【第14話】獣人族の姫・どうする?
今晩は。
投稿です。
私と目が合うと、その女の子の目は倍くらいに開いた。
うわぁ、大きな綺麗な目が、更に大きく……!?
シュッ、とエノンを離れ、両手を開いて、私に飛び込んできた!
ドオン!と、ぶつかって来る女の子。
「ん、きゃっ!?」
わぁ、思わず女の子みたいな声、出ちゃったよ。
……いや、女の子だって!
ふんふんふんふん。
なに?匂いを嗅いでいる!?
え?やめてえええっ!?
汗臭いんだってええええっ!
それにこの子、力が強い!
ペロペロペロペロペロッ!
ひいいいいいいいいっ!
く、くすぐったいよおおっ!
ち、ちょっと!?
どこをペロペロ!?
だ、だから汗がっ!
いやあぁん!
ぎゅっ。
びっくっ、とする女の子。
あ、手を回した!?
抱きしめているつもりなのだろうが、締め付けが、キツい!
私はそっと、手を背中に回し、よしよしをする。
「どうしたの?」
「ううううっ」
?
唸っている?
私はエノンに目を移す。
「エノン、大丈夫だった?」
こくこく。
「力が強かったけど、うち、苦しい、って言ったら、緩めてくれたんよ」
言葉は通じる?
「誰?この子?」
「ううっ、ううっ」
震えている?泣いている?なんか、孤独な感情が伝ってきたぞ?
この子、人?
記録にある獣人族みたい。
でもなぜここに獣人族が?
ナビナナ、この子、獣人族だよね?言葉は?
(伝わります、そのまま話していいですわン)
「私は秋津川空、あなたは?」
ビクッ!
お、反応あり?
「アキ!?闘神アキ?」
?なんだそりゃ?
(!!!!!!!!!)
お、ナビナナはショックを受けたみたいだけど?
「ぼ、ぼくはシュート家・マートル……獣王季羅と獣王妃乱の11番目の子」
11……子沢山だねぇ。
「アキお姉さま、あなたは、この世界の獣人族ですか?」
「えっ!?」
アキお姉さま、アキお姉さま、アキお姉さま×∞×エコー……。
いや、そこじゃなくて、じゅ、獣人族!?
この世界の?私が!?
「い、いや、違うよ?私は人族だよ」
「え?違いますよ、アキお姉さま!アキお姉さまからは、獣人族の大人の女性の匂いがします!あなたは獣人族です!」
「えっ!?そう、言われても……」
私が獣人?
(ホルダーは過去を再現します、ご主人さまンはゴブリンでもありますわン)
ゴブリン!?
あ、確かに記録はあるけれど、どこか他人事……なんだよね。
……まあ確かに私は、胎児の時から異常なのは自覚があるけど。
「お願いです、助けてください!ぼく、お家に帰りたい!」
そう言って、泣き出すマートル。
助けてください?保護を求められた!
お家に帰りたい?
その言葉を聞いた時、私の中の何かが動いた。
ああ、これ、か、これを言っていたのか、勇者小角さまは。
パスワードでありキーワード。
勇者小角さまのパスワードは『母』私のキーワードは『お家に帰りたい』だ。
捨てられた私は、一度は家に帰った。
本当は、ずっと家にいたかったんだ。
家族と一緒にいたかったんだ。
マートルのいうお家とは、私が知っている、あの世界か?
勇者小角さんや勇者朱天童子がいる世界。
帰してあげなければ!家族の元に!
……でも、どうやって?
彼らに頼んでみるか?
いや、そもそもどうやって来た?この世界に?
「うう、エノンさまは人族になって、ぼくのこと知らないって言うし、クルミさまもゴブリンじゃないし……ここどこ?お家帰りたい、お家帰して!」
エノンさま?クルミさま?
「ちょっと待って、その前に……マートル、あのね」
「?」
「服、着よっか?」
目のやり場に困る。
「?」
いや『?』じゃなくて!
そんな綺麗な目で、私を見ないでくださいっ!
いや、この子、お顔小っちゃいし、身体は引き締まっているし、出るとこ出てるし、引っ込んでいるところは引っ込んでいるし、プロポーションが人にない造形で、魅せられるのだよ。
「服は、動きづらいから、やだ!」
いや、マッパは駄目だよ!
「マートル、ここの世界のルールだよ」
「これ、着てみて」
ぬぎぬぎ。
私は、おばさまから頂いたジャケットをそっと、手渡す。
目をキラキラさせて、受け取るマートル。
「!!!!!!」
お?尻尾がパタパタ動いているぞ?
うれしいのかな?
ふんふんふんふんっ。
え?
お顔を埋めた!?
やーめーてーぇ!!!!!
「ふ、服は着るモノ!匂いを嗅ぐんじゃありませんっ!」
奪おうとすると、ぴょん、クルミちゃんの後ろに隠れた。
「これ、ぼくの!マートルが貰ったの!お母さまと同じ匂いがする!」
「え?」
ジャケットを、着るよりも抱きしめているマートル。
「でも、この世界では着た方が、少しでも安全ですよ」
そう言って、クルミちゃんはあっさりと、ジャケットを着せてしまった。
……なんか、クルミちゃん、特殊な波動が出ているの?
あ、クルミちゃんは4人姉妹の長女だし、一番下のうめちゃんは今3歳だっけ?
面倒見がいいし、もしかして、妹扱いしている?
ジャケットを着たマートルは……エロかった。
なんで!?
なんか、マッパの方が健康美的、美しさがあった!
これ、エロい!
服を着た方がエロい場合だってあるんだ!
どうしよう?
なぜか、マートル以外の3人、赤くなる。
クルミちゃんが口を開く。
「ズボン、あったがいいよね?」
こくこく。
「あ、うち、保健室で寝ていたから、下ジャージ……」
ぬぎぬぎ。
エ、エノンが脱ぎだした!?
「ち、ちょっとエノン!?」
「大丈夫よ、アキくん、ちゃんと下、短パンだよ!」
チラ見して、目を逸らす私。
いや、同じ女子だけど、見てはいけないような気がして……。
「はい、マートル、これ、着ていいよ」
ぱたぱたっ、と再び揺れだす尻尾。
さっ、とジャージを手元に引くエノン。
「いい?嗅いだら駄目よ!?ちゃんと着るのよ?分かった?」
こくこく。
激しく頷くマートル。
いや、これは分かってないな。
ささっと、エノンの手から、ジャージを引ったくると、またクルミちゃんの後ろに隠れる。
嬉々としてジャージを……!
「駄目よ?」
クルミちゃんの一言で固まるマートル。
悲しそうなお顔で、クルミちゃんを見る。
犬だ!属性犬!わんわんだっ!
「ほら、手伝ってあげるから!」
そう言って、もそもそと……これで外、歩けるかな?
耳と尻尾はどうする?
コスプレで通すか?
でも、まず、その前に!
「ねえ、マートル、聞かせて、どうやってこっちの世界に来たの?」
次回投稿は 2023/08/20 22時から23時の予定です。
サブタイトルは 【第15話】獣人族の姫・マートル・ガーディアン参上! (でもちょっとポンコツなの)を予定しています。
第一部、75話まで挿絵が入りました。
よろしかったら、ご観覧ください。




