200話記念 新春!春の雑談祭
柚「なるほど、それは樂が悪い」
樂「えぇ!? いやいや、どの辺が?」
柚「冗談だよ」
愀「……」
樂「あ、愀。やっほ」
柚「奇遇だね」
樂「ここで会うなんて珍し――うわぁ!?」
柚「っ!?」
――――――――――
光が消えたかと思うと、そこにはなんとも言い難い、微妙な風景が広がっていた。
「…………ここ、どこさ」
「えっえっ、何ここどこ何何何何」
「デジャヴ……」
全力で狼狽える柚、落ち着き払った愀。
確かに、前にもこんなことがあったような気が……。うーん、なんだろう。思い出せない。
「あ、あわあわわわわあわあわあ。そ、そうだ、まず落ち着こう、素数を数えるんだ、いちよんきゅうじゅうろくにじゅうごさんじゅろく」
「柚落ち着いて、それ素数じゃなくてx二乗のxが整数の時だよ」
「わたた私は落ち着いてるよ、ただ状況の変化に頭の処理が追い付かなくて混乱してるだけだよ」
「それを落ち着いてないって言うんじゃないかな」
「……あそこ」
パニック状態の柚をたしなめてると、愀がある一点を指差す。何やらノボリのようなものに文字が書いてあるようだ。2の平方根を詠唱し始めた柚をとりあえず放置して、文字を読み上げる。
「えー……『200話記念 新春!春の雑談祭』?」
「……めちゃくちゃじゃないか」
愀に全面的に同意。まずまだ春じゃなくて冬だから新春じゃないし、新春と春で被っちゃってるし、雑談で祭になるのかとか誰が雑談するのかとかそれ需要あるのとか謎だらけだし、そもそも200話って何。
ツッコミ所が多すぎるノボリを見ながら、これからどうするかを考える。何も思い浮かばない。
「んー……どうしよっか」
「……あれを燃やす?」
「どんな発想なのさ」
「はち……えっと……えっと…………」
柚、それもう頑張らなくて良いから。ていうかよくそこまで言えたね。
「柚も一緒に考えてよ。この状況どうするかとかさ」
「そ、そうだね。まずはあれをどうやって燃やすかだね」
「ずれてるずれてる。目的ずれてる」
「……樂、ライター」
「持ってないよ!」
学生がライター持ち歩いて何するってのさ!
とりあえずノボリに近付いてみることにした。
うーん……。テーブルがあるだけだ。こんなところにテーブルあるだけでもかなり怪しいけど。……あの、柚さん。人の服のはしっここっそり摘まんでるのはなんでですか? こわいの?
「あ、何かテーブルの上に紙があるよ」
「……」
躊躇なく拾い上げる愀。
「ちょ、ちょっと。それに何かの罠かもしれないよ? 爆発するよ?」
「いやさすがにそれは無いでしょ……」
「…………」
「ん?何?」
拾った紙を僕に向ける柚。何か書いてあるな。
「えっと、なになに?
『君たちがこれを読んでいるという事は
私はもうそこには居ないだろう』」
知らないよ! お前誰だよ!
「樂、続き」
「あ、ごめん。
『ありきたりな前置きはさておき。
今回は200話記念ということで、
特別に君たちを召還させてもらったよ』
そんな特別要らないよ!
『と言っても楽しそうな催しは
何も思い付かなかったから、
もう諦めて雑談祭にしたよ』
諦めて召還しなければ良いじゃん!
『適当に時間が経ったら自動的に
元の場所に帰してあげるから、
ゆっくり雑談していってね。』
なんでちょっと上から目線なんだよ!
『はんぺんより』誰だよ!!」
ツッコミつつ一気に読み上げる。疲れた。
二人も微妙な顔をしている。その原因はこの置き手紙か、それとも僕が一人で盛り上ってる事に対してなのか。前者だと信じたい。
「……つまり、そのうち帰れるんだね?」
「ハァ、ハァ……そういう事みたいだね」
「はんぺん……どこかで……」
「で、雑談って何すれば良いのかな」
「柚、こんな適当なやつの言ってる事なんて無視した方が良いよ。絶対ろくでもないやつだよこれ」
「んー……」
なんか二人とも考え込んでしまった。
どうすりゃ良いっていうの。
「でも、結局帰れるまで暇なんだから何かしてようよ」
「ぅ……で、でも何するの」
「しりとり……」
「だってさ。彼もこう言ってる事だし」
「仕方無いなぁ……」
まぁ、柚の言う通りそれまでは暇だし。
帰れるまで、帰れるまでだからね。
「じゃあ僕から。オーソドックスに、りん――――」
僕が林檎と言おうとした瞬間、辺りが薄い青の光に包まれた。
――――――――
樂「……? ここは……」
樂「……………………布団?」
樂「……うん、槙も柚も寝てるから布団だよなぁ」
樂「…………………???」




