契約その250 彼女達のsecond odyssey!
ユニよりさらに短い訓練期間を経て、彼女達は宇宙へと飛び立った。
「うおー!ホントに宇宙キター!」
「何なのそれ」
大きな声を上げたアキに、ミズキが聞く。
「ああこれか?これは……」
「みんな!前を見てみろ!」
アキが答えようとしたその時、アザエルが前の方を指差しながら言う。
「な……これは……」
みんなの面前に現れたのは、巨大な人工衛星「アイク」だった。
「あそこにユニが乗って来たロケットが見えるな」
ルーシーが指差した先には、確かにユニが乗って来た小さなロケットがあった。
「間違いないな。ユニはこの中じゃ」
紫音はそう呟いた。
そして紫音は、ユニに連絡を取る。
「もしもし?こちら紫音じゃ。音声に問題はないか?」
「ああ!大丈夫だ!そっちは?」
「こちらも大丈夫じゃ。これで全員が揃ったな」
全員が揃った所で、紫音は「アイク」の全体図を広げながら今回の作戦の説明を始める。
「いいか?まず『自爆スイッチ』を押した10分後ジャストに『アイク』は爆発、消滅する。この時点で地球は救われるわけじゃが、わしら全員が生き残るには、この10分以内に爆発の範囲外へ脱出するしかない」
ここまではOKか?と紫音はみんなに確認を取る。ユニを含めた全員が頷いたのを確認してから、紫音は説明を続けた。
「だが言うのは簡単じゃが、実際にやるには時間が少ない。まずユニには、3分以内に『アイク』から脱出して欲しい。それが最低限じゃ。それ以降は待てん」
無論早く脱出できればできる程、全員が生き残れる確率も増えると紫音は言う。
「成程……悪魔の力で壁を突き破りながら最短ルートを進むわけか……わかった」
電話越しにユニは了承した。
「そして『アイク』から出て来たユニをルーシーとアザエルが回収、このロケットに回収次第地球へ戻る!これが今回の作戦じゃ」
続いて紫音は、ユニにルーシーとアザエルとの集合場所について指示する。回収の時間をなるべく短くする為である。
これで全ての説明が終わった。ユニは自分の悪魔の力を発動した後で、自爆スイッチを押す。
すると、ウーッウーッとサイレンが鳴り始め、「爆発まであと10分」というアナウンスが流れた。
止まっている時間はない。ユニは悪魔の力を履いている「ヘリクツ」に込めると、超スピードを出して脱出を開始するのであった。
邪魔となる壁は全て破壊しながら一直線に進んでいく。どの道10分後には爆発するものなので、被害に関しては気にしなくてもいい。
ユニを示すアイコンが猛スピードで動き出したのを見て、紫音は指示を出す。
「ユニが脱出を開始した!ルーシー!アザエル!準備じゃ!」
「わかった!」
宇宙服を着込み、返事をする二人。命綱をしっかりして、ユニを待つ。
「私達が三人をしっかり受け止めるから!思い切り突っ込んで来ていいよ!」
由理が二人に伝えた。
二人はそれに大きく頷き、もう2分もしない内に出てくるであろうユニを待つのであった。
一方、壁を破壊しつつ彼女達の元へ急ぐユニ。
さっきから危険を伝えるサイレンがけたたましく鳴っているが、ユニにとってはどうでもよかった。
みんなと早く合流できればできる程、生き残る確率は上がるのである。自分を助けに来てくれたみんなを、みすみす死なせるわけにはいかない。
ただその一点で、ユニは脱出を急ぐのであった。
「ユニが出てくるぞ!」
紫音が叫ぶ。
ルーシーとアザエルは、ロケットのドアを開け、外に飛び出す。
「やっぱり動きづらいな……宇宙って!」
そう言いつつも、ユニが戻ってくるであろう場所で待機し、ユニを待つ。
「そろそろ外か……?」
勢いのまま壁をぶち破るユニ。その穴から飛び出した瞬間、フワッと体が浮く。
宇宙空間だった。
(うわっ!マズい!)
無重力のせいで、体の制御が効かないユニ。その両腕を、しっかり掴む手があった。
(ルーシー!アザエル!)
手の主は二人である。二人は強く頷くと、ユニを連れて猛スピードでロケットまですっ飛んでいった。
「三人が来る!受け止める準備を!」
ドアを開け、しっかり構える彼女達。
総勢20人の腕がユニの手を掴む。ユニはその勢いのまま大きな音を立てつつ突っ込むのであった。
「回収完了!自動運転開始!」
紫音がスイッチを押すと、ロケットはドアを締め、一路地球へと戻るのであった。
「残り時間は約8分……だいぶギリギリじゃな」
紫音が呟く。
「どれぐらい逃げればいいんだ?」
ユニが聞く。
「そうじゃな……最低1000km……8分以内にそこまで逃げないとそのままお陀仏じゃ」
宇宙服を脱ぎながら紫音が言う。
「となると、時速7500キロか。ロケットの時速はだいたい30000キロだから余裕なんじゃ?」
ユニが聞く。
だが紫音は首を横に振りながらこう言う。
「ここにいるのは素人ばかり……地球の重力を振り切る時以外にそんなスピードは出せない。だいぶギリギリじゃ」
「そうか……」
それなら仕方がない。
しばらくして、どれみが呟く。
「そろそろ爆発ですわ」
ここからが正念場である。ユニ達は覚悟を決めるのであった。
その時である。音もせずにロケット内の温度が急上昇した。
「アイク」が爆発したのだ。
「うわー!暑い暑い!」
ロケット内は一気に真夏の様な暑さになった。
「暑いって感じれるって事はつまり生きてるって事だ!まだ大丈夫だぞ!」
発破をかけるユニ。
その後、どうにか何事もなくロケット内の温度は下がっていった。
助かったのである。
「ハアハア……生きてる……」
「いや、今度は無事地球に戻ってくる事じゃ。帰るまでが遠足だとよく言われるじゃろう」
紫音がたしなめる。
「遠足にしてはあまりにも遠くて命懸けだったけどな……」
ユニは少し笑いながら言うのであった。
こうして最大のミッションを終えたユニ達を乗せたロケットは、母なる星、地球へと帰還していくのであった。
悪魔との契約条項 第二百五十条
手を伸ばせば、思いは届く。




