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契約その218 Uni-birthの秘密!?

 ユニとルーシーが、ユニの部屋で話をしようとしたその時、家のチャイムが鳴った。


「こんな時に……最悪のタイミングだな……」


 ルーシーはそう言いつつも、ユニを残し玄関へ行って遅い来客を出迎えた。


 その後、ルーシーは笑顔で戻ってきた。


「最悪のタイミングじゃあなかったな。むしろ最高だ!」


 その来客は意外な人物だった。


「か……母さん……」


 ルーシーに連れてこられる形でユニの前に現れたのは、ユニの母である瀬楠由衣だった。


「何でここに……」


 ユニが聞くと、由衣は驚いた様な顔をしながら言った。


「何でって……あなたが私をここに呼んだんじゃないの?」


「!?」


 それを聞いたユニは驚いた。


「名前は知らないけど、あなたの彼女っていう人から呼ばれたの。災害の話を聞いてから行かなくちゃって思ってたからちょうどよかったけど」


 どうも話が噛み合わない。ユニはルーシーに心当たりがあるかどうかを聞いたが、ルーシーは首を横に振った。


「そもそもおれの彼女なら自分の名前を名乗るはずだぞ。名前を隠す理由がないからな」


 考えられる理由は一つしかない。誰か第三者がユニの彼女を名乗って、由衣をこのタイミングに来る様に仕向けたのである。


「一体誰が……」


 ユニは訝しむ。普通に考えれば、最近ユニ達にちょっかいをかけてくる神の手の者だろう。


 一つわかる事は、裏で糸を引く存在がいるという事である。


「その事については今考えてもしょうがない」


 気を取り直して、ユニはルーシーに聞く。


「どういう事だ?母さんがここにいる事が『最高のタイミング』なんて」


 今ルーシーが話そうとしているのはユニの出生についてである。


 実母なのだから、ユニの出生に関わっている事は当然だろう。


「それは……」

 

 口を開いたのは、他でもないユニの実母、瀬楠由衣であった。


「私の口から、直接話す為よ。あなたの出生の話を」


「!」


 言葉にならない驚き方をするユニ。


「おれよりも、彼女の口から伝えた方がいいと思って」


 ルーシーが言う。


 由衣は大きく深呼吸して、パチッと目を見開く。


 その顔は、ユニそっくりであった。


「本当は、もっと早くに伝えるべきだったかも知れない……」


 由衣は静かに語り出した。


 全ての始まりとなった、出来事の話を。





 これは、ある女性の純粋で残酷な愛の物語である。


 ―――約19年前(ユニ誕生の一年前)瀬楠家―――


「自分の子供が欲しい!?」


 妻の告白に、夫「()(くす)(よし)(のり)は、思わず夕飯のカレーをこぼしてしまった。


「ええ。そうなの。どうしても」


 まだこの若夫婦の二人しか住んでいなかった当時の家を揺るがす程驚いた夫に、妻は恐る恐る言った。


 妻、瀬楠由衣は元々出産願望が強い人間であった。


 テレビで見る母の姿。それは幼少期を養護施設で過ごした由衣にとって、まさに憧れの存在だった。


 しかし、現実は非情である。


 何をしても、何を試しても、一向に妊娠する気配がない。


 その事を不思議に思った由衣は、ある大病院の産婦人科に駆け込み、医師の診断を受けた。


「どうやら……不妊症の様ですね」


 カルテを見ながら医師が言う。


「不妊……症……?」


 由衣は動揺しながら聞いた。


「はい。簡単に言えば、あなたが子を成す事はできません。どうしても子供が欲しいのなら……」


 医師は驚く程事務的に、養護施設の書類などを渡してきた。


 要するに里親になれという事である。


 それから数日後、由衣は指定された児童養護施設を訪れる。


 しかし、里子は三歳以降からしか受けられないとの事である。


 とりあえず話だけを聞いて、その時は帰宅した。


「どうだった?」


 帰宅した由衣に、家で待っていた由納が聞く。


 由納は国語教師なので、平日の今日は行けなかったのだ。


「うん……あまり……」


 微妙そうな顔をする由衣。


 その顔を見て、由納もその結果を察した様であった。



 だがそれでもこの若夫婦の日常は続いていく。


 由納は勤務先の学校へ行き、由衣はキャリアウーマンとして出勤する。


 そして何週間か経った後、由衣はゴミ捨て場で、とある古ぼけた本を見つけた。


「何これ……」


 由衣は、普段はゴミ捨て場に捨ててあるゴミなどには一切目もくれない。それはほとんどの人がそうだろう。


 だが今回は、なぜだか自然とその本を手に取ってしまった。


 古くはあるが、表紙にもページにも傷一つついていない。


 そう考えると、こうして捨てられているのが不自然である様に感じる。


 誰に言われるでもなく、由衣はその本を持って帰宅するのであった。


 帰宅した由衣は、パラパラとページをめくってみた。


 門外漢なのでわからないが、何かしら文字が書いてある事だけは理解できた。


 だがそれらが一体どこの国の言葉なのか、それについてはまったくわからない。


「あとで由納さんに聞いてみよう」


 由衣はそう決心した。


 だがそんな由衣にも、読める一文があった。


「えっと……『悪魔』……『神』……?『降臨』……?一体どういう事なの……」


 その時である。突然本が浮かび上がったかと思うと、黒い光を放ち始めた。


 その光は、やがて人間の姿になり、中から謎の青年現れたのであった。


 いや、角や羽などが生えていて、人間であるのかどうかすらわからない。


 その青年は、ゆっくりと由衣の方を見てこう言った。


「ぼくを呼んだのは……キミかな?」


「え?たっ……たぶん、そういう事になるんだと思います」


 突然現れた青年に、由衣は少し警戒しながら答えた。


「むーん……うーん……」


 その青年は、唸りながら由衣をジロジロと見る。


 まるで観察でもしているかの様である。


「あの……何ですか?」


 さすがに鬱陶しくなったので、由衣はその真意を青年に聞いてきた。


「よし、決めた。神の……いや悪魔の力で、君の願いを叶えてあげよう!」


「願い?」


 それを聞いた由衣は、ますます警戒心を高めた。


「別に叶わぬ夢でもいいんだ。別に言うのだったらアリだろう?」


 確かにそうだが……。


 由衣は少し考えた末に、とりあえず聞いて貰うだけ聞いて貰おうと考えて、口を開く。


「私は、私と由納さん、二人の子供が欲しいです」


 それを聞いた青年の顔は、それまでの柔和な表情を崩してニヤリとゆがむのであった。


 悪魔との契約条項 第二百十八条

悪魔に願いを言ったのなら、もう後戻りはできない。

読んで下さりありがとうございます。

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