036_蛙ちゃんの真言術に対する姿勢。
「げこげこ、って鳴いているのが真言術なのよね」
けろけろという顔で、可愛らしい、聞きようによっては可愛らしい声をあげます、
化粧が上手という段階ではないくらいに化けている、
蛙姫でございます。
「正確に世界に語りかけなければ、
効果がないのではないでしたっけ?」
手に入れた、学園で使用する真言術の教科書を、
めくりながら、兎娘が訊ねます。
「言葉そのものに意味があるということは確かなのですけど、
そもそも、祖霊言語であるところの、
げこげこ、とかげーこげこは、真なる言葉でもあるので、
むしろこちらの方が本家と言えるわけでして」
あっちでげこげこ、こっちで、ゲーコげこと鳴いてみる蛙姫様です、
鳴き声に合わせて、低い雨雲が、身の丈の上くらいに出現します。
「姫様、室内では降らせないでくださいませんか?
教室が水浸しになると、後片付けが大変なので」
おおっととばかりに、雨雲に命令して、
ゲコッと、
窓から外に出して、水を搾り出すようにする、
蛙姫でありました。
「祖霊言語が真なる言葉になるということなら、
現状、人が発音できるようにしている、
これらの言葉はなんなのでしょうか?」
兎娘が訊ねます。
「翻訳しているというか、神様の共通の言語として、
作り上げたのよね、
高天ヶ原の神様が中心になってるのよ、
天津神ね、
対して土着というか、国に元からいた、
国津神の言葉が、実のところ真言としては、
歴史が古いのよ」
教科書には載っていない知識を披露する蛙姫様です、
ちなみにこの知識は、祖霊がえりをした人格が、
その祖と、特殊な場所、例えば夢の中とかで、
遭遇した時に、知らされる、共通知識です。
「なんで神様はそんなものを作ったんです?」
兎姫が訊ねます。
「奉仕種族であるところの人族に、
色々と仕事を任せるために、
工夫して、簡単に力が行使できるようにしたのよ、
つまりは、下働きが欲しかったとのことよね。
神術は基本神様の血族であるか、
かなり極まった信仰心がなければ、使えない、
ええと、本格的な神様の手伝いには使えないという意味ね、
けど、
真言術なら、ある程度の知恵と技術があって、
素質とそれを伸ばす訓練を重ねれば、
小間使いくらい程度にはなれる、からだそうよ」
最も、お手伝いがいる時期はすでに過ぎているので、
今はまあ、便利使いに残っているだけの、
抜け殻っぽい扱いね、神様にとっては。
「人にとっては、やはりまだ便利な技術という立ち位置よ、
神代の時代と比べると、かなり素養が落ちていたり、
訓練も神様が絡まないので、あまり効率よくはないですけど、
それはまあ、達人ともなれば、
神様の御使いくらいの実力はまだ、達せるんじゃないかな?」
それこそ、この学園の真言術特別顧問くらいなら?
まあ、ほとんど本能的に使用できるので、
実のところ私が学ぶ意味ってあまりないのじゃないかなとは、
思っているのよね、と蛙姫はおっしゃります。
かえるちゃんの真言術に対する姿勢でした。




