表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/13

役立たずはいらない。

王都の冒険者ギルドは、今日も依頼を終えた冒険者たちで賑わっていた。


 その一角で、一人の青年が深く頭を下げている。


「申し訳ありません……。」


 レイン・アルフォード。


 二十歳。


 Sランクパーティー『蒼天の剣』の一員だ。


 ……もっとも、そう呼ばれていたのは今日までだった。


「謝れば済むと思ってるのか?」


 リーダーであり勇者でもあるカイルが机を叩く。


「お前が宝箱の罠を見抜けなかったせいで、俺の鎧は壊れたんだぞ!」


「ですが、罠は解除しました。」


「解除した後じゃ意味がない!」


 酒場中に笑い声が響く。


「ははっ、またレインが怒られてる。」


「いつものことだ。」


 レインは唇を噛む。


 彼の固有スキルは【鑑定】。


 敵の能力や武器の性能を見ることはできる。


 だが戦えない。


 攻撃魔法もない。


 回復もできない。


 そのため、長年「荷物持ち」として扱われてきた。


 隣にいた魔法使いリリアがため息をつく。


「正直、あなたがいる意味ってある?」


 僧侶ミーナも続く。


「経験値だけ吸ってるようにしか見えないわ。」


 槍使いガルドは鼻で笑った。


「ギルドでも笑われてるぞ。Sランクに寄生虫がいるってな。」


 一言一言が胸に刺さる。


 それでもレインは反論しなかった。


 この四年間、仲間だと思っていたから。


 信じていたから。


 しかし。


 カイルは一枚の紙を机に置いた。


「追放通知だ。」


 その言葉で、空気が凍る。


「え……?」


「お前は今日限りで蒼天の剣を追放する。」


「ま、待ってください!」


 レインは思わず立ち上がった。


「俺は今まで……。」


「荷物を運んできました、だろ?」


 カイルは鼻で笑う。


「犬でもできる。」


 再び酒場が笑いに包まれる。


「四年間ありがとうございました。」


 その一言だけを残し、レインはギルドを後にした。


 夕焼けが王都を赤く染めている。


 手元に残ったのは、安物の剣と少しばかりの金貨。


「これから、どうしよう……。」


 彼は空を見上げる。


 すると、不思議な声が頭の中に響いた。


条件達成。


神級鑑定スキルの制限を解除します。


「……え?」


 目の前に金色の文字が浮かぶ。



【神眼鑑定 Lv.MAX】


・対象の真名を閲覧可能


・未来適性を閲覧可能


・隠し能力を閲覧可能


・アイテム真価を閲覧可能


・世界の法則を閲覧可能


・進化先を閲覧可能


・スキルコピー条件を閲覧可能


・神格存在を閲覧可能



「な、なんだ……これ?」


 今までの【鑑定】とは比べものにならない。


 試しに近くの石ころへ視線を向ける。



《賢者の霊石》


神代に作られた超希少鉱石。


市場価値:約五億ゴールド。


覚醒素材。



「えぇぇぇっ!?」


 思わず叫ぶ。


 今まで誰も見向きもしなかった石ころが、伝説級素材だった。


 さらに足元を見る。



《古代竜の骨》


《世界樹の種》


《神鉄》



「この世界……宝だらけなのか?」


 いや、違う。


 今まで誰にも見えなかっただけだ。


 見えるのは、自分だけ。


 その瞬間、レインは確信する。


「俺……追放されてよかったのかもしれない。」


 その頃。


 蒼天の剣は新たなダンジョン攻略へ向かっていた。


「レインなんていなくても楽勝だ。」


 そう笑っていた彼らは、まだ知らない。


 レインだけが見抜けていた致命的な罠。


 レインだけが見つけていた安全な道。


 レインだけが判別できていた偽物の宝。


 それらを失った彼らを待ち受ける未来を。


 そして、追放された青年が、やがて「世界最強の鑑定士」と呼ばれることになる未来を――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ