新・非核三原則
「歌うのが未来人への礼儀だと聞いておるが?」三成
「そ・・そうっすね・・」大谷
「ぷっ・・」真田
現代だと歌わないと切腹ものだと・・
「いろいろ教わったでござるよ真田殿には」
他にも色々嘘ばっかり教えてんだろうなぁ・・
必至で笑い堪えてんじゃん・・
変に歴史を変えないでよ真田ちゃん・・
「確か未来の最強兵器とかで・・」三成
ほうっ!真田ちゃんがそんな事知ってたとは・・
そう、この未来日本は、核を・・
「ポコたてない、汁だてない、ずるむかない・・とか。」三成
「ばぶぅっ!!」大谷
「ぷっ!」真田
いや・・
「非核三原則というものでござったな」三成
「そうそう・・くっ!っ!」真田
「・・・必至で笑いこらえてるね真田ちゃん・・」大谷
もたず、つくらず、もちこませずっす・・
もうでたらめやん・・
何それ?勃起するな、先走るな、包茎のままでって意味?
もう、パニックですよこっちが・・。
「・・・今日中は大阪無理かな・・」真田
「ふむ・・もうすぐ先に陣をひいてるでござる」三成
ほう、さすが三成。
えっと関ケ原前の秀秋の城に居たって事はあれは福井城か・・
今、福井で、向かってるのは大阪城で、
この頃三成の住まいも大阪屋敷。
真田ちゃんは信州長野の上田城・・遠いな。
大阪、福井、長野・・
う~んこの時代の街道は狭いし、悪路だし・・
「ガっ!」
「おっと~」真田
やはり木々などに車は当たってしまう。
「これでも整備したでござるよ」三成
「でしょうね・・」大谷
真田ちゃん用というかプリウスが走れるように、
長野から大阪への街道を整備。
「ま、安全な身内の土地通りながらな」真田
「・・ですね」大谷
いわゆる西軍方のだ。
でもここに来れた・・タイムスリップしたって事は、
逆にタイムスリップも出来るはず・・
ただしそれは元に戻るのか・・さらに過去に行くのか・・
「2017年というのに行ってみたいでござるな」
「・・・・はぁ・・・・・楽しいっすよ・・」
驚愕して死ねよ・・
六本木のバーレスクで降ろしてやろうか?即死だぞ。
俺でさえガクブルだぞ。
「はっ!真田ちゃんのお父さんって名前なんだったの!?」
そうだ!史実の幸村の父は、昌幸・・
「確か、昌幸という・・」
「おっ!」
三成が答えだした答えに少し納得できそうだったが・・
「・・名前で記しておるぞ。適当な武勇話も付けて」
「適当に歴史作っとけってな」
後付けか・・
この現代人真田ちゃんを正当化する為の・・
実際は1年程の戦国滞在だが、代々続く大名家に書き換えた・・
「現代でネットスレが史実に変わっていく様なものか・・」
たぶんこれが一番分りやすい自分に言い聞かせる説明だろう。
本当の逸話よりネット上に書き込んだ噂や嘘が、
本当の様に浸透していく・・
だからこの真田ちゃんが本物なのだ・・未来で語り継がれる幸村の。
だがこの真田幸村も非常に不確定な最期の逸話が語り継がれる・・
この真田ちゃんはこの戦国で、すでに実績あり。
合戦の一度か二度、このプリウスで大暴れしたのだろう・・
だが強烈な現代人だ。俺みたいに戦国に思い入れなどない。
現代に帰りたかったから、俺がここに落ちて来たのも、
藁にもすがる思いで駆け付けたに違いない・・
「あ~・・早く帰りてぇ」
「うむ・・なので頼み申すぞ天下分け目の大戦を」
大谷「・・・・・・・・」
ちっ・・なるほど。
三成はさすが頭が切れるというか真田ちゃんがバカなのか・・
「・・・戦に勝てば帰れるんですか?」
バカなふりして聞いてやるか。
そんな訳ねぇだろ・・うまく真田ちゃんを利用する為の嘘だ。
「徳川を倒せば間違いないでござるよ」
「・・・へ~・・・」
真田ちゃんも単純だな。そんな訳ねぇだろ。
どうやったら德川倒したらタイムスリップできんだよ。
帰れない・・。いや、俺はどっちみち帰りたくはない。
現代にいても目立たない冴えない素人童貞23歳。
だったらこの戦国で華々しくとは思うがこのまま西軍にいれば・・
俺は歴史を知っている。
西軍は負ける・・関ケ原合戦後、逃亡していた三成は捕まり処刑。
そして真田は15年後に行われる、生き残った豊臣恩顧の大名達と、
大坂の冬の陣・夏の陣と德川と戦い猛烈な武功をあげるも敗戦。
その敗走中に討たれ死亡。豊臣家は滅亡する。
だがその後、京の町で流行した童謡がある・・
「♪花のようなる秀頼様を~
鬼のようなる真田が連れて~
退きも退いたよ~鹿児島へ~♪」
「・・・なんでござるか?その歌は?」
「私が若君を?」
俺の武器・・
それは歴史の知識・・
ただ生き残るべしっ。
ただの都市伝説かもしれない・・。
だが実際にその歌が流行ったという記録がある。
他にも真田と若君の生存説は多く残っている・・。
「敗戦後若君様と真田ちゃんは、ほぼ生存が濃厚・・」大谷
「本当に我が西軍が負けるのでござるか?」三成
史実通りに運べば・・
だが、
「俺が歴史を変えます!」
なんだろう?責任感?
来たばっかなのに・・
そして大した事ないことだと思ってた事が、
この先とても重用だと後で気づかされる。
「んで、どこに落ちて来たんだ?」真田
タイムスリップした正確な場所・・
当然秀秋の領内だが・・
「それが気が付いたら城内で・・」大谷
「・・・かぁ~おめえ、そこクソ重要なんだぞ」真田
そうなの?
でも・・
「来るの早かったけど領内に居たの?」大谷
三成と真田ちゃんは大阪と長野のはず・・
「お主、10日ほど目を覚まさなかったのでござるよ」
「未来人が落ちて来たっぽいって聞いて駆け付けたんだよ」
「えっ!?」
俺、10日も意識失ってたの?
そうか・・
もしかしたら俺の他の持ち物もそこに落ちてるかも?
そう・・これで一つ曖昧になったのだ・・
俺の落ちて来たその不思議な場所が・・