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契約その242 みんなで過ごす、Hawaiiの夏!

「ついに……!」


「ここがハワイだー!」


 東京は羽田空港から火殿グループのプライベートジェットで7時間、ユニ達はいよいよハワイの土を踏んだ。


「結構日本人がたくさんいるね」


 辺りを見渡しながらヒナが言う。


「そりゃあ日本の有名観光地で、しかもお盆の時期だからな。現地の人より多いかも」


 冗談めかしながらユニが言う。


「生きた心地がしなかった……」


 青い顔をしながら風月が言う。大正生まれの彼女にとって、飛行機は初体験だったのである。


「NASAへ行くのは明日じゃから、今日一日は遊び放題じゃぞ!」


 紫音の言葉に、ユニ達はわーい!と両手を上げて喜んだ。


「何する何する?まずはショッピング……いやビーチかな?」


 ピョンピョン小さく飛び跳ねながらアゲハが聞いてきた。


「いえ、まずはホテルへ行き、荷物を下ろしに行きましょう」


 どれみはそう言うと、スマホを取り出して何かを伝えた。


 数分もしない内に、黒塗りの高級車が空港に到着する。先程の電話は、どうやらこの車を呼ぶ為のものだった様だ。


 車は、例えるならダックスフントの様に細長い。こんな長さで曲がれるのだろうか。いらぬ心配をするユニだった。


 どれみに誘われ、車内の座席に座るユニ達。大方の予想通り、座席はとてもふかふかしている。


「柔らかっ!なのです!これは夢にまで見たネコバス……」


 軽く跳ねながらモミが言う。あまり暴れるなよと、丁井先生が釘を刺した。


 ユニ達は二十人いるのだが、そんな人数が気にならない程車内は広い。ユニ達はゆったりと座りながらホテルへ向かうのであった。


 空港からホテルまではそれ程離れていない。10分程で辿り着いた。


「うわぁ……でっかぁ……」


 車から降りたユニの第一声がこれである。さっきから驚いてばかりだ。


 一言で表すなら絢爛豪華、もはやホテルというより西洋の「城」といった方がいいかも知れない。


「ウチのチャチな『王宮』とは比べものにならないな……」


 ホテルを見上げながらアザエルがぼやいた。確かにこれと比べるのは酷である。


 どれみが中に入るのを見て、ユニ達もそれに続いて中に入る。


 もうエントランスからして豪華である。舞踏会でも開かれそうな雰囲気だ。


 心なしか中にいる人達もそれなりに身なりが整っている感じがする。


「何というか……自分との格差が……」


 ヒナが肩を落としながら言った。


「いえ私達の部屋は、彼らとは比べものにならない程のものですわ!」


 受付で貰ったカードキーを渡しながらどれみが言った。


「それって一体どんな部屋なんだ……」


 ルーシーの疑問に、どれみはチッチッチと指を振ってからこう答えるのだった。


「部屋ではなく()()()()()()!わたくし達のものですわ!」


 見た方が早いと、どれみは部屋を案内するボーイさんについて行くので、ユニ達もそれに続く。


 そのワンフロアというのは、当然の如く最上階だった。


 ここまで案内してくれたボーイさんに対して、あとは自分で案内すると、どれみはチップを渡しながら言った。


 どうやら超高額だったのか、ボーイさんは何度も頭を下げながら笑顔で去っていった。


 ボーイさんを見送った後、どれみはユニ達の方へ向かい直して言う。


「さて、まずは今わたくし達が立っているのが玄関です。靴は脱いでも脱がなくても構いませんわ」


 とはいえ日本人としては脱ぐ方が慣れている。ユニ達は靴箱からスリッパを取り出し、それを履いた。


 手前から順番に説明しましょうかとどれみは言うと、まずは一番手前の部屋のドアを開ける。


「ここがお風呂ですわ」


「うっわ広っ!」


 ユニ達の前に現れたのは、確かに広いとしか言いようのない巨大なバスタブだった。


「広さ的に近所の銭湯ぐらいありそう」


 七海がやけに現実的に例えた。そういう言い方をすると、なぜだかありがたみが薄くなる。


「わ!見て下さいライオンですよ!ライオンが口からお湯吐くやつです!」


 みすかが指差しながら歓声を上げる。確かにそうとしか思えないライオンである。


「漫画とかドラマとかで見た事はあるけど、実在してたんだ……」


 スケッチをしながら藤香が呟く。あまり実物は見れるものではないので、この機会にスケッチする様である。


 風呂はおいおい入るとして、どれみが説明を続ける。


「そして向かいはトイレですわね」


 風呂と比べるとインパクトは薄いが、それでもかなり広い。一人暮らしの部屋ぐらいはありそうだ。


「そしてここが寝室です!ちゃんと全員分のベッドがありますわ!」


「わー広い!」


 歓声を上げるユニ達。


 大病院の病室ぐらいはありそうである。


「私はここだ!」


 思い切りベッドにダイブするアキ。


「わ!ズルい!じゃあウチはここ!」


「じゃあ私はここだ!」


 負けじとアゲハはその隣に、ミズキはさらにその隣に陣取る。


 そんな中、ビシッと手を上げる者がいた。


「わたくしもベッドで寝るのでしょうか?」


 そう質問したのはエリーである。


 そもそもロボットのエリーには「寝る」という概念がない。


 しかしスリープモードという機能がある。これはただの消費電力を抑える為のもので、立ったままスリープモードに入る事が可能である。


 その方がスペースを取らないので、エリーはもっぱら立ったまま休養していた。


 だがそんな彼女に、紫音は肩を叩きながら言う。


「別にいいんじゃぞ。ロボット以前に、キミはユニの彼女なのだから」


 それを聞いたエリーは少し戸惑った様な顔をしてからこう答える。


「マスター、承知しました。ではそうします」


「帰ってからもそれでいいんじゃがな……」


 紫音はうんうんと頷きながらそう言うのであった。


「そしてキッチンがありますが……こちらはあまり使いませんね」


 ルームサービスでいつでも一流のコックが料理を作ってくれるらしい。


 気を取り直して、ユニ達はお待ちかねのリビングのドアを開いた。


「やっぱり広い!」


 当たり前だが、風呂場より輪をかけて広い。ユニ達の教室の、その倍はありそうだ。


「ここで食事を取ったり、団欒したりしましょう」


「テレビも見た事ない大きさです!」


「この大画面でやるゲームはいいな……」


「これならライブの録画映像も細部まで見れる?」


 驚く萌絵に、喜ぶメイ、そしてルアがアゴに手をやりながら言った。


「みんな見てくれ!上等なウイスキーだぞ!」


 おそらく台所の冷蔵庫からだろうか、何本かのボトルとコップを持ってきた丁井先生が満面の笑みで言う。


「まさか飲む気ですか!?」


 由理がドン引きしながら言った。


 それ以外の何だ?とでも言わんばかりの顔をする丁井先生。


 由理が後にしてくださいと言ったので、楽しみは後に取っておこうという事で丁井先生はボトルを冷蔵庫に戻すのだった。


「あとは収納もありますが、それはおいおい説明するとして……どうしますかみなさん」


「どうするってそりゃあねえ……」


 顔を見合わせるユニ達。やる事はすでに決まっていた。


「海に行こう!」


 最低限の荷物を持って、早速ユニ達は下のビーチまで走っていくのであった。


 悪魔との契約条項 第二百四十二条

人間としての姿がある以上、悪魔でもパスポートを取る事ができる。海外渡航も可能である。

読んで下さりありがとうございます。

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