第12話-1 1学期三者面談1 咲良ちゃんのお母さんと
この物語は当然フィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
オカルトなどの内容についても、世間での通例の解釈でないこともありますのでご了承ください
1学期の期末試験も終わり、学校も来週から短縮授業で午前中のみになる頃……
期末試験は中間試験と同じで結果は良かった。私はまた少し成績が上がり、このまま上がっていくなら獣医師を目指すのもありかなと思ったりする。
咲良ちゃんや小林さん達や委員長もまた成績が上がったみたい。
特に咲良ちゃんは親に小言を言われないくらい上がったって。これで小遣いを減らされないですむとか。
それに苦手な英語についても、マンガの英語版を読むことで英語に対する苦手意識が薄れたって話してた。でも、英語系の試験結果がまだすごく良くはなってないけどね。
そんなこんなで、やっぱり菓子折持って挨拶に行かないととお母さんが言ってるらしい。
小林さんのところもお父さんの件でお世話になったから挨拶にって。こっちの方はまだ来年になってみないと改善されるか分からないんだけどね。
でも、他のみんなも「次に行く時は何か持って行かせないと」って言われてるそうだ。
「いや〜、今回も点が良くなったよ。マジ助かった、英子、美亜」
「だよね〜。うちの両親も普段から勉強しなさいってうるさかったのに言わなくなった」
「でも、この先点数が下がったらまた言われるだろうけどね」
「普段から少なくとも復習くらいしときなよ。それだけでも違うから」
「正論ありがとう、英子。また点数が上がったって話だけど、進路とか考えてるの?」
「はっきりとではないけどね」
クロを助けたことで将来のことを少し考えるようになったけど、まだ今成績だと厳しいかなと思うからはっきりと決めてはいない。
でも、パパもママも獣医師を目指すのを止めさせたりしないし、十分な応援をしてくれると思うけどまだはっきりと宣言はしていない。
獣医師じゃなくても、直くんのお父さんの仕事のような方向でも動物を助けたりは出来るし、別の仕事もあるかもしれないし。まだ、考える時間はあるからね。
「そうなんだ、応援するよ。後、成績が上がったから今度おごるよ」
「「「「うん、私達も。終業式の日に打ち上げでもしない?」」」」
「いいよ。その次の日から合宿だから打ち合わせがあると思うからその後でなら。ね、美亜ちゃん」
「そうね。その後買い出しに行けばいいし」
「じゃあ、決まりだね。大輝くんと宮崎くんにも話しておいてね。一緒におごるから」
ただ、終業式の前に三者面談がある……
私も大ちゃんも成績的には問題ないから怖くはないけど。でも、咲良ちゃん達は何言われるかって心配してるみたい。
その私達の三者面談当日。
直くんのお母さんとも一緒に学校に来て、廊下で待ってる最中。私と大ちゃんは一緒に面談をするって言われた。
「2年の三者面談の時に京子のお母さんと服部のお母さんが会って、もう結婚することが決まったんだっけ」
「そうね。正直くんと付き合ってるのが英代さんに知られたんだよね。その後、私が気に入られて両家で結婚することが決定事項になったのよね。懐かしいわ」
「私の方はこっそり付き合ってて、球技大会の時まで誰にもバレてなかったけどね。ただ、同じクラスになれなかったわ」
「私は2年間同じクラスでイチャイチャ出来たけどね。同じクラスになると一緒に居られる時間が長くなるからいいのよね」
「学校で一緒じゃなくても家でもずっと一緒にいただろ」
「ふふふ」
ママ達が高校時代の思い出話をしてる。ママはパパと同じクラスだからってやりたい放題やってたのか。大ちゃんが呆れた顔をしてみてる。
私は直くんと同じクラスでもそんなことはしてないよ!直くんの方もイチャイチャしてこないしね。
「英子ちゃん、大輝くん、久しぶりね。ほんと英子ちゃん可愛いわぁ。早くうちの子のお嫁に来て欲しいわ」
「家事の方はちゃんと仕込んでるからいつでも行けるわよ」
「でも、進学するんじゃないの?」
「その予定だけどね。どこに進学するか次第かしら」
私の嫁入り話がなぜか始まった所で咲良ちゃんがこちらに来た。順番は私達の後になってる。
一緒に初めて見る人がいる。いろいろ咲良ちゃんに注意してるみたいだけど。
「おはよ、咲良ちゃん」
「英子、おはよ。そっちは大輝くんと一緒にだっけ?」
「そう。で、私達の前が直くんで、こちらが直くんのお母さん」
「将来のお姑さんですか……」
「咲良、こちらがあの?」
咲良ちゃんのお母さんかな?なんとなく似た感じがするね。
「初めまして、服部英子です。咲良ちゃんには仲良くしてもらってます」
「いえいえ、こちらこそお世話になってるみたいで。勉強会で教えてもらってるのにお昼ご飯やおやつまで出してもらって……」
「いいんですよ。父や母からもそうするように言われてますし、作ってるのは私や兄達ですから」
「そうなの?でも……」
そばに居るママの方を見ると紹介しなさいと目で言ってきてるので、すぐに紹介する。
「咲良ちゃんのお母さん、こちらが私の母です。そしてその隣が宮崎くんのお母さんです」
「うちの英子がお世話になっています」
「うちの直樹もお世話になっています」
「橋本咲良の母です。こちらの方がとんでもなくお世話になってますよ。勉強を教えてもらった上にお昼ご飯やおやつまで」
「いいんですよ。うちではいつものことですから」
「いえ、それでも……」
あの勉強会ってやり過ぎなのかな?お昼ご飯とかおやつまでしっかりと出しちゃうのは。
ママに迷惑がかかるとかって言うのなら元からやってないけど、作るのは自分達が全部やってるから特に問題ないんだよね。
でも、他の人からするとママに迷惑がかかってないか気にしてるのかも。掃除もテーブルとかの準備も自分達でしてるからOKです。
「それになかなか成績の上がらなかったうちの咲良が、徐々に成績が上がっていくなんて信じられませんでしたよ。しかも、嫌いな英語をマンガでとはいえ読む気になるなんて」
「英語の方については私達の友人で実例があるので効果があると思って勧めたんだと思いますよ」
「ほんとに助かってます」
話してると前の人が教室から出て来て、直くん達が中に入っていった。
直くんが教室に入る直前に私に向かって手を振ってくれた。咲良ちゃんがからかうように「いつも仲がよろしいようで」って言ってくる。
確かにわざとそんな事をやってるのはいつものことだけど、私だけなのは本当で仲が良いと言われてからかわれるのは仕方が無いかな。
「橋本さん、三者面談の後時間あります?私達この後家で話をする予定でしたので一緒にいかがですか?」
「いいんですか?私も咲良がお世話になってますし、あの子のことで気になることがあるのでお伝えできればと思っていたものですから」
「じゃあ、決まりですね。お昼ご飯も準備してますので食べて行って下さいね」
「え?え?いいんですか?」
「大丈夫ですよ。うちの息子や娘達が作ってくれますから、どうにかしてくれます」
「はぁ、よろしくお願いします」
ママも結構強引に咲良ちゃんのママを納得させたみたい。
その後は普通に世間話をしているようで、私の方も咲良ちゃんと合宿先の施設の話をちょっとしてた。
### 続く ###