051_蛇くんの親戚付き合いと柵。
「と言うわけで都を滅ぼしていいですか?」
無邪気な風に尋ねる蛇くんことナギ少年です、
尋ね先は都の主人であるところのミカドさん、
「いいわけあるかい」
至極冷静に真っ当に返答を返すそのミカドさんです、
こう、真面目というか、じとめと言うか、表情が抜け落ちている、
感じでしょうか?
気苦労が見えて透ける表情です。
「でしょうね、
まあ、一応うちの家族の総意では、
まとめて滅ぼしていいんじゃないか?
と言う話に向かったことは、
ご報告しておきます」
さらりとふわりと物騒なことを宣うわけです。
「あーねーうーえー」
地獄のそこから聞こえてくる声はこんな感じなのかなと言う、
うめき声を上げるミカド様です、
この場合の姉上というのは、
蛇くんの母親であり、
災厄殺しの役目を担った、担ったていた?
超人戦士であるところの、女傑を言います。
身内には厳しい存在ではあるんですかね、
「まあ、母上は都嫌ってましたからね、
朝廷からの使者とか鬱陶しいとか、
柵が面倒臭いので、鉈で持ってざっくりざっぱり、
断ち切りたいなあ、とか良く口にしてましたから、
むしろ、無言実行で、いきなり滅ぼさないようにするあたり、
優しさが溢れているとも言えませんかね?」
擁護する気があるのかないのかのナギくんの台詞です。
「相手が国津神とはいえ、
恋愛をして、お嫁さんになって、
子供までもうけたとか、確かに、昔を知る身としては、
かなり意外であり、母親になって、
丸くなったのじゃないかなぁと言う、
感想はありますが、
本性は変わってないのじゃないかなぁ、
全く安心できないですね」
あれやこれややってきた姉の歴史を、
振り返りつつ遠いめになってしまうミカドでございまして。
「そんなにですか?」
ちょっと意外と言うまでもないけれども、
嘘大袈裟紛らわしいあたりがあるのでは?
と疑問の声を上げるナギくんです。
「いやもう、乱暴者で、乱暴者で、とにかく乱暴だったんだよ、
こう怒り出すと手がつけられなくて、
姉兄様も相当手こずってたんだよね、
まあ、その暴力性を買われて、
対外的な懲罰装置というか、
厄神処理的な立ち位置についてもらったわけで、
あれでだいぶ、精神が落ちつたみたいだね、
殴って良い先がきちんとできたから」
酷い言い草ではあるけれども、これでも多分に、
加減はしているのであろうなぁという雰囲気が、
見て取れるミカドでありました。
「なるほど、確かに戦闘好き修行好きではありましたね、
最近は妹たちにも稽古をつけているようですし」
納得するナギ少年。
「いつの間にか姪ができてた!」
驚くミカドさんです。
「三子の三姉妹です、可愛いですよ?」
惚気るナギくん。
「三人も!うんおめでたいけど、
女の子、姉上の娘かぁ」
未来の厄介ごとを脳裏に思い浮かべて、
しっかりと頭を抱えるミカドでございます。
蛇くんのというかミカドさんが親戚付き合いに悩むお話、でした。




