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モリちゃんの奇跡譚  作者: Mohna
2/5

~ゴミ置き場の紳士服~

ゴミ置きに仰向けで足を開いて寝転がる姿から誰が気高き神に思えよう。

真っ白な紳士服は不自然なまでに汚れも解れもなく新品同然で捨てられた人形に思えたのだろう。

好奇心旺盛な彼女は話しかけてしまうに決まっている。





希望を喰らってきたが…





ピエロのように笑顔を振りまいては私は口吸い彼らの希望を吸い取る。


蛻の殻になった彼らの顔は絶望ではなく無。


もう、意味がない。私は希望の神であることができないのだ。人の絶望を見るために希望を喰らう神希望の神ではいられないのだ。


思えば生前からそうであった。こんな掃き溜めに捨て置かれてもまだ私は生きる希望を失わなかった。


生前ならば折れた心から美しい夕日を見ながら海へ飛び込むというのに…今やそうすることもできない。死ぬことはない。


此処らの人間の希望を吸い切ってしまった。


もう腹が減って仕方がない。


希望を食いたい。


尽きぬ希望を、飽くほどの希望を、食らい尽くせぬほどの希望を、


貪りたい、戴きたい、喫したい。


なぜこんなに求めていると言うのに私は私自身の希望は食らえないのか。



思い馳せながら、その場から起き上がれない私をつつくヒトがいた。


しかし首も上がらない、先ほども言ったが腹が減りすぎて動けない、ゴミ置き場の臭いに咽せようとカラスに啄まれようと抵抗が一切できない。


「ねえねえ、」


そうこんな若すぎるガキの声が耳元でキンキンなろうとも、


「ねーねー」


太腿がくすぐったい。黙ってくれないかこのガキは…あーそうだった神器は全て上か。だーめだもう死んだ。神なのに死ぬぞ。


「ねーえ!ねー!!」


このクソガキ、女じゃないか。顔が近い。


「…うるさい」


声を出すのも思考するにも体力を使うのだぞこの体は、


「お!喋った」


あと一度のあの耳鳴りにさえ耐えていれば此奴は何処かへ消えていたのか、選択を誤った。絶望的なまでの運の悪さだ。


「お腹すいたの?」


小学生ほどだろうかこのガキ、こんなところで何をしているんだ。


「ああ」


必要以上の発音は空腹に繋がる。


「じゃあこれ!あげる!」


彼女が手に持っていたもの。それは人間の食事だった。


まさかこんなもので、私の腹を満たそうと言うのかこのガキは、


「いらん…ならば貴様の希望をよこせ」


ガキは何を言っているのかわからないのか首を傾げる。最近のガキは言葉の覚えも遅いのか。


「希望だ、きぼう」


「きぼう?…あ!お兄ちゃんが言ってた!だいいちきぼう!」


進学でもするのか、なんだ伝わるではないか。


「そうだ、それをよこせと言っている」


ならばさっさとその口からその希望を言い放てさすれば私はそれを喰らう権利を得る。


「“希望とは!将来ではない!希望とは!救世主じゃない!希望とは!愛だ!!人の愛が希望だ!!」


何かのフレーズを人の腹の上に立って大きく言い放つガキ、なんなんだこのガキは、新手の嫌がらせか?


「だから、その希望をよこせと言っている、米粒の塊ではない」


そう、私の食えたものは未来への執着に近い黒くも滅多に輝きを止めることのないものだ。


そんなチャチな人間の食い物じゃない。


「おにぎりは!私の希望!これがないと人は死んじゃうの!!」


勝手に概念を作り始めたやがった、別に一つ食わぬとも人はしにはしないだろう。


「これ!私に希望よ!食べない?食べて!絶対に美味しいから!!」


おにぎり、食が必要なくなってから目をしなくなったなそういえば…これは彼女の希望?


そんな安い希望で腹が満たされるわけなかろうに…


「…わかった、食おう、だから食い終わったらどこかへ行ってくれ」


「わかった!!ん!」


ガキは私の口にその手ほどの大きさしかないおにぎりを押し込む。


「…!?」


塩っけが聞いていて唾液が垂れくる。


と同時にこれを作っている少年とその母であろう人の顔が映る。


希望?…旨くなれと期待して作ってるだけではないか…此奴が喰らう姿を思い浮かべてそれを望んでいるだけではないか。


「どう!!おいし!?」


噛めば噛むほどそれらの希望を吸い取れる。


不覚だ、こんなやつに、こんなもの希望に満たされている。


ガキの顔を見るとそいつも期待している。


“うまい”とそう言ってもらえるのを希望している。自分の希望を他人に渡したと言うのにそれを憎みもせずその者に希望を抱いている


拡散するのは絶望だけではなかったか、


そうであったか、


「…美味だ」


「びみー?」


「うまいと言うことだ」


「おほー!!」


力がみなぎる。腹から降りたガキに手を伸ばし掴み一瞬で七角の図形を書き込む。


「…例だ、お前は正しく使ってくれると期待していよう」


彼女の前から消える。


彼女はかなり驚いていたがその特質のせいですぐに今まであったことを忘れ、自分の指についた米粒をしゃぶりながら何処かへ走っていった。


「なるほど…マッチャのやつ消える前にこんなガキに会っていたのか、帰ってきたら少し話でも聞いて…」


あの無愛想が何を話すと言うのだ。




「別な神に絶対に心なんか開くものか!!」





VerGo:Four.Hope


前→ https://ncode.syosetu.com/n0010ge/1/

次→URLまだ


この神はその後に偉業を成し遂げる。

その偉業は人々に確実なる「力」を与えることになる。

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