022_蛙ちゃんの十年目
「鯰髭大臣こと、かえるちゃんの父親です、元気に生きています」
「よく水をかぶって姿がすごいこといになっているかえるちゃんの母です、元気ですよ?」
なんでこんな報告をするのでしょうという、
不思議そうは表情を、蛙ちゃんこと、ナダ姫に向けるお二方です、
仲の良い夫婦でありますし、
子煩悩でもあります、
あ、弟が産まれています、
家族が増えたよ、やったね、ナダちゃん、
「おいばかやめろ?」
つい口に出てしまう、傷のある色眼鏡侍女さん。
「侍女さんなんでそんな台詞を?」
不審そうな、しかし小声で指摘する、うさ耳幼馴染さん。
稀によくどこからから、電波が飛んできて、
意味不明と申しますか、
時代背景を無視した台詞がこぼれ落ちてくることがございます。
神様系の不思議案件ではなかろうかなと言う、
意見が有識者の間から出ているようではございます、
こう、創造神とか国作りあたりの神話系存在のあれこれでしょうか?
「生活のおはようからおやすみまで、
あなたを見つめる、這いよる混沌とかと言う、
輩とすれ違ったような覚えもありますね」
蛙姫、それは結構やばいやつです、
主に版権的に。
弟さんは、祖霊帰りではなく、普通?に産まれてきています。
おん年二歳、可愛らしい感じですね、
いや、まあ、その年齢で、ふてぶてしかったりすると、
それはそれで問題ではなかろうかなと言う、話ではございますが。
「この子も安産でしたわね、
初産があまり参考にならなかったと言うこともありますけど」
母君の感想でありました。
職務上のあれこれで、鯰親父殿が都の暗黒街的な、
組織といざこざに巻き込まれまして、
結構な被害、主に精神的なあれこれとか、
仕事量の増加による、帰宅困難的なあれこれとかで、
迷惑をかけられていました。
その煽りを受けて、やはり、感情的に不安定になっていた、
母親もあったわけで、
家庭環境が息苦しい感じであったのが一昨年あたり、
それを根本から解決するために、
都の暗部を経済的に、蛙姫が牛耳るのは、
自然な流れでありました。
「むっちゃ不自然というか、異常だからね、それ!」
小声で大きく突っ込むという器用な真似をする兎娘幼馴染です。
裏社会での抗争で、妖刀と劇的な出会いをした、
首落とし血まみれ兎と比べれば、結構、
牧歌的な流れではないでしょうかね?
「牧歌的な雰囲気で、焼き土下座を強要しているという、
あれは、狂気が増して良かったですね、さすが姫様と感心いたしました」
これまた小声で、感嘆しているのかばかにしているのか、
呆れているのかの、傷色眼鏡侍女さん。
そして、そのような現状を、
全く知らない両親でありまして、
一応、姫様商売的な何かをしているという報告はされています、
蝦蟇の油うりを中心にした、お薬販売業という、
偽装がされておりますね。
「麻薬とかの常習性のあるようなやつは禁止してますよ?」
誰に断っているのでありましょうか、姫様。
かえるちゃんの十年目はこんな感じでございます。




