ジルトニア滅亡 3
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大公息女イズミル。
友好の証として9歳で大国ハイラントの王太子、
ハイラント=オ=レギオン=グレアムの第三妃として嫁いでいた。
その為に今回の難を逃れて生き残っていたのだ。
現在ハイラントは王太子が外交や内政のほとんどを国王から任されているという。
その王太子は確かまだ18歳。
絶大な魔力を保有するだけでなく、
聡明で卓越した政治手腕があると聞くが所詮はまだ
20歳にも満たぬ青年。
与み易しと判断し、
ハイラントに嘆願の使者を送る。
「ジルトニア国民のため、貴国に嫁がれた元イズミル公女殿下をジルトニアにお返し願いたい」と……
しかし、宰相の画策により大公家が滅んだ事を秘密裏に調べていたグレアムは、無論それを退ける。
その理由はイズミルがまだ10歳で、
国土全てを浄化出来るほどの力が無いという事とした。
大公家を滅ぼすほどの狡猾さと残忍さを併せ持つ宰相の元へイズミルを渡せば、幼い彼女がどのような目に遭いながら暮らす事になるかは容易に想像出来た。
ただ瘴気を祓うためだけの道具として扱われるのは目に見えていた。
そんな目に遭うとわかっていながら幼い彼女を引き渡せるものか。
形だけではあるが、
自分の妃を守るという名分がグレアムにはあった。
そしてそれは、ジルトニアの主張を退けるには十分な理由だ。
本来なら
他国で起きた騒動に干渉する事は政治的にも倫理的にも出来ない。
それが今回、力尽くでイズミルを奪おうと兵を差し向けて来たジルトニアに対して、ハイラントには王太子の妃を守るという大義名分が出来たのだ。
これにより2国間で軍事衝突が起きる。
しかし大国ハイラントと小さな大公国とでは軍事力に圧倒的な差があり、勝敗を決するのにさほど時間は掛からなかった。
グレアムは宰相を捕らえ、
内乱と大公家殺害に加担した者らと共に国際裁判にかけて極刑に処した。
その後はジルトニアの国土の立て直しに着手する。
グレアムの持つ魔力で瘴気を祓い、
集まっていた魔物を一掃する。
そして国土全土を包む巨大な結界を張った。
その桁外れの魔力と、妃である元公女を守り通した男気にジルトニア国民は平伏し、ハイラントへの忠誠を誓ったのは当然といえよう。
そうしてグレアムは
とりあえず一旦ハイラントへ戻り、イズミルの意志を確認する事にした。
次回は当時のイズミルとグレアムの絡みです。
今と全然違うのが、作者でも笑えます。