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☆いきなり転生☆  作者: たかさば


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146/174

お電話ありがとうございます

遠山雅恵はごく普通のテレフォンアポインターである。毎日ええ声で電話対応をし、毎日通話の録音を怠らない、齢32のテレフォンアポインターである。今日も今日とて、相談窓口なのになぜかナンパされてなかなか切れない電話にげっそりした後、行きつけのコンビニではちみつ100%キャンディとアメリカンドッグを買って家路についていた―――のだが。


キイギュウ!!キギュイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。



真っ白な空間。遠山雅恵の魂と、女神が対面している。


「遠山雅恵さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」

「はあ。」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」



遠山雅恵(32)


レベル7


称号:転生者


保有スキル:お電話ありがとうございます

HP:8

MP:24



「というわけで、いきなり草原に放り出されてる!!やだ、どうしよう…。」


べよん、べよん。

水色の、ぶよぶよした丸い塊がテレフォンアポインターの前に現れた!


「はいい?!スライムぅ?!これ、これってどうするの、戦わないといけないの?!」


うろたえる、テレフォンアポインター。


「そ、そうだ、保有スキル使ってみよ!!お電話ありがとうございます?!」


うばほん!!!


テレフォンアポインターの前に、テレアポセットが出てきた!自動録音システム搭載だ!もちろんパソコンもあるぞ!テレフォンアポインターはインカムをセットし、準備万端になった!スライムはテレフォンアポインターに電話をかけた!


トルルルルル!電話が鳴っているぞ!


「お電話ありがとうございます、テレフォン担当遠山雅恵顔承り致します、ご用件を窺ってもよろしいでしょうか。」


『わたしとてもおなかが空いているのだけれど。』

「了解いたしました、それでは、どういった食べ物をご希望されますでしょうか。」

『新鮮な肉?』

「了解いたしました、それではお肉の種類をお伺いさせていただいて宜しいでしょうか。」

『人間』

「申し訳ございません、当店ではそのようなお品は取り扱いがございません、ご容赦ください。」

『困ります』

「大変申し訳ございません、お取引いたしかねますので、このままお電話を切らせていただきますね、失礼いたします。」


ぷつ、ツーツーツー


スライムは激昂した!こっちが話してんのに勝手に切るなや!!!スライムはテレフォンアポインターを丸のみした。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


テレフォンアポインターは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。


テレフォンアポインターはコンビニではちみつ100%キャンディとアメリカンドッグを買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「あとちょっと早く通りかかってたらひかれてたね…怖いなあ、気を付けないとね。」


テレフォンアポインターは、ずいぶんひどい電話も受けましたが特に凹むこともなく仕事をつづけ、いつの間にか電話対応のプロになり、ずいぶん自分の仕事に自信を持てるようになったのちたまたま知人の会社で電話対応の基礎についてアドバイスをしたところ好評で引き抜きされることになり、多くの新人に電話の受け答えを伝授し続け、とても美しい物言いで病気治療のためしばらくお休みすることを電話で伝えた後、60歳でこの世を去ったという事です。


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[良い点] 146/150 ・ぎゃあああああ、シャァベッタァァァァァ!!!!!!!! [気になる点] 『美しい物言い』に謎のセンスを感じました
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