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悪役令嬢、アドバイス役になる


次につながるお話です。





 皆さん、ごきげんよう。晴れてハインリヒ様と結婚し、ハッピーエンドを迎えた悪役令嬢のヘレーナです。

 えぇ、それはそれはハッピーですよ?


 そんな私は城の一室で、愛したハインリヒ様を睨みつけていました。


「当分、私の前に姿を現さないでいただけますか。」

「そ、そんな・・・嘘だろう、ヘレーナ!」

 アナフタツの書が発動され、その騒動を何とか収め、ハインリヒ様と結婚をしてから2年が経ちました。

 その間に学園も無事卒業し、速攻王に据えられたハインリヒ様。自動的に王妃になった私・・・すべては、アナフタツの書が発動したせいで傾きかけている国を立て直すためでした。というか、有無を言わさず責任を果たせって、前王に丸投げされた。


 そんなこんなで、ハインリヒ様とイチャイチャする暇もなく国のために奔走する私でしたが、遂に堪忍袋の緒が切れました。


「あなたが、王になりたいというから・・・我慢していましたのに。」

「ヘレーナ?」

 愛するハインリヒ様の願いを叶えるため、彼が立派な王になれるよう全力でサポートしていましたが、もう我慢できません。


 現在、国は不作続きという問題を抱えています。それは、アナフタツの書によって土地の魔力が吸われてしまったことが原因であることが突き止められました。

 なので、早急に土地に魔力を流さなければならない・・・というのに!


「なぜ、私の力を使わないのですか。」

「だから、それは・・・これ以上君の名を広めれば、秘密に感づかれるから。」

 秘密・・・それは私が禁血であるということです。確かに、それを隠すことに異議はありません。


「ですから、聖女召喚をするフリをして、私以外の力を持っていると装う人物を作り出す・・・そういう話だったはずです。」

「・・・」


 聖女召喚。それは、力のある人物を他の世界から召喚するというものです。それを行ったていで、あらかじめ用意した人物を聖女として公表するつもりでした。

 そして、私の力を使って土地を魔力で満たし、それを聖女が行ったことにするつもりだったのです。


 聖女召喚された人物ならば、そのような力があっても不自然ではありませんから。


「それが、なぜ本当に聖女召喚をすることになったのですか!それも失敗して、聖女ではなく、男性が召喚されたなんて・・・どうするおつもりですか?」

「それは・・・まさか、失敗するとは思わなかったんだ。俺は、お前に国中を周って欲しくなかった。だから、力のある者が召喚できるならそれでいいと・・・」

「失敗したときのことを考えてください。」

「・・・すまない。」

 落ち込んだ様子を見れば許したくなり・・・ませんね。全く許すつもりがかけらほどわきません。


 聖女召喚・・・そんな不確定なものに頼ったせいで、力は不明ですが女性でなく男性が召喚されてしまいました。うまくいくかはわかりませんが、うまくいかなかった場合・・・例えば、召喚された男性が非協力的だったり、力を持ちすぎて後に危険な存在になったりなどしたときには、目も当てられません。


 だいたい召喚なんて、普通に激怒するレベルですよ?逆に喜ばれたとしても、前世にいた世界の人間だとしたら・・・使えない可能性もあります。

 前世の世界に魔力なんてもの存在していませんでしたから。


「話はこれで終わりです。とにかく、しばらく私の目の前に現れないでください。私は、召喚された方のサポートをいたしますので。」

「待て!召喚された方とは・・・男だろう?」

「左様ですが?」

「サポートなら俺がする。もともと、俺の失敗であることだし、責任を取って俺がしよう。」

「結構です。」

「なっ!?」

 これ以上、失敗を重ねられても困ります。ハインリヒ様は、剣の腕は確かですが・・・それ以外は期待しない方がいいでしょう。


「レナ。」

「お黙りなさい。」

「!?」

「私、これから忙しくなりますの。あなたの相手をしている暇はありませんわ。」

 ぴしゃりと言って、私はハインリヒ様を置いて部屋を出て行きました。


 全く、どうしてこう、うまくいかないのでしょうね。

 私はただ、この騒動をおさめて、ハインリヒ様と一緒にいたいだけですのに。


 この2年間、国を立て直すために奔走するばかりで、私たちが一緒にいられる時間は本当に少ないのです。結婚しているのに、ですよ?


 私は早くどうにかしようと奔走しているのに、ハインリヒ様は・・・


「もう、諦めてもらいますわ。」


 立派な王になって、民の生活を守りたい。

 そんなことを言ったハインリヒ様の願いを叶えるつもりでしたが・・・もう、その夢は諦めていただきましょう。


「まずは、召喚された男性・・・彼を見定めなければ。そして可能ならば・・・」


 この国を立て直していただきましょう。

 そのために、能力のあるなしにかかわらず、彼に好意を抱いてもらわなければなりません。


 国や彼の周りにいる人間に好意を抱けば、彼は協力してこの国を救ってくれることでしょう。


「えーと・・・転生モノは・・・ハーレム必須よね。だけど、信頼のおける女性は少ないわ。」

 私の護衛騎士となった、ディー。私と共に王城にあがった、アン。この2人は信用がおけて、今すぐに用意できる女性ですが・・・どちらも私のアシストに必要です。


 用意していた聖女の護衛は、聖女のために用意したので見目の良い男性ばかり。これでは、女性成分が足りません・・・というより皆無です。


「最初は、私がディーを伴って話しましょう。」

 とりあえずは私がつなぐとして、護衛に一人は女性を用意しなければなりません。ですが、信用のおける女性など後は・・・ハナ。隣国の友人だけです。ですが、彼女は隣国の貴族ですし、護衛には不向き・・・


「これは・・・まさか、ヒロイン一択。」

 私が乙女ゲームの世界だと勘違いしていた時のヒロイン役・・・アリア。信頼のおける女性・・・とは言い難いですが、見た目は女性の彼女を頼るしかないと思いました。


 魔術師の護衛として、彼女を配属しましょう。とりあえずはそれでお茶を濁して・・・


「あとは、当たって砕けろという奴ですね。」

「方針は決まったかい?」

 影のように私の護衛をしていたディーが、視線で目的地に着いたことを告げました。私はそれに頷いて答えます。


 私たちが立っているのは、召喚された男性がいる部屋です。もちろん、扉は閉められていて、扉の両脇には騎士が立っていました。


「えぇ。ディー・・・協力してくれる?」

「もちろんだよ。私は君のために騎士になったんだからね。」

「ありがとう。とにかく、今は召喚された聖女・・・男性らしいけど、彼の信頼を勝ち取るしかないわ。」

「了解したよ。おそらくハインリヒが邪魔をするだろうけど、私が止める。レナは、君の思うように行動して。でも、危険な目に合うようなことはしないで欲しいな。」

「わかっているわ。危険な目・・・それは、彼次第ね。」

 この扉の先にいる・・・おそらく私の前世と同じ世界から来た男性。これは、何となくそんな気がする、直感のようなものだけど、前世の世界から来た人間だと確信しました。


 私がこれからどうなるか、どう行動すればいいのか・・・それは扉の先にいる彼次第です。


「行きましょう。」

「どこまでもお供します。」


 乙女ゲームにからめるとしたら、これは続編になるでしょうね。

 ヒロイン役のアリアに、異世界から召喚された男性、それを守る見目麗しい護衛たち。


 今度の私は、悪役令嬢ではなく、アドバイス役かしら?


 そんな風に思って少しだけ笑って、私は扉の脇に控える騎士に扉を開けるように言いました。


「あぁ、ぞくぞくするね。」

「何、また風邪ひいたの?」


 少しディーが心配になりましたが、扉はもう開かれてしまったので、私は先に進みました。



 さて、愛する人と結ばれたので、次はその人との時間を作るために頑張りましょうか。





ブクマ・評価してくださった方々、ありがとうございます!いつも励みになっています。


今回は「男だけど、聖女召喚された」につながる話を書きました。

イチャイチャを期待した方は申し訳ございませんが、2人はまだまだゆっくりすることもできないのです。


良かったら、続編も読んでいただけると嬉しいです。

連載中なので、一気に読みたい方はブクマだけでもどうぞ。



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