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契約その208 みんなのnightは終わらない!

 舞台は少し変わり、ある男子部屋。男達は、修学旅行の夜のお約束になる恋バナに花を咲かせていた。


「なあお前ら。正直に言って()()は誰だ?」


 部屋長に当たる男子が単刀直入に聞いた。


 普段真面目な彼だが、この場においてはタカが外れている様である。


「そりゃあ一番は……」


 同室の男達は顔を見合わせて一斉に言う。


「ルアちゃんだろ!」


 ルアは現役トップアイドル、「オーラ無リング」の影響で以前程は注目されなくなったとはいえ、やはりクラスでは目立つ存在である。


「さっき風呂上がりのルアちゃんとすれ違ってさ、ダメ元で記念撮影頼んだんだ。快くOKしてくれたよ。ほら!」


 男子の一人が自分のスマホの写真を見せながら言う。


 ルアのサービス精神がなせる事である。


「あ!おめェズルいぞ!抜け駆けしやがって!」


 写真を撮った男子を、他の男子が一斉に非難した。


 とりあえずルアは殿堂入りという事にして、別の娘で名を挙げてみる事にした。


「ルアちゃん以外ならやっぱりユニだろ」


 男子の一人が言う。


 それを聞いた男子達の中で、「ああー成程な」とでも言いたげな雰囲気が流れる。


「見た目ガーリーなのに一人称『おれ』って何かいいよな……」


「ああ……その口調でバカにされたい……」


「いや……それはちょっと……」


 それを聞いた一部の男子はドン引きした。


 ともあれ、それぞれの夜はこうして進んでいくのだった。



 そして一方のユニ達。


「遊びに来たぞー!」


 ユニは自分の四つ隣の部屋を訪れた。


「何しようか?」


 全員が集まった所でユニが聞く。


「そういえばテレビがあったな。これ使えばゲームできるんじゃないか?」


 メイが持って来ていた自分のゲーム機をリュックから取り出しながら言った。


 このテレビは、自由時間の間だったら見てもいいと言われているものである。


 とは言ってもゲームに関しては何も言われてないのだが。


「ワイヤレスでテレビ側に出力すればたぶんできると思う」


 メイがそう言うので、ユニ達はゲームで遊ぶ事にした。


「みんなで遊べるものがいいな……マリカーとか……」


 メイが色々準備している横で、アゲハはホテルの売店で買ったお菓子の袋を広げる。


 一応売店も利用は自由だとされているのである。


「こういう時の為に買っておいてよかった!」


 完全消灯時間は二十一時となっている。


 現在の時間は十九時半。つまり一時間半は遊べる。


 ユニ達の夜のゲーム大会が始まったのだった。


「おい!今の雷はズルいぞ!」


「えー!今爆弾投げたの誰ェ!?」


 そんな声が聞かれる中で和気藹々と時間は過ぎていき、ユニ達は()()()()()()()楽しんだ。


 何戦かゲームをやった後、いきなり館内アナウンスが流れる。


「完全消灯時間です。繰り返します。完全消灯時間です。直ちに部屋に戻る様に!繰り返します!……」


 そのアナウンスでユニ達は我に返った。


「えー!ここで終わり!?」


 そう言うルーシーの声からは、もっと遊びたいという気持ちが滲み出ていた。


「いや、大丈夫」


 そう言ったのはヒナである。


「みんな、部屋のベランダの窓は開けて来たでしょ?」


 ヒナの問いかけに、ユニ達は頷いた。


「ベランダに出てみるとわかると思うけど、部屋と部屋の間隔ってとてもせまくてね、一跨ぎで戻れるんだ」


「まさか……」


 アキが青ざめる。


「そう!そのまさか!この部屋から順番に先生の見回りが来るから、それを凌いでベランダを伝って自分の部屋に戻るんだ」


 だからこの部屋が集合場所になったのである。


 そして例年、見回りは下階の男子部屋かららしく、女子部屋の方まで来るのにはまだ少し余裕があるという。


「だからもう一戦だけね?」


 という事で一戦だけやる事にした。万全を期してコースは距離が短くすぐ終わるものにし、さらに事前に消灯しておく。


 終わり次第ベランダに駆け込む為である。


「それではレーススタート!」


 みんなが意気揚々とレースを始めた、まさにその時である。


「おい消灯時間過ぎてるぞー!」


 部屋のドアが開き、丁井先生が部屋に入って来た。


 みんなはビクッとしてドアの方を見る。


「げ!丁井先生!来るの早すぎませんか!?普通男子部屋から見回るのに」


 ヒナが驚きながら聞いた。


()()()()、男性教員が男子部屋を、女性教員が女性部屋を、それぞれ見回る事になったんだよ。そっちの方が効率いいだろ?」


 確かにその通りである。ユニ達はぐうの音も出なかった。



 ユニ達は、丁井先生に床に正座させられた。


「あのな、気持ちはわかるよ。楽しすぎたんだよな?アタシも昔同じ事をした事がある」


「は……はい……」


 ユニ達は小さくなって反省するしかなかった。


「でもな、大人には時にそういう『過去の自分』を一旦棚上げしないといけない時があるんだよ。だから……」


 丁井先生は、大きく息を吸って大声で怒った。


「とっとと部屋に戻って布団被って寝ろォ!朝は早いんだぞ!」


「は……はい!」


 ユニ達は急かされる様にして慌てて部屋へと戻っていくのであった。



 翌日。


 二日目は奈良に行く事になっている。泊まるホテルはここだけなので、またいずれ戻ってくるのだが。


 ユニ達が消灯時間を破った事は、にわかに噂になっていた。ユニ達はその辺をなあなあにしながら、バスへ乗り込む。


 果たして、奈良ではどんな事が待ち受けているのだろうか。



 悪魔との契約条項 第二百八条

大人には、自己矛盾してでも子供を怒らなければならないときがある。

読んで下さりありがとうございます。

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