# 続編 第一章 # 「合格発表の日」
# 続編 第一章
# 「合格発表の日」
十月。
空は高く、
秋の風が気持ちいい朝だった。
しかし。
高瀬修司の胃は痛かった。
ものすごく痛かった。
「無理だ……」
管理人室。
朝から机に突っ伏している。
今日は――
教員採用試験の合格発表日だった。
四十歳。
人生をかけた挑戦。
結果を見るのが怖い。
とにかく怖い。
すると。
ガチャ。
扉が開いた。
「シュージさん!」
ラジェスだった。
「結果!」
「まだ見てない!」
「ハヤク!」
「無理!」
ラジェスは爆笑した。
「コドモミタイ!」
その通りだった。
午前九時。
発表時間。
管理人室には、
なぜか住民達が集まっていた。
田村静子。
ミラ。
アニタ。
春菜。
全員いる。
修司は頭を抱えた。
「なんでみんないるんですか……」
田村が言う。
「見届けるためよ」
「プレッシャーです」
「当たり前でしょ」
逃げ場はなかった。
春菜がスマホを差し出す。
発表ページ。
修司の手が震える。
心臓がうるさい。
番号を探す。
スクロール。
スクロール。
スクロール。
そして――
見つけた。
受験番号。
間違いない。
自分の番号だった。
修司は固まった。
頭が真っ白になる。
「……え」
誰も喋らない。
修司は何度も確認する。
もう一回。
もう一回。
確かにある。
そして。
春菜が震える声で言った。
「高瀬さん……」
修司は顔を上げる。
春菜は泣いていた。
「合格です」
その瞬間。
集会室みたいな大歓声が起きた。
「やったーーー!!」
「オメデトウ!!」
「先生だーー!!」
ラジェスが抱きついてくる。
ミラも泣いている。
アニタは飛び跳ねていた。
田村まで目を赤くしている。
修司は、
しばらく動けなかった。
本当に?
夢じゃない?
四十歳で?
今さら?
本当に?
そして。
涙が溢れた。
止まらなかった。
その日の夜。
修司は母へ報告した。
「母さん」
「なに?」
「受かった」
母は少し考える。
それから。
優しく笑った。
「そう」
「うん」
「よかったねぇ」
修司は泣いた。
子どもみたいに。
母は頭を撫でる。
昔みたいに。
何度も。
何度も。
その後。
春風マンション中庭。
急遽、
合格祝いが始まった。
横断幕。
ケーキ。
拍手。
大騒ぎ。
修司は照れくさかった。
でも。
嬉しかった。
心から。
その時。
田村静子が立ち上がる。
「みんな静かに!」
全員が振り向く。
田村は修司を見る。
そして。
ニヤリと笑った。
「次は結婚ね」
一瞬静寂。
そして大爆笑。
春菜は真っ赤。
修司も真っ赤。
ラジェスは拍手。
子ども達は意味もわからず拍手。
中庭は笑いに包まれた。
修司は思った。
教師になる夢は叶った。
でも。
人生はまだ続く。
春菜との未来。
母との時間。
春風マンションのこれから。
新しい物語は、
ここから始まる。
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# 続編 第二章 予告
## 「プロポーズ大作戦」
教師として働き始めた修司。
慣れない仕事に大苦戦。
そんな中、
春風マンション住民達が勝手に結婚計画を立て始める。
ラジェス、田村、ミラによる
**『春菜さんを幸せにしろ作戦』**
が開幕――。




