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初めての体育祭(7)〜出店も繁盛中〜

ゴールした私とナミク先輩がいるところに、ヒカリたち、そして、シャティー先輩が寄ってくる。


「キミハちゃん!お疲れ様!」

「うん、ありがと!」


みんなもお疲れ様と言ってくれる。


「キミハちゃんは何を借りるのがお題だったの?」

「え...」


言うの嫌だーーー!


ヒカリは何だったの?と顔をワクワクさせている。


そんなやりとりをしている中、マイクでの大きな声が耳に入ってくる。


『それでは、恒例のみなさんが借りたものを聞いていきましょー!』


私たちの元にテンションの高いYu-A先輩がやってきた。


「それではそれでは、第二競技の借り物競争で第一位になったキミハさん、借りたものを教えてくださ〜い!」

「え...」


そんな、観客全員が期待しているんだけど...

私、超絶どすべりしてしまうよ!

何で、恋と一番遠い私がそんな紙をつかんだんだって...


もういい!

どうにでもなれ!


私は大きく息を吸い込んで、Yu-A先輩が向けるマイクに、『彼氏』と叫ぼうとした。

すると、スッと、大きな体が私の前を遮った。

そして、私の代わりにマイクを使って、声を轟かせた。


「こいつの借り物は『リボン』だよ」

「おお、じゃあ、キミハちゃんは運よく、トレードマークとして身につけていたものだったんだね〜!」


アリーナから歓声が上がる。


私は小声でナミク先輩に言う。


「ナミク先輩、何でですか?」

「嫌なんだろ?明らかに渋っていたじゃないか。ここは先輩の俺に任せとけ」

「悪いですよ」

「いいからいいから、合わせてくれ」


私は、ナミク先輩に甘えることにした。


もう、そういうところですよ...本当に...


「期待の一年生は天も味方につけているようだ〜!」


うん、天に見捨てられていましたよ、私は!


「今度は、ナミクくんに聞いてみるよ〜!ナミクくんが借りたものは何かな〜!」


ナミク先輩は、よっ、と言って私をお姫様抱っこする。


ちょ!ナミク先輩!


「俺が借りたのはこの『彼女』だ」


そう言って、私をできるだけ高く掲げた。

アリーナの観客席からは大歓声が上がる。


は、恥ずかしすぎて...

もう、死にたい...


私は顔を真っ赤に点灯させて、思考停止した。

ヒカリたちは目を輝かせている。


「ナミクくんは、キミハちゃんと付き合っているのかな」

「俺は付き合いたいが、彼女から、なかなか、OKが出ないんだ!」

「ナミクくんは何度告白したのかな?」

「一回だけだが、彼女はまだ保留にしてるんだ」

「キミハちゃん、焦らす子だったんだね〜!この場で返事はできるかな?」


へ?

返事?


思考の停止した私には、なにも考えられず、赤くなって、ナミク先輩の腕の中で縮こまっているだけだ。

私の真っ赤な顔を確認したYu-A先輩は続けた。


「ふっふっふ、ゴールは近そうだね〜!ナミクくん、心して待つんだよ〜!」

「ああ、気長に待つさ!」


Yu-A先輩は、自分でマイクを持ち直して、大きな声で発表する。


『私が借りたものは〜『一番大切なもの』だよ〜!ファンクラブのみんな、協力ありがとう〜〜!』


Yu-A先輩がそう言うと、ファンクラブ会員たちが雄叫びをあげた。

そして、Yu-A先輩は4位にゴールした選手のもとに走っていった。


私は思考を取り戻し、ナミク先輩に、下に下ろしてもらう。


「ありがとうございました。ナミク先輩」

「ああ、気にするなよ」

「でも、よく、あんな出まかせを思い付きましたね?」


ナミク先輩は、その私の言葉に少し、間を置いた。


ん?私、不味いこと言っちゃった?


ナミク先輩は、話し出す。


「出まかせじゃないとしたら?」

「へ、それって、どういう?」

「ハハハ、お前、面白いな。何でもないよ。忘れておけ」

「え、どういうことですかーーー?」


ナミク先輩は次の競技の準備があると言って言ってしまった。


意味がわからないんだけど...

からかわれたのかなあ...?


そこにヒカリたちとシャティー先輩が寄ってきた。

ヒカリが私に言う。


「キミハちゃん!もしかして、ナミク先輩に、こく...告白されてたの!?」


これは説明した方が良さそうだね...

なんか、あんなことがあった後だと、身内には簡単に説明できてしまう。

不思議だね。


「うんん、あれはナミク先輩がうまく誤魔化してくれただけ」

「誤魔化した?」


ヒカリはどう言うこと、と首を傾げる。

私は答える。


「うん、私の借り物は『彼氏』だったんだよ。私、色恋とか苦手だったから、言い辛くて、代わりにナミク先輩が、『彼女』の借り物をしたって言ってあの場を誤魔化してくれたんだよ。で、ナミク先輩の本当の借り物が『リボン』だったんだ」

「そうだったんだ。キミハちゃん、顔がまっかだったから、信じ込んじゃったよ」

「あ、あれも、え、演技の一貫だからね」

「納得したよ!」


周りのメンバーも納得してくれたようだ。


セーフセーフ!

いや、セーフなのか...?

まあ、いいや!


私は次の競技でなにをすればいいかアリスに聞く。

誰がいつ脱落するか分からないので、アリスが競技のたびに編成を組み立てるのだ。


「アリス、次はどんな編成でいくの?」

「次は5人でつなぐリレーですわね」

「うん」

「これは1人で5人分走るのが得策でしょうね」

「走るのは?」

「予定では、私と4人の男子でしたが、みんな脱落済みなので、私が走りますわ」

「私は、守る方をしたらいいのかな?」

「いえ、キミハとヒカリは、ブローチを破壊されるわけには参りませんから、不参加してください」

「でも、人員が少ないのに...」

「これも作戦ですわ。守りはナルとローラにお願いします。キミハとヒカリさえいれば、このリレーで私たちが全滅したとしても、何とかなるでしょう。おそらく、このリレーで最大限まで、競技者が減ります。あとは本当に強い生徒しか残らないと思われます。ここは、温存をすべきなのです。キミハとヒカリは出店の方に行って、士気を上げてきてくださいませ」


全滅したら、ブレスレットは奪われてるけどね...

ブレスレットよりも今は優勝を大事に考えているのだろう。


「本当に大丈夫?」

「私の作戦を疑うのですか?」

「そうだね。私はアリスを信じるよ」

「ありがとうございます」

「それに、2年1組の先輩方も頼りにしていますから」


アリスはシャティー先輩の方を向く。

シャティー先輩は私を安心させるように言う。


「キミハ、私たちに任せてくださいませ。2年1組は、まだ、15人生き残っていますから。1年1組はメンバーを温存してください」

「わかりました」


私は素直に意見を聞いて、ヒカリを呼ぶ。


「ヒカリ、出店の方に行こっか」

「うん、行こう!」


ヒカリはぴょんぴょんして、ロングツインテールが大きく揺れている。

ヒカリは出店でテンションをアゲアゲしたいようだ。

すでにテンションが高いけどね...


「出店の方に行ってくるね。みんな頑張って」

「頑張って!」

「はい、頑張ってきます」


私とヒカリはアリーナを出て、クラスの出店の方に向かう。

出店は、校舎エリアからこのアリーナをつなぐ道にところぜましと並んでいる。


確か、1年1組の出店は、校舎エリアとアリーナのちょうど中央付近だったはず。

私とヒカリは、出店の個性豊かな看板を見ながら、進む。


視界に、大きなウサギの立体アートを捉えた。

立体アートは、ここまでの道では私たちのクラスだけのようだ。


すごく、目立ってるよ!


「キミハちゃん!うちのクラスの出店、繁盛してるね!」


ヒカリが嬉しそうに、私にそう言ってくる。

うちの店の前には行列ができていた。

ピザは、お店で買うものだから、学生が手作りしているということで話題に上がっているみたいだ。

それに、ヒカリの力作の立体アートの動く看板がすごく目立っていて、宣伝効果が抜群だ。


私たちに気付いたクラスの子たちが、店の裏側に案内してくれた。


「キミハちゃん、お疲れ様!聞いてるよ!競技組の快進撃」

「最初、たくさん、脱落が出たからどうなるかと思ったよ」

「キミハちゃん!ナミク先輩と付き合ってるって本当?」


私はたくさん、話しかけられて、答えられない。

ヒカリがみんなに言う。


「みんな、競技の方は私たちに任せて!出店をお願いするよ!」

「うん、まっかせなさーい!」


そう言って、みんなは業務に戻って行った。

私たちは店の裏の片隅の椅子で休む。


みんなが、委員長!と言って、ピザと飲み物を持ってきてくれる。

私は笑顔でありがとうと言って、受け取る。


私は隣で一服をしているヒカリに話しかける。


「ピザ屋さんも繁盛してて安心したよ」

「うん!私たちも頑張らないとね!」


ヒカリは顔を綻ばせる。

店の屋台の前に置いてある投票箱にはお客さんから順調にチャリンと投票メダルが投入されている。

メダルが投入されると、花火のような、光が空に打ち上がる。

それを見て、お客さんがまた、きてくれるのだ。


集客スパイラルだね!


ピザは3種類だけ用意している。

トマト味のピザとお肉メインのピザとチーズだけをのせたシンプルなピザの3つだ。

アリスが、優勝するために20種類準備しましょうとか言っていたが却下した。

材料費は任せてくださいと、アリスは言ったが、そもそも練習時間が足りないと思ったからだ。


適当な料理をお客さんに出すわけにはいかない。

あそこの店はまずいと言われてしまえば、元も子もない。


店の周りで、美味しいと言いながら、食べてくれる人たちが見える。


準備頑張ってよかったよ...

素直に嬉しい...


ピザを教えるのは実はすごく大変だった。

それも、これまで、全く料理などしたことなかった貴族の子たちだったからだ。

包丁も小麦粉も触ったことのない子たちばかりだった。


周りの店も、物品販売やら、店で買ったスイーツにトッピングを増やしただけの簡単なものを出している。

逆に、うちの出店はそれもあって、目立っているのかもしれない。

オーブンからは常時、いい匂いがしている。


それよりも、みんなが楽しそうで何よりだよ。


クラスメイトたちは楽しく、ピザを作って、楽しく、接客している。

私は心が温まる思いをしながら、みんなの楽しそうな顔をぼんやり眺めていた。


時間を忘れ、のんびりしていると、思ったよりも時間が経っていた。


そろそろ戻らないと!


「ヒカリ、戻るよ?」


私はヒカリに向かって、そう言う。

ヒカリは3枚目のピザを、ほっぺにトマトソースをつけながら食べていた


「へ?」


私はヒカリのほっぺのトマトソースを、指でとって、食べながら、言う。


「き・ょ・う・ぎ!」

「もう、こんな時間!」


ヒカリは、ピザをほうばった。

リスのように、ほっぺを膨らませている。


私はそんなヒカリを笑う。

ヒカリは何で笑われているのか分からない顔をする。


体育祭、楽しいよ!

残りの競技も頑張ろっと!


私とヒカリは、出店のクラスメイトにお礼を言って、アリーナに向かって、走り始めた。

次回は、第四競技でヒカリの出番です!


評価、ブクマ、感想、お待ちしています!

少しでも伝わるようなお話を書けるように執筆、頑張ります!

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