表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝わらない!  作者: ねがえり太郎
おまけ後日談
39/39

伝えます!

久し振りに、短いおまけ小話を追加します。


『再び、ミキ』章、最終話『伝えたい!』直後のお話です。

 ドヤ顔の背の高い男の子。濃いグレーのスーツをシックリと着こなして、まるで雑誌からそのまま抜け出して来たような、スタイルの良さに目を奪われる。


 その緑色の瞳を、今度こそカッチリと受け止めた。


「アレックス」

「うん」


 心は決めたものの……この距離じゃ、まだ言えない。


 夕方のエントランスにはまばらに人がいて、後ろには後輩の岩田さんが呆気に取られて、あるいは興味津々に凝視している。少し距離のある壁際には、アレックスを囲んでいた女の子達。まだシックリ馴染み切れないスーツに身を包んだ、新採達がこちらを伺っている。


 もう少し近づいて貰おうと、チョイチョイと手招きすると―――ものすごく嬉しそうに、顔を輝かせて駆け寄って来た。何となく、実家の犬を思い出す。リードを手に取った途端『さんぽ?』って、期待を込めた眼差しを向けるワンコみたいだ。


「ちょっと耳、貸してくれる?」


 すると素直に、その長い体を少し折り曲げて屈んでくれる。

 綺麗に整えられた短髪が真新しく、キラキラと輝いている。眩しさに目を細めて、私は少し背伸びをした。彼の耳元へ、右手を添えた口を近づける。


「あのね」

「うん」


 うっ……いざとなると恥ずかしい!


 一瞬冷静さが戻って来てしまい、言葉に詰まる。何故こんな衆人環視の中で告白しようなんて酔狂なことを、思いついてしまったのか。

 だけど手を振って別れたあの時から、半年以上が経過した。だから英会話教室に現れたアレックスと再会した時は、本当に驚いたのだ。レッスンが終わった途端飛び出して行ったアレックス。彼を引き留められずにいたことを……私は後悔したんだ。

 だから今。自分の気持ちを、彼にちゃんと伝えないと。


 息を吸い込んで。それから私は勇気を奮って告白した。




「私も……あなたが大好きです。付き合って下さい」

「……」

「……」







―――ええと。


 返事がない。

 踵を下ろし、体を離した。屈みこんだままのアレックスの視線が、宙を見ている。


 あれ?


 その時、猛烈な不安が押し寄せた。


 あれあれ?

 これって、その……もしかして、違う?

 ひょっとして、私の勘違いってヤツ?


 もしかしてアレックスの中では、私のことは既に過去になっているんじゃないの?

 そしてたまたま、同じ職場に就職して。たまたまロビーで昔ちょっと好きだった、振られてもう過去になった……つまりはただの知合いの年上女に偶然会ったので、挨拶した。


―――なのに、その年上女はまだ自分に気があるなどと勘違いして、『私()好きです』なんて耳元で囁いたのだ……!! うわっ! 『私()』?! 『も』って何だ!! 勘違いにもほどがある!!!


 蒼ざめる私の目の前で、アレックスは背スジをスッと伸ばす。

 そして私と視線を合わせずに―――クルリと背を向けた。







「ヨッシャ!!」


 そして腰の所で握りこぶしを作り、ガッツポーズをしたのだ。


 その瞬間―――思わず。

 嬉しさより安堵が込み上げて、私はホッと肩の力を抜いたのだった。

リクエストをいただいたので、小話を考えてみました。

気がつけば、前話から一年も経過しています。ブランクがあるので、本編と齟齬がないかちょっと心配です。


お読みいただき、誠にありがとうございました。


※この後のお話を追加できるかどうか、追加するにしてもいつになるのか不明なので、取りあえず完結設定とさせていただきます。


※2022.6.17 この後に掲載していた後日談について途中までお読みいただいた方、誠に申し訳ありません!! いろいろ長々と考えた結果、削除することといたしました。再びこのお話で、完結設定とさせていただきます。ご訪問、本当に本当にありがとうございました!m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ