アルコール依存症22
「そんなのは断酒とは呼べまい。単なる休肝日ではないか。お前にとってはアルコールは言わば砒素のような毒ならば断酒しか無いと俺は思うがどうだ?」と悪友は言った。
糖尿病、アルコール依存症である検査結果を踏まえた検査入院を経てその間アルコールを断った行雄は元気になり、退院した。
行雄は両親が死んで、兄が取り仕切る実家には帰れない身上であり、独身貴族でパラサイトシングルの悪友が言わば家族代わりとなっている。
車に乗り込んだ行雄が言った。
「店も心配だし、老人連合の事もあるから、今夜又鹿を食いに行くしかあるまい」
悪友が答える。
「それは構わないが、お前もうアルコールは金輪際絶つのか?」
行雄が答える。
「止めるさ。俺は世話してくれる人間もいないし。寝たきりにはなりたくないからな」
「本当に止めるのか?」
行雄が断固たる態度を取る。
「止めるさ。止めないと俺は愛しい婆さんにも会えないし、店でも働けなくなるからな。そしてやがては美酒を飲む為に今は止めて見せるわ」
悪友が笑い言った。
「やはり未来の酒の為に今は酒を止めるわけだ?」
行雄が頷き誇らしげに言った。
「そうだ。めりはりをつけるのだ。悪いか?」
悪友が苦笑いしてから答える。
「そんなのは断酒とは呼べまい。単なる休肝日ではないか。お前にとってはアルコールは言わば砒素のような毒ならば断酒しか無いと俺は思うがどうだ?」
行雄が改めて自分の意見を表明する。
「俺は寝たきりにならないように今酒を断ち、恋と仕事を実らせてから美酒を飲むと決めたのだ」




