語るべき何かはあるか、
語らないところに、真実はあるのか、
そもそもそのようなものはあるのか。
これは装置、
罠に近い、構造、構築、機構、絡繰、
後ろで糸を引く、人形使い、否、
ぐるうりと回って、元に戻る、
なるほど、
「制御できてないねこれは、
どこかでやり過ぎたかもしれない、
まあ、いいや、
脅威にはなり得ない、
多分、きっと、
なったらなったで、
面白い、と言うことにしておこう」
独言、繰言、戯言、
諦めているのではなく、
楽しんでいる。
物騒な、蛇の笑い。
蛇くんの戦闘行為、袖で払うように、次を待ちかねるように。




