魔術学園へ・・・
数か月後が過ぎ―――僕は魔術学園へ門をくぐった。
「ルイス様、おはようございます。」
「おはようエミリア殿下」
「今日から同じ学び舎で過ごすのですから、敬語は辞めてくださいませ」
「……そうだね、エミリアさん」
呼び慣れないし、うっかり不敬罪で捕まるのが怖いものの、確かに原作のルイスはこれぐらいの口調でエミリア殿下に接していた。
魔術学園にはエミリア殿下を始め見知った顔ぶれが多くいた。
ルイス=ストレイとして生きてきて見知った人間。
ゲームの登場人物として知っている人間。
そして―――
「それとルイス様、こんな噂を御存じですか?」
「噂話ですか?」
「はい、何でも今年の入学では英雄の血を引いた人間が入学されるとか。
眉唾ものだとは思いますが」
「英雄ねぇ……」
僕はその人物をよく知っていた。
周囲が騒めく。
それは驚きの様子というよりも嫌悪に似たような、コミュニティから異物を排除しようとする意思をもった、そんなどよめきだった。
「ほら、あちらの……。まぁ酷い恰好ですね」
「仕方ないよ。3日間歩いて王都までやってきて、しかも道中でいくつもの戦闘があったんだからさ」
「……なんの話でしょうか?」
僕は曖昧に誤魔化しつつ、再度騒めきの中心人物をどこか懐かしい様子で見つめた。
筋肉質な肉体。何を考えているか読めない表情。そしてボロボロの衣装。
王都の、それも貴族の子息が沢山いるこの学園においてそのみすぼらしい恰好は悪目立ちした。
「エミリアさんはここにいて。僕はやることがあるから」
「ちょっと、ルイス様!?」
僕は彼の方に歩きだし、着ていた上着をそっと彼へと手渡した。
「どうしたんだいその恰好。良かったらこの上着を使ってくれ。
君の鍛えられた筋肉は、年頃のレディには刺激が強すぎるんだ」
僕は敢えて読み上げるように口にした。
もう何度も見たことがあるそのセリフを。
「なるほど、君があのアレン=グランツか。
噂話は聞いてるよ。庶民の出なんだってね。だけど気にすることはない。
学びの門戸は平等に開かれている。さぁ、共に学ぼうじゃないか」
これがルイス=ストレイとアレン=グランツとの初対面だった。
差し出された僕の手をアレンは無表情のまま受け取った。
アレン=グランツ。
僕のやり込んだビヨンド・ザ・ファンタジーの主人公。
そして今はゲームの冒頭。起動してすぐの光景だった。
今まではテレビ画面越しに俯瞰した映像でしか見ることが出来たなかった。
この景色を、今はルイス=ストレイとして直接みることが出来る。
その事実に感動すら覚えた。
さぁ、始めようか僕らの物語を。
僕らの青春を、僕らの恋愛を、僕らの戦いを。
そして約束しよう。
僕は必ず君に―――最高に格好良く殺されてることを。
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第一章完結です。
もしよろしければ、本小説の感想、評価をしていただけますと嬉しいです。
今後の小説の展開や修正の参考にさせて頂きたく思います。
また二章につきましてはしばらく時間を空けてからの投稿になります。
もしよろしければもう一つの小説「君を殺す本」を読んでお待ちいただけたら嬉しいです。というよりホント、読んで!!お願いします!!




