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第2話・廻る思考は怖れて回る ~違いを知って問いかける~

第1章 制御不能の幼き見習い



     第2話・廻る思考は怖れて回る ~違いを知って問いかける~



 頭を抱えて唸るシリウムを前に、息をすることも忘れて硬直するアインは、何が悪かったのかがよく分からない。



 けれど、どうやら何か悪いことをしたのだ、ということは分かって……



 しかもその内容が『普通』ではないことだ、ということだけは分かった。




 神官呪師学校の校長ヴィロバ=エルマーニから授業時間の変更を伝えられた時にも『異常』だと言われた。



 今も、すごく困らせているのは、自分が本来、やってはいけないことをしたからだろう。




(……どうしよう……)



 震えて、青ざめたアインの視界が暗くなっていく。



(……ここに、居たら、いけなくなる……?)




 そうしたら、どこに行けるのだろう?



 神殿に居られなくなったら、皇宮に行けるのか? といえば、きっとそれはあり得ない。



 だって、自分が『おかしい』から、困らせて、迷惑をかけて、居られなくなるのだから……



 そんな、厄介な存在を、神殿が放り出すなら、皇宮はもっと、()()()()はずだ。



 皇宮には偉い人たちが住むお城もある。



 そんな、この国にとって、とても大切な、尊い方たちの近くに、こんな、厄介なものを近づける筈がない。



 そうしたら……




(……もう……あえ、なく……)




 ぐらりと上体が揺れ、座っていた椅子から滑り落ちる。




「っ!? アインっ!!」



 大きな音がして、ハッと顔を上げたシリウムは床に倒れて痙攣しているアインに驚き、声を上げた。




 苦し気に咳き込み、何とか息をする様子に、どういう訳か窒息しかかっていたことに気づく。



 慌てて呪文を唱えて呼吸を補助する精霊魔法をかける。



 うっすらと目を開いたアインは目に涙を溜めて、怯えるようにシリウムを見た。




「……お前が何を考えたのかは知らんが、今の話はお前が何をしたかの確認だ」



 その様子に溜め息を飲み込んだシリウムは、背を撫で、落ち着かせながらゆっくりと、噛んで含むように告げる。



 言葉の意味を、ゆっくりとでも呑み込めるようにと、聞こえているかを確認しながら。



「……か……く……にん……?」



 ゼイゼイと苦し気な呼吸の隙間を縫うように、アインが言葉を繰り返す。



 そう。と頷いたシリウムはアインを椅子に座り直させ、正面で膝を着いて顔を見合わせる。



「本来、魔力の剥離も神経の修復も高等技術だ。……ここまではいいか?」



 繰り返された説明に、曖昧に頷く。



 言われていることは分かるのだが、どうして『高等技術』なのかが分からない。



 様子に、よくは分かっていないようだと察して、内心で舌打ちしつつ、シリウムは話を続ける。




「まず、魔力の剥離に関して。これは魔力の『感じ分け』が絶対条件だ」



 普通、魔力を視認することはできない。



 魔法の形にすれば、色や光を帯びたり、現象が起きるので目で見ても分かるが、魔力そのものを『見る』ことは普通の人にはできない。



「お前は『見者けんじゃ』だから『見分ける』事ができたのだろうが、普通、魔力は『見えない』……だから詳細に『感じ取れる』ことが絶対条件になる」



 それができなければ、剥がすべき魔力の痕跡と、そうではない魔力とを間違えてしまう。



 そんな繊細な感じ取りができるようになるには、数年の学習では済まない。



「……ぁ……」



 人間で、唯一魔力を『視認』できる特殊な能力者が『見者』で、アインはその見者であるから『見れば』分かる。



 実際に、魔力の剥離はそうやってインス本人の魔力に触れないように、影響を与えないようにと注意して、霞のような、インスのものではない魔力だけを慎重に引き剥がした。



 自分と、他の呪師との違いを思い出して、アインもハッと息を飲む。



「次に、こっちの方が疑問なんだが……」



 そう言ったシリウムの表情に僅かな困惑が浮かぶ。



「お前、どうして神経を修復できた? 人体の構造……人の体の造りを、どこで学んだ?」


「……ぇ……?」



 真剣に問いかけられて、アインは首を傾げる。



「……人の、体の造り……?」



 そんなこと、勉強したことなんてない。




 アインが知っていることは、全部保護されてから、神殿や皇宮の授業で教えて貰ったことだけなのだから……


第1章第2話をお読みいただきありがとうございます。


アインがやってのけた「神業」に頭を抱えて唸ってしまったシリウム神官長。


「異常だ」「おかしい」と言われ続けることで、アインの心には常に『自分は厄介な存在だから、いつか放り出される』という恐怖が巣食っています。


目の前で頭を抱えるシリウムを見て、その恐怖が限界を超え、息をすることすら忘れて倒れ込んでしまうアイン。


慌てて助け起こし、落ち着かせながら「お前がやったことがどれほど高度なことなのか」を丁寧に説明し始めるシリウム。


「魔力の剥離」の理由は見者の能力で説明がつきましたが……問題はもう一つの「神経の修復」です。


人体の構造を学んだことがないはずの幼子が、一体どうやって神経を繋いだのか?


シリウムの核心を突く問いかけと、きょとんとするアイン。


果たしてその答えとは……?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第6弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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