045_蛇くんの悪党対策、なお悪側がこちら。
これは明確にこちらと敵対するということでよろしいよな、
ならば戦争をしようではないか、
都は火の海に沈むのではなかろうか、
七日間くらいで?
「やめなさい、
洒落にならないので」
ことの顛末を聞いたミカドが、冷静に真顔に答えます。
不定形で不敵系な涙滴ではない粘液巨体に、
異界に引かれた上で、
襲われたので、
なめくじ一党を処するよと、
軽く報告した蛇くんことナギ少年であります、
一夜明けて、御所、謁見の間というか、
どちらかというと私的な、
けれどもそこそこ広めな庭であります、
春の空気が心地よく、
その季節を象徴するような鳥の音が、
聞こえます。
「まれに断末魔のような叫び声の、
鳥聲がが聞こえますが?」
耳をそれとなく傾けていた蛇くんが首を捻りつつ、
尋ねます。
「練習中なんだろうなぁ、若い個体なのだと思うよ?
まあ、先を見てあげて、暖かく見守ることも大事だとは、
思うのだけどね?」
のほほと笑いつつミカドさん。
「鳴こうとしている小鳥は生かしておくべきである、
ということではあるのかな?
まあ、実質的な被害はない上に、
むしろ取り込んで力が増したので、
お得だったとも言えますが、
それはそれ、安易に手を出すと、
面倒臭いことになるというように示しておかないと、
ただただ鬱陶しいとは思いますが?」
そこんところどうよ?
そっちで手を打ってくれるんなら、それはそれで、
こちらとしては問題ないのではという気持ちで、
視線を流しす、ナギくんです。
「なめくじというか、粘液べたべた一党とか、
軟体生物系の家系は、
基本、鱗系を糧にしてその勢力を伸ばしてきてるわけで、
そこにのこのこと、若い獲物が出て来れば、
まあ、わくわくとかわきゃわきゃとか、
やばいことにはなるわなぁ」
実力を大きく見誤っていることが大問題ではある、
そもそも、対象が、若年であっても、
国津神の直系であり、天津神との混神でもあるという、
情報を知らないわけはないのだけどもなぁ。
「むしろその血統で若いから、
嬉々として狙ってきたという話ではないかなぁとは、
思うわけではあるよ」
舐められているんだよな、もしくはいたんだよな、
もうちょっと権威やら、神威を振り翳しておくべきだったかな?
それこそ、都の結界を大きく揺るがすくらいの、
神術を奮ってみてもよかったかもしれないですね。
「やめやがりください、
うちの国づめ術者が死んでしまいます、
というか、要が私なので、私が、倒れます、
対応と復旧で、忙しすぎて」
深々と頭を下げる、
最高権力者でございました。
「正直結界がいるのかというと、
疑問が残るのではあるけれども、
自浄の循環術だけで、
事足りるような気がするのだけど、
少なくとも常時展開は無駄が多すぎるような?」
最近の話題になったので、それに乗るナギくんです。
「それな、いや不安に想う人が多いので、
結界の常時展開はしているんだけどね」
人気取りだよ人気取り、軽く手を振りながら。
「不安を煽って恐怖で縛って、
行動を自粛させようかな?
なめくじ一党、
こう、お子様可愛い盛りですね、
大きくなりましたね、とか和かに伝えてみる、案件とか?」
至極真面目に言います。
「やめなさい」
至極真面目に返します。
蛇くんの悪党的対策でした。




