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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
14/95

【第14話】獣人族の姫・どうする?     

今晩は。

投稿です。

 私と目が合うと、その女の子の目は倍くらいに開いた。


 うわぁ、大きな綺麗な目が、更に大きく……!?


 シュッ、とエノンを離れ、両手を開いて、私に飛び込んできた!

 ドオン!と、ぶつかって来る女の子。


「ん、きゃっ!?」


 わぁ、思わず女の子みたいな声、出ちゃったよ。

 ……いや、女の子だって!


 ふんふんふんふん。


 なに?匂いを嗅いでいる!?


 え?やめてえええっ!?

 汗臭いんだってええええっ!


 それにこの子、力が強い!


 ペロペロペロペロペロッ!


 ひいいいいいいいいっ!

 く、くすぐったいよおおっ!


 ち、ちょっと!?

 どこをペロペロ!?


 だ、だから汗がっ!


 いやあぁん!


 ぎゅっ。


 びっくっ、とする女の子。


 あ、手を回した!?

 抱きしめているつもりなのだろうが、締め付けが、キツい!


 私はそっと、手を背中に回し、よしよしをする。


「どうしたの?」

「ううううっ」


 ?


 唸っている?

 私はエノンに目を移す。


「エノン、大丈夫だった?」


 こくこく。


「力が強かったけど、うち、苦しい、って言ったら、緩めてくれたんよ」


 言葉は通じる?


「誰?この子?」

「ううっ、ううっ」


 震えている?泣いている?なんか、孤独な感情が伝ってきたぞ?


 この子、人?

 記録にある獣人族みたい。


 でもなぜここに獣人族が?


 ナビナナ、この子、獣人族だよね?言葉は?


(伝わります、そのまま話していいですわン)


「私は秋津川空、あなたは?」


 ビクッ!


 お、反応あり?


「アキ!?闘神アキ?」


 ?なんだそりゃ?


(!!!!!!!!!)


 お、ナビナナはショックを受けたみたいだけど?


「ぼ、ぼくはシュート家・マートル……獣王季羅と獣王妃乱の11番目の子」


 11……子沢山だねぇ。


「アキお姉さま、あなたは、この世界の獣人族ですか?」


「えっ!?」


 アキお姉さま、アキお姉さま、アキお姉さま×∞×エコー……。


 いや、そこじゃなくて、じゅ、獣人族!?

 この世界の?私が!?


「い、いや、違うよ?私は人族だよ」


「え?違いますよ、アキお姉さま!アキお姉さまからは、獣人族の大人の女性の匂いがします!あなたは獣人族です!」


「えっ!?そう、言われても……」


 私が獣人?


(ホルダーは過去を再現します、ご主人さまンはゴブリンでもありますわン)


 ゴブリン!?

 あ、確かに記録はあるけれど、どこか他人事……なんだよね。


 ……まあ確かに私は、胎児の時から異常なのは自覚があるけど。


「お願いです、助けてください!ぼく、お家に帰りたい!」


 そう言って、泣き出すマートル。


 助けてください?保護を求められた!


 お家に帰りたい?


 その言葉を聞いた時、私の中の何かが動いた。


 ああ、これ、か、これを言っていたのか、勇者小角さまは。

 パスワードでありキーワード。


 勇者小角さまのパスワードは『母』私のキーワードは『お家に帰りたい』だ。


 捨てられた私は、一度は家に帰った。

 本当は、ずっと家にいたかったんだ。


 家族と一緒にいたかったんだ。


 マートルのいうお家とは、私が知っている、あの世界か?

 勇者小角さんや勇者朱天童子がいる世界。


 帰してあげなければ!家族の元に!


 ……でも、どうやって?


 彼らに頼んでみるか?


 いや、そもそもどうやって来た?この世界に?


「うう、エノンさまは人族になって、ぼくのこと知らないって言うし、クルミさまもゴブリンじゃないし……ここどこ?お家帰りたい、お家帰して!」


 エノンさま?クルミさま?


「ちょっと待って、その前に……マートル、あのね」


「?」


「服、着よっか?」


 目のやり場に困る。


「?」


 いや『?』じゃなくて!

 そんな綺麗な目で、私を見ないでくださいっ!


 いや、この子、お顔小っちゃいし、身体は引き締まっているし、出るとこ出てるし、引っ込んでいるところは引っ込んでいるし、プロポーションが人にない造形で、魅せられるのだよ。


「服は、動きづらいから、やだ!」


 いや、マッパは駄目だよ!


「マートル、ここの世界のルールだよ」


「これ、着てみて」


 ぬぎぬぎ。


 私は、おばさまから頂いたジャケットをそっと、手渡す。


 目をキラキラさせて、受け取るマートル。


「!!!!!!」


 お?尻尾がパタパタ動いているぞ?

 うれしいのかな?


 ふんふんふんふんっ。


 え?

 お顔を埋めた!?


 やーめーてーぇ!!!!!


「ふ、服は着るモノ!匂いを嗅ぐんじゃありませんっ!」


 奪おうとすると、ぴょん、クルミちゃんの後ろに隠れた。


「これ、ぼくの!マートルが貰ったの!お母さまと同じ匂いがする!」


「え?」


 ジャケットを、着るよりも抱きしめているマートル。


「でも、この世界では着た方が、少しでも安全ですよ」


 そう言って、クルミちゃんはあっさりと、ジャケットを着せてしまった。


 ……なんか、クルミちゃん、特殊な波動が出ているの?

 あ、クルミちゃんは4人姉妹の長女だし、一番下のうめちゃんは今3歳だっけ?


 面倒見がいいし、もしかして、妹扱いしている?


 ジャケットを着たマートルは……エロかった。


 なんで!?

 なんか、マッパの方が健康美的、美しさがあった!


 これ、エロい!


 服を着た方がエロい場合だってあるんだ!


 どうしよう?


 なぜか、マートル以外の3人、赤くなる。


 クルミちゃんが口を開く。


「ズボン、あったがいいよね?」


 こくこく。


「あ、うち、保健室で寝ていたから、下ジャージ……」


 ぬぎぬぎ。

 エ、エノンが脱ぎだした!?


「ち、ちょっとエノン!?」

「大丈夫よ、アキくん、ちゃんと下、短パンだよ!」


 チラ見して、目を逸らす私。

 いや、同じ女子だけど、見てはいけないような気がして……。


「はい、マートル、これ、着ていいよ」


 ぱたぱたっ、と再び揺れだす尻尾。


 さっ、とジャージを手元に引くエノン。


「いい?嗅いだら駄目よ!?ちゃんと着るのよ?分かった?」


 こくこく。

 激しく頷くマートル。


 いや、これは分かってないな。


 ささっと、エノンの手から、ジャージを引ったくると、またクルミちゃんの後ろに隠れる。


 嬉々としてジャージを……!


「駄目よ?」


 クルミちゃんの一言で固まるマートル。


 悲しそうなお顔で、クルミちゃんを見る。


 犬だ!属性犬!わんわんだっ!


「ほら、手伝ってあげるから!」


 そう言って、もそもそと……これで外、歩けるかな?

 <挿絵(By みてみん)


 耳と尻尾はどうする?

 コスプレで通すか?


 でも、まず、その前に!


「ねえ、マートル、聞かせて、どうやってこっちの世界に来たの?」


次回投稿は 2023/08/20 22時から23時の予定です。

サブタイトルは 【第15話】獣人族の姫・マートル・ガーディアン参上! (でもちょっとポンコツなの)を予定しています。


第一部、75話まで挿絵が入りました。

よろしかったら、ご観覧ください。

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