かすかな予感
「8回裏が終わり、9回表・・・」
「・・・ん」
「次の投手の名前を・・・」
「・・・ぁん」
「・・・戦力外通告されましたが、独立リーグで再出発・・・」
「・・・ちゃん」
「他には類を見ない偉業を成し遂げようと・・・」
「・・・ちゃん!」
「さぁあと一球」
「うーん・・・今いいとこ・・・」
「振りかぶって、投げた!」
「お兄ちゃん!」
「打った!ピッチャーライ(ry」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
朝が来た。
小鳥のさえずりが聞こえる。
そして、1人の少年の叫び声も聞こえた。
「あ~あ、気絶しちゃってる・・・」
課題の途中で寝ていた大夢を叩き起こそうとしたあゆみはうなだれた。
それもそのはず、丈夫で重たい鉄製の中華鍋を力いっぱい叩かれたら痛いに決まっている。
しかし、大夢に痛がる暇も与えず、その場で失神させてしまった。
びっくりして母、菜々子も慌てて飛び起きた。
「だっ、大丈夫!?」
一応菜々子はAED処置も可能である。
しかし、脈はあるみたいなので大事には至らなかった。
とはいえ、ダメージは大きいようなので油断せずに病院に連れていくことにした。
榛名中の朝。
「堺ー」
「はい。」
「坂上ー、大夢ー?」
「大夢は今日遅れてくるそうです」
病院。
大夢は生と死をさまよっていた。
先生によれば当たりどころが悪ければ植物状態になっていたという。
これはもうラッキーとしか言いようがない。
とりあえず大夢はお昼頃まで安静し、午後から学校へ行った。
放課後。いつもの部活である。
大夢はふらついた。
しかし、何とか立て直した。
ところが顧問からは無理をするなと言われ、
帰宅するように促した。
大会も近いし、休むわけにはいかない。
必死の説得により、見学を許してもらえた。
さぁ、中学最後の夏まであと3日だ。




